今回は大学生の松村が、TechBowlの小澤政生社長にお話を伺いました。
同社はエンジニアの育成・紹介事業を扱っている会社です。有名企業のエンジニアから実務が学べるオンラインコミュニティ「TechTrain」を運営しています。
企業を知ろうーTechBowlってどんな会社?ー
実際にどんなことをやっているの?
TechTrainと呼ばれる無料のオンラインコミュニティサービスを運営しています。
TechTrainとは、WEB・IT系の有名企業で活躍する現役エンジニアを副業メンターとして、全国のプロエンジニアを目指すU30(30歳以下)の若者たちの相談・交流・教育の場を設けるサービスです。
運営開始から2年でLINE、メルカリ、マネーフォワードなど、50社100名のCTO・TechLeadがメンターとして抱えるまでに発展し、約3000名に利用されています。社会人の30歳の方や13才の利用者もいらっしゃるほど、様々な方が利用されています。有名企業の現役エンジニアにいつでもオンラインで相談可能です。
また、任意課題として、オンライン完結インターン「MISSION」を提供しています。各企業のCTOや採用責任者の方と作った、開発のネタ広場のようなもので、実務で役立つスキルが身に付きます。
そして、経験豊富なキャリアアドバイザーによる、マンツーマンでの就職・転職支援も行っています。
オンライン完結インターン「MISSION」とは、各企業のCTOや採用責任者の方と作った、開発のネタ広場のようなものです。30歳以下の方であればいつでも誰でも挑戦ができ、ユーザーは自身のスキルや経験に合わせて課題の難易度レベルを選択し、挑戦することが出来ます。また、MISSIONをクリアすると選考スキップやノベルティプレゼント等各社から特典を獲得することができます。
LINE社と共同開発した例を挙げます。
初級は新卒採用選考時のコーディングテスト、中級は実際にインターンシップで過去に出題された課題、上級はLINEの新卒研修に挑戦することが出来ます。
こういった実務に近いレベルまで学べるMISSIONも完全無料で提供されています。
ユーザー自身で調べてもわからない点があれば、有名企業を含む様々なメンターにいつでも相談することも出来ます。
また、4月26日には「Railway」という新機能も公開されています。詳しくはこちらをご覧ください
次の項目からは、株式会社TechBowlの小澤社長にインタビューの内容をお伝えします。
社長になるまでの経緯や、社会課題、同社が運営するオンラインコミュニティに対する想い、悩んでいる学生へのアドバイスをもらいました!
【インタビュー】起業するまでの経緯とエンジニア人口不足の社会課題
ーはじめまして。本日は貴重なお時間を頂き誠にありがとうございます。
これからインタビュー始めていきたいので、ぜひよろしくお願いします!
小澤社長:はじめまして!TechBowlの小澤と申します。こちらこそよろしくお願いします。
ー早速ですが、小澤社長が御社を起業するに至るまでの経緯を伺いたいです。
小澤社長:はい。前職はサイバーエージェントで、採用責任者として7年半働いていました。
そのうち、最初の2年半は地方のエンジニア採用の立ち上げ、その後5年間は総合職・エンジニア・デザイナー計250名の採用全体の戦略設計を経験させていただきました。
そして、エンジニアを求める企業、エンジニア職を目指す人、どちらも増えてきているのに、企業が採用したいと思えるような一定スキルを持つエンジニアは中々増えないという課題を深刻に感じるようになりました。
『採用するしないよりも、日本のエンジニア教育に力を入れて、実務に通用するような一定スキルを持つエンジニアを増やしたい。
毎日おもしろいサービス生まれたり、究極的にはFacebookやAmazonのようなすごいサービスがガンガン生まれるような技術のサラダボールを作りたい。』
と、思ったのが起業することにした1番のきっかけです。
ー現在は少しずつエンジニアを目指す方も増えているのに対して、企業が採用したいと思えるエンジニアが中々増えないのはどうしてだと考えられますか?
小澤社長:確かにエンジニアを目指す人は増えてきていますが、本当にモノ作りが好きな人は、私が採用を担当し始めた7年半前に比べると、ちょっと少なくなってきていると思います。
この問題の要因は、時代の変化でもあると思います。
今は便利なアプリが世の中に溢れていて、何かアイデアを思いついても、すでに誰かが作っている場合が多いです。
その中で、企業としては、既存のサービスをより良くする人だけでなく、ぶっ飛んだアイデアやサービスを作り出せるアイデアマンの人や狂ったように自分の好きなものを作ることができるバイタリティーある人のような「次を創れる人」を欲しているのではないかと思っています。
【インタビュー】有名企業のエンジニアから実務が学べる、無料のオンラインコミュニティー
ー小澤社長は、企業が求めるエンジニアが足りないという問題に対して、具体的にどのように向き合われていますか?
小澤社長:エンジニアを目指す人は増えているのに、企業が採用したいようなプロのエンジニアは増えていません。この課題の要因は、大きく2つあると考えています。
1つ目は、『エンジニアになりたいけど、何をしたら良いのかがわからない』という状態で躓く方が多いことです。
2つ目は、『エンジニアになりたいけど、作りたいものがない』方が多いことです。
この2つの要因を解消するために、私たちはプロのエンジニアに直接1on1で、開発のアドバイスをもらったり、仕事内容の相談ができるオンラインコミュニティTechTrainを運営しています。
TechTrainを通して作っていきたいのは、プロのエンジニアの背中を見て自分で学べる場です。
30歳以下の方であれば誰でもご利用いただけるサービスで、社会人はもちろん、最年少だと中学生の初心者の方もいらっしゃいます。運営開始から2年で、約3000名の方にご利用いただけるまでになりました。
ープロのエンジニアの背中を見て自分で学べる場を作って行きたいとのことですが、実際にコミュニティを通して、具体的にどのような価値提供をされているのでしょうか?
小澤社長:はい。TechTrainを通して、具体的には3つの価値提供を行っています。
1つ目に、ユーザーは合計50社100名のエンジニアに、1回30分の1on1でいつでも相談ができます。
2つ目に、実務に近いレベルのオンライン完結インターン「MISSION」(以後、MISSION)を提供しています。
ここでは、各企業のCTOや採用責任者の方と作った、開発のネタ広場みたいなものを提供しています。
実際の実務と同じ感覚でMISSIONも作っているので、一筋縄ではいかないし、わからないところを自分で調べながら進めて行きます。それでも自分で解決できなければ、様々な会社のメンターに聞ける環境が整っています。
3つ目に、何を重視して会社を選びたいのかという言語化のお手伝いや、ネクストアクションまで決めることができるフィードバック付きの模擬面接も提供しています。
ーすごく充実されていますね。TechTrainを利用された方の、実際のエピソードがあれば伺いたいです。
小澤社長:例えば、TechTrain経由で就職したり、メガベンチャーの内定が出たりしています。そんな方々が今度は、「自分たちもユーザーだったからこそ、こういうMISSIONを作りたい」と言った形で、メンターになってくれたりしてます。
このように企業MISSIONだけでなく、いろんな経験をした先輩が作るメンター版MISSION提供しています。
また、元々TechTrainを使ってくれていて、今ではTechTrainの開発を手伝ってくれている方もいます。
他にも、MISSIONをクリアしたユーザーが今度はMISSIONトレーナーに昇格し、彼らが今同じMISSIONをやっているユーザー達の相談や質問に答えたりもしてくれています。
こうやって、ユーザー同士の関係ややり取りもありますし、ユーザーとメンターとの関係性もありますし、縦横斜めの関係性がコミュニティ内で築かれています。
ー大変素晴らしいコミュニティだと思います。しかし最近よく聞く様なプログラミングスクールの方が、マネタイズしやすいのかなと思っています。それでも初心者含めたユーザーにとって無料で使えるオンラインコミュニティを運営されている背景も伺いたいです。
小澤社長:仰る通り、入会金やカリキュラム代、メンター制度を有償で行うスクールの方がマネタイズはしやすいと思います。
しかし実際の採用において、実務未経験の場合は採用されないケースはとても多いです。
「チュートリアルが終わりました」「TODOアプリを作ってみました」「教材を一通り終えました」だけでは、企業が求めるエンジニアから程遠いんです。
私は、最終的にエンジニアの就職活動をなくしたいと考えています。プロとそれを目指す次世代のプロが出会い、混ざり、化学反応が起き、気がつけばものづくりのプロが増えていく。そんな世界をTechTrainの中で創っていきたいと思います。
そして、次はその人達が教える側に立ち、教えることでまた学び、有名会社に就職が決まってキャリアを突き進んでいくというような未来を描いて欲しいです。
そんな持続可能であり、且つプロのエンジニアを送り出すコミュニティであるために、より良くし続けたいと思っています。
そうすると、面白いサービスがどんどん生まれるので、最終的にはエンジニア版のスタートアップウィークエンドみたいな場所を作りたいですね。
TechTrainというエンジニアコミュニティをハブに教育、人材マッチング、開発プロジェクト等様々な事業が生まれそうなので大変ですが毎日が楽しいです。
ーありがとうございます。他にも御社の今後の方向性についてお考えがあれば伺いたいです。
小澤社長:そうですね。
プロのエンジニアをどんどん世の中に送り出していきたいですし、ガンガン面白いサービスが生まれて欲しいと考えています。
今はまだできて2年の若い会社ですが、コロナが来ても何が来ても、さらに会社を大きくしたいです。
その過程で、物理的な距離を超えてグローバル展開するなど、実験的なことはしたいと思っています。
【インタビュー】学生の皆さんへ
ー最後に学生に対するアドバイスがありましたら、お願いいたします。
小澤社長:コロナで学生のみなさんも大変な中、自分でアンテナを張って動ける人もいれば、そもそも就活で何したらいいか分からない人もいらっしゃると思います。
就職活動において伝えたいこととしては「まずは2つの選択肢を試そう」っていうとこです。
ただその時の注意点としては、最初から人で選ばないことです。
良い人ってどの会社にもたくさんいるからです。
最初から人では決めずに、それ以外の事業数や会社の強みや課題点、そう言った事実の部分で、まずは比較をしてみてください。
それで残った最後の最後は、人で決めても良いと思います。
あとはすぐに行動することです。エンジニアになりたいなら、もうその業界に首を突っ込みましょう。
行動するのが1番だと思っています。
バキバキに成長したい、エンジニアになって世界を変えたい方、TechTrainでお待ちしています。
業界を知ろうープログラミング教育 / IT業界とは?ー
改めてプログラミング教育/IT業界についておさらいをしておきましょう。
IT業界の構造と仕事内容
今回はプログラミング教育の中でも、学生や社会人を対象にしたプログラミング教育業界を紹介します。2020年から小学校でプログラミングが必修化するなど、子供から大人までプログラミングを学習する場面が多くなっています。
プログラミング教育について紹介する前に、IT業界全体の構造や職種について簡単におさらいしましょう。
IT業界の多くは図のようなピラミッド構造になっています。大手IT企業がお客様からシステムを受注して、自社内の規模では人数的にも技術的にも開発する事が難しいためアウトソーシングを活用して開発を進めて行く仕組みです。
まず、大手IT企業などのピラミッドの上は上流工程とも呼ばれ、システムの全体図の設計をしたり、工程を細分化したりスケジュールを引いたりといった仕事を行います。職業はプロダクト/プロジェクトマネージャーやSIerです。
次に下請けIT企業では、主に大手IT企業からシステムの制作を受注し、実際の開発を担当します。開発はエンジニアやプログラマーなどの職種が担当します。スキルや経験の違いで、システムの仕様書や設計書の作成を行う人や実装やテストを行う人に分かれます。
最後に、下請け企業でも人員が確保できない状況になると、孫請け企業に仕事が任されることになります。
今回紹介するプログラミング教育業界は、エンジニアやプログラマーと呼ばれる職種になりたい人が対象の教育業界です。
プログラミング教育業界の市場と動向
プログラミング教育業界の市場は今後どのように発展していくのでしょうか?
プログラミング教育業界は、昨今のIoTブームやソフトウェア志向の流れが今後も続くため、発展していく業界だといえます。しかし、ITの技術革新は速いため、そこに合わせた教育システムの構築が必要になってくると考えます。
まずは、今後のIT人材予測を見てみましょう。みずほ情報総研株式会社の「ー IT 人材需給に関する調査 ー」(2019年3月)によると、今後2030年まではITの普及・発展によって、必要な人材数も年々増加傾向にあり、2015年と比較すると、2030年のIT人材は1割以上も増えていく予想となっています。
このような状況で、必要なIT人材は足りているかというと、そうではありません。
技術のコモディティ化が進み、自社でサービスを作ることが多くなったことで、IT人材の需要が増加しました。
IT人材不足と言われている中教育業界としての風向きは良好です。
しかし変化が激しい業界のため、キャリア構成や技術の変化に合わせて、教育方法も適したものに変えていくことが必要だと考えられています。
さいごにーTechBowlのインタビューを通してー
TechBowlが運営している、TechTrainというエンジニアが集うオンラインコミュニティは、有名企業のメンターに相談できたり、MISSIONを通してより実践的なスキルを身につけることができる点が特に魅力的です。
インタビュー全体を通して、小澤社長のエンジニアが不足していることに対して、本気でプロのエンジニアを創出して世の中をより良くしたいという熱量が、大変伝わってきました。
小澤社長、貴重なお話を誠にありがとうございました!