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【企業トップ×就活生対談】雨のみちをデザインする-タニタハウジングウェア-

「知っている企業以外の優良企業を探したい」「ナビ掲載の企業を見ていてもイマイチ魅力がわからない」と悩む就活生は多いと思います。この企画では私たち大学生が社長や人事部長へのインタビューを通して企業の魅力や想いを伝えることで、みなさんの「わからない」を「わかる」に変えます。

今回は大学生の松村が、タニタハウジングウェアの谷田社長にお話を伺いました。

同社は雨といのトップメーカーであり、機能性だけでなく建物にあう雨のみちをデザインしている会社です。

目次

企業を知ろうータニタハウジングウェアってどんな会社?ー

タニタハウジングウェアの魅力

タニタハウジングウェアについて、会社の魅力を4つのP(理念・職業・人事・組織)でまとめてみました。

実際にどんなことをやっているの?

タニタハウジングウェアは雨といを中心とする金属製品メーカーです。金属製雨といの国内随一のシェアを持っています。機能だけでなく、建築を引き立て、見る目を引くようなデザイン性にもこだわりを持っています。

雨とい素材としてメジャーなものは塩ビや樹脂です。しかしタニタハウジングウェアでは銅、ステンレス、ガルバニウム、アルミニウムといった金属素材を使用しています。これは、金属には不燃性があり人体に被害がない安全性の面と、軽量で合金や接合、絞りなど加工技術に幅がある面を持ち合わせているためです。

金属の良さへの強いこだわりや高いデザイン性から、GOOD DESIGN AWARDや板橋製品技術大賞など多数の受賞実績を持ち、高い評価を得ています。

今回はそんなタニタハウジングウェアの谷田社長にインタビューをし、社長になるまでの経緯や雨とい製造にかける思い、経営者としての心構えをお話しいただき、まとめてみました!

【インタビュー】社長になるまでの経緯

ーはじめまして。本日は貴重なお時間を頂き誠にありがとうございます。

これからインタビュー始めていきたいので、ぜひよろしくお願いします!

谷田社長:はじめまして!こちらこそよろしくお願いします。

ー会社の経営者に立たれるまでの経緯や想いについてお話しいただけますか。

谷田社長:この会社は祖父が立ち上げてから現在74年、父が継ぎ、私が三代目になります。幼いころより父の姿を見て育ち、小学校の卒業コメントにも「会社を作って社長になる」と書きましたね。

学生時代の終わりに、就職活動する前に父親と将来について相談する機会がありました。

その時、「別にお前が代表にならなくても良い」と言われたんです。優秀な人間がいるならその人にまかせれば良い、と。話を聞いた後少し気が楽になって、会社を継ぐ前に一般企業にも行ってみようと勝手に自分の就職先を決めていました。

新卒で木造ハウスメーカーに入り、営業を勤めました。そんな時期に、仲が良かった人たちからは「お前はなんか育ちが違う」「会社の後を継ぐようにお前は育ってる」と言われていたんです。自分でも「帝王学を知らぬうちに学んでいたかもしれない」と感じました。

そしてあらかじめ決めていた通り、今の会社に入り、父の跡を継いで今に至ります。

ー会社を引き継ぐにあたって、大変なことはありましたか。

谷田社長:私が引き継いでから18年目になりますが、会社が大変な時期に引き継いで、その後更に大変になっていった経緯があり、決して楽な経営ではありませんでした。

中小企業では、代表の年齢が一気に下がることがよくあります。私の場合も30歳若くなり、これをチャンスだととらえました。自ら営業と一緒に全国をまわり、取引先の先輩経営者から次の経営のヒントを得ようと勤めました。

この時、自分は「こうしてほしい」だとか「こういう風にすると面白くなる」という風に言っていただいたり考えたりすることを凄く楽しみにしていました。しかし実際に先輩経営者と話してみると、出てくるのは自分が入社する20年位前の儲かってる頃の話ばかり。

その時にひしひしと感じたのは、タニタハウジングウェアは未来を期待されてない会社だということです。普通に考えたら、社長になってから考えるのは遅いぐらいのことだと思います。

【インタビュー】雨といにかける想いー雨のみちをデザインするー

ー雨といを製造するにあたり、こだわりはありますか。

谷田社長:私たちは金属製の雨といを作っています。お客様は雨といをただ買っているのではなく、雨といから得る「何か」が欲しいから買っているんです。

歴史的な面から説明すると、「雨を集めること」がもともとの雨といの仕事でした。ただ樽を置くよりも屋根に降った雨を集めるために雨といを作ると、より効率的に雨を集められました。

雨といって、はじめは寺社仏閣の拝殿といった建物だけに取り付けていたんですね。時代が進み、江戸時代に町で火事に備えて屋根を不燃材である瓦にすることが普及しました。かやぶきに比べて雨が流れやすい瓦屋根は、雨が降ると隣の家にも色々迷惑掛けていました。結果、排水設備としての雨といが一般化したという歴史があります。

このように雨といの形はあまり変わっていませんが、お客様の求める価値が時代とともに変わってきたわけです。

では現代において私たちに求められる仕事とはなんだろうと考える中で、「雨のみちをデザインする」という言葉が生まれました。この考え方をベースに今までずっと経営をしてきました。

この考え方を社員に話したとき、はじめはなかなか分かってもらえませんでした。雨のみちをデザインするなんてしてこなかった、うちは雨といを作ってる会社だろう、という具合でした。

まずお客様は誰なのか考えました。現在でも、製造した雨といは問屋さんに卸しています。先ほど話した通り、問屋さんは弊社の未来を誰も期待していなかったわけです。

かといって建物に入居する住まい手さんにいくらPRしても雨といを選んでもらえません。

そこで建物を設計・建設し、雨といを選んでくれている建築家や工務店・建築業者をお客様と考えてみました。

「雨のみちをデザインする」という話をすると、面白がってくれる人が結構いたんです。

営業担当の社員も徐々に「あれ?この言葉結構使えるのでは?」となっていきました。

社員やお客様に理解を深めてもらうために、車が買えるくらいのお金をかけて、絵本を自主出版しましたね。

こうしたPR活動も進めて、新たなお客様を社内で共有することができたのです。

ー会社について将来の理想像はどのようなものでしょうか。

谷田社長:私たちの商品は大手企業にはあまり買っていただけておりません。もちろん値段の問題もありますが、理由の1つとして素材の問題があります。

現在雨といに使用される素材は約9割が塩ビや樹脂です。私たちが扱っている金属製雨といは7、8%ぐらいしかありません。

かといって塩ビを扱うことはありません。雨仕舞いに最適な素材は金属です。デザイン的な視点でも、金属製雨といがこれからもっと増えていくと思っています。

雨といとは眉毛みたいなものです。眉毛は汗が目に入らないようにするものですが、汗をかいていない時も大事にしていませんか?顔全体の表情を美しく、可愛く見せるためにも眉毛は機能しています。

雨といも一緒なんです。晴れていて雨が降っていない時にも役割があるわけです。それが「雨のみちをデザインする」言葉にもあらわれています。

晴れている時に建物全体の外観や見た目を邪魔せず、いかに綺麗に見せるか。金属のほうが樹脂よりも綺麗に作れますし、長い時間経っても色の変化が少ない。もちろん耐久性もあります。この良さに気づいてくれる方が増えることが私たちの夢です。

【インタビュー】自分を変えるということ

ー社長が大切にしている考えはありますか。

谷田社長:私の祖父、父、もちろん私も大事にしている言葉に「人生万事己因(じんせいばんじおのれがもと)」という言葉があります。あまり使われない言葉ですね。

私は経営者になりたての頃、青年会議所という組織で活動していたことがあります。その活動の中で、一番感じたことは人は志で動くということです。

青年会議所では皆が集めたお金でリターンは一切なくともなにか世の中の為になるような事をやろうと活動していました。衆議院議員選挙の公開討論会を行ったりしていましたね。

議員候補にどうすれば協力を得られるのか、どうしたら実行できるのか。いろいろな活動の中には自分のちからでは実現できそうにない役割もありました。そのおかげで、滅茶苦茶勉強しましたし、こういった思考と行動は身体に叩き込まれましたね。

30代の自分にとってすごく良い経験だったと思います。だから会社で困ったことがあっても「悩んでいる暇はない」「こんなことでへこたれない」という想いで乗り越えてきました。

人生において、経営者になれたことにはとても感謝しています。経営者になると全てのことを自分事で考えるしかない人生になるんです。世の中のせい、誰かのせいに絶対に出来ない人生。それは凄く自分の中では学びがありました。

自分事として物を考えるかどうかについては非常に大切なことだと思っています。人は無意識に誰かのせいにしてしまいます。誰かのせいにすると未来は変わりません。自分事としてとらえ、きちんと反省することができれば、自分の行動が変えることができ、未来は豊かになっていきます。

業界を知ろうー製造業界、住宅設備・建材業界とは?ー

業界の構造と仕事内容

製造業とは、自社で何らかの物を作る企業のことを指し、主に新製品の製造や加工を行っています。製品や規模によって、素材の加工や組み立ての全工程を自社で行う企業もあれば、一部だけを担う企業もあります。

日本の労働者6500万人中1000万人が製造業に従事していて、日本の中心的産業と言えます。しかし近年では人材不足に悩まされていることも多いです。

製造業が自社製品を販売するとき、自社で営業して売る会社と商社を使う会社の2種類が存在します。どちらが優れているというわけではなく、どちらも長所があり、双方の特徴を活かして販売することが一般的です。

住宅はハウスメーカーや工務店が建設を担当しますが、住宅の中にはトイレやキッチンの設置が必要です。もっと細かく見ればインフラ周りのパイプやコード、排水設備、屋根や柱の材料など無数の部品が必要です。木造住宅、鉄骨住宅どちらにしても、建設には建材が必要となるのです。こういった建設用資材を取り扱う業界を住宅設備業界や建材業界といいます。

今回インタビューしたタニタハウジングウェアさんは建築・建設部品である雨とい等外装材を専門としている製造会社になります。

業界の今後の動向

日本のGDPのうち20%は製造業とされていますが、日本のIT活用が遅れていることもあり、2020年の春に経産省のレポートでは製造業の競争力低下が指摘されました。

しかし、IoT等のテクノロジーの活用は新たなスタンダードになりつつあります。東日本大震災の影響を受けながらも、現在では長期的には緩やかに景気回復をしています。

2021年2月には製造業を中心に景気DIが上昇しました。今後はデジタル技術を積極的に活かし、新しい価値の創出に取り組む必要が出てきているのです。

住宅設備・建材業界では、人口の減少に伴い新築着工件数も減少しているため、新築用の住宅設備・建材需要に大きな影響を受けています。今後も同じような傾向がほぼ確実に続くと言われており、各企業は状況変化に合わせて様々な戦略をとっています。

例えば、社会問題の1つである空き家の増加に合わせて注目されている戦略がストックビジネスです。ストックビジネスとは、リフォーム建設のことです。国が先頭に立って、業界全体でストックビジネスに取り組みが始まっています。

【参考サイト】

さいごにータニタハウジングウェアのインタビューを通してー

経営者として「自分に何ができるのか」を考え、時代に合ったデザイン性のある雨といにこだわりを持つ谷田社長の考え方がとても印象的でした。

谷田社長のおっしゃった「自分のせいにして、自分を変えること」という言葉から、己の行動と真摯に向き合うことの重要性を改めて感じました。

就活を控える私たちも、自分を見つめ直し「どう変われるのか」「何ができるのか」を考えることが大切であるのではないかと思います。

改めて谷田社長、貴重なお話をありがとうございました。

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