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【企業トップ×就活生対談】「地域の電気屋さん」を束ね地域に活力を-アトムチェーン本部-

「知っている企業以外の優良企業を探したい」「ナビ掲載の企業を見ていてもイマイチ魅力がわからない」と悩む就活生は多いと思います。この企画では私たち大学生が社長や人事部長へのインタビューを通して企業の魅力や想いを伝えることで、みなさんの「わからない」を「わかる」に変えます。

今回は大学生の松村が、株式会社アトムチェーン本部の井坂社長にお話を伺いました。

同社は大阪府羽曳野市に本部を置く家電小売店グループで、量販店ではカバーしきれない技術と機動力で減少する「町の電気屋さん」を支える会社です。

目次

アトムチェーン本部ってどんな会社?

株式会社アトムチェーン本部の4P

アトムチェーン本部さんについて、会社の魅力を4つのP(理念・職業・人事・組織)でまとめてみました。

実際にどんなことをやっているの?

「家電は家電量販店へ」がメジャーとなった現在、地域電器店はあまり見かけなくなりました。しかしアフターケアの手厚さや近くにあって行きやすい地域電器店はなくてはならない存在です。アトムチェーン本部ではアトム電気フランチャイズチェーン店を束ね、「地域電器店の復権」を目指す新しい地域電器店です。

アトムチェーン本部では全国各地にある地域電器店とフランチャイズ契約を結びます。

各フランチャイズ店へは仕入れ、価格管理などを一括で行い、量販店のような品揃え、適正な価格設計を実現させています。その中枢としてアトムチェーン本部が機能しているのです。

加えて、フランチャイズにありがちなスーパーバイザーによる指導はありません。地域の色を大切にするために、月1回の加盟店会議での情報提供を行うにとどめ、各店舗の裁量に任せているのです。

次の項目からは、アトムチェーン本部の井坂社長とのインタビューの内容をお伝えします。社長になるまでの経緯や独特な事業について、悩んでいる学生へのアドバイスをいただきました!

【インタビュー】社長になるまで

ーはじめまして。本日は貴重なお時間を頂き誠にありがとうございます。

これからインタビュー始めていきたいので、ぜひよろしくお願いします!

井坂社長:はじめまして!こちらこそよろしくお願いします。

ー最初に、社長に至る経緯をお話しください。

井坂社長:私の父親が町の電気店として大阪で昭和47年に起業し、今のアトムチェーンを作り上げました。そんな父の背中を見て育った私は、いずれ会社を継いで導いていく者になるのだろうと思っていました。

大学生時代、普通に就活をやってると、父親から「1人で、一国一城の主としてやってみるのはどうだ。」と提案されました。昔から欲深かった私は、会社員よりも稼げる可能性のある経営者の道を選択しました。

ただいきなり出来たわけではありません。はじめは知識・技術ともに未熟で、そのうえ人をまとめることが苦手でした。

そこで、まず高知県の電気屋さんに3年半ほど勤め、修行しました。その後大阪に帰り、アトムでいち事業者として独立しました。

そこから3年を経て本店に入り、3年前に社長の席をいただいた次第です。

【インタビュー】アトムチェーンの事業・根幹の考え

ー次にアトムチェーンの事業についてお聞かせください。

井坂社長:事業内容としましては、北海道から沖縄までの47都道府県にあります商店街等で運営されている町の電気屋さんをフランチャイズ化しています。

若い方はわからりづらいと思うのですが、町の電気屋というのはよく商店街などで「パナソニック」や「日立」という看板掲げて家族経営しているようなお店です。

フランチャイズ化することで、値段だけで言えば大手量販店やアマゾンなどのインターネット販売に負けない価格で提供することができます。

40年ぐらい前、まだフランチャイズという仕組みが一般的ではなかった時代に、先代である父がフランチャイズビジネスを考案し、始めました。25店舗まで事業が拡大した時に、小さい組織を束ねて大きい量販店と戦っていくという仕組みを作り、アトムチェーン本部を立ち上げていました。

父がこの選択を取った理由には、私たちの考え方の1つである「小さいものは小さい領域で戦え。大きいものは大きい領域で戦え」というものがあげられます。これは小さいものが大きい領域で戦うと死が待っているというものです。

「強者と弱者の戦略」を表す、有名なランチェスター戦略でもこの原則があてはまっています。歴史上を見てもこれは明らかで、例えば、桶狭間の戦いで織田信長が真っ向勝負で今川義元に立ち向かったわけではありません。

当時の状況では私たちは量販店になることが出来ました。しかしその時点で、大阪には量販店があったのです。小さい量販店は大きい量販店に販売方法が同じなら絶対負ける。そこで、不特定多数ではない顧客を相手に事業展開することを選んだのです。

しかし、実はこの方向に舵を切った後、オーナー達の反逆にあってしまい、一時4店まで減ってしまいました。父は私以上に欲深く、相手を自分の儲けの道具としか利用してなかったことが原因だったそうです。そこで「自分勝手な感情で事業を展開してはいけない。相手のことをもっと知らなければ。」ということを知り、現在の事業形態に成長してきました。

当たり前ですが、今時電化製品を買うとなれば大手量販店、ネット販売店が一般的です。

そんな中で「町の電気店さんとして地域活性化」や「大型量販店やネット販売店の事業者と棲み分けして勝てるのか、生き残ることができるのか」日々挑戦しています。

おかげ様で現在は、全国で今870店をフランチャイズとして連携させて頂いております。

ー経営にあたって大切にしている考え方はありますか。

井坂社長:経営理念の大本になる考え方は「天地自然の理」です。これは「全てのものは自分が一番大切である。自分を大切にしてくれている所に行く。」というものです。

これは不変の法則だと感じています。いわゆる自然の理です。

人間自分が一番大切であるというのは誰しもが認める所だと思います。

しかし相手が出てきたときに、「相手にとっても自分が一番大切である」ことを失念して、自分本位に動いてしまうと、相手は去っていってしまいます。

自分が一番大切だということを、誰しもが認めなければなりません。そのうえで相手のことをどれだけ考えられるか。ここを忘れなければ、自分にも相手からの想いが返ってくるという考えです。

【インタビュー】学生への3つのメッセージ

ー最後に学生に向けてメッセージをお願いいたします。

井坂社長:メッセージは3つあります。

1つ目に、私のようになるなと伝えたいです。

私の人生において、学生時代では時間を無駄にして過ごしてきました。3、4年生になっても、就職活動を後回しにして、アルバイトか友達と遊んでいるかの生活でした。就活しないといけないデッドラインが迫って、やっと社会に目を向けることになったわけです。危機感にかられて、急いで進路について考えました。でもそれでは時間が足りませんでした。

ぜひ早いうちから社会に興味を向けてください。学生の間に色んな事を経験して欲しいなと思います。

例えば、インターンシップに参加することです。インターンシップを受け入れる企業側も、未来に繋がる何かとして、若い風がほしいという思いがあります。両方に対して良い効果があるからこそ本当にいいものであると思っています。

アルバイトをやって一時のお金を稼ぐという事よりは、社会の事を考える時間を作ってほしいです。

2つ目は、就職が全てではないと知ることです。

終身雇用の時代というのはとうに終わっています。コロナ禍になり、サラリーマンの安泰神話は絶対ではなくなったと思います。

今はこの記事を読まれている方のほとんどが就職のことでいっぱいだと思います。だからこそ就職が全てではなく、別の道もあると考えてほしいです。

企業に就職することのほかに独立、起業という道もあります。社員と経営者では物事の見方や景色が違います。ぜひ学生の間に選択の幅を増やしてほしいです。

3つ目は、外に出ることです。広く見て、日本より海外へ目を向けてください。

留学やホームステイ、海外旅行などで外の景色を見ておくべきです。

対照的に日本の素晴らしさや便利さ、人の優しさや繋がりを肌で感じることができます。現在コロナ禍で制限されているため難しいですが、ぜひ若いうちに体験してみてください。

業界を知ろうー電器小売業界とは?ー

電機商品の販売店ってたくさんあるけど、実際どのような仕事が行われているのでしょうか。

電器小売業の構造と仕事内容

電機商品の販売店ってたくさんあるけど、実際どのような仕事が行われているのでしょうか。

そもそも小売事業とはメーカー・卸業者といった「物を作る」企業から商品仕入れ、消費者に販売する事業です。中でも電気系小売業は主に機械電気系の商品や家電の販売しています。

小売業内の職種は「仕入れ」「販売」「販売支援」の3つを中心としています。仕入れの部門では、主に商品の物流をつかさどっています。商品の買い付けや取引の新規ルート開拓などを商品戦略にしたがって選定していきます。

販売部門では、店頭での販売や店舗のマネジメントを司っています。職業名としては店長やマネージャーと呼ばれる人たちです。実際に店舗を運営し、商品を販売しています。

販売支援部門では、販売を強化するための後方支援を司ります。マーケティング戦略を策定し、店舗レイアウトや企画、広告などどうすればより商品を売ることができるかを考えています。

町の電気屋さんや家電量販店もこの小売業の一種です。家電量販店ではメーカーから一定の数のの商品を一括で仕入れることで卸値を抑える薄利多売型のビジネスモデルを掲げています。これにより「家電量販店に行けば家電全般を一度に見ることができ、しかも安い」という特徴を確立しているのです。

反して地域に根差した電器店は、地域において電器の安心・安全を提供しています。何か電化製品が故障したとき、電気で不具合が出来たときなど一番に駆け付けることができるのはこういったお店です。これは価格以上の付加価値を生む場合がありそういった一定数のお客様から支持されています。

電器小売業の市場と動向

経済産業省の行った「商業動態統計調査」によると、2020年における日本全国の小売販売額は前年に比べ1.0%増加し146兆4570億円になるそうです。140兆台を4年連続で維持しております。特に「機械小売(電気系も含む)」ものは50.7%増加しています。

電気系小売業は1980年代後半より増加。90年代半ばに「家電量販店」が中心となりました。現在インターネット販売の発展に伴い、家電量販店も苦しい状況です。各家電量販店ではM&Aを積極的に行い、生き残りをかけた業界再編が続いています。

町の電気屋さんでは、量販店との価格競争へ太刀打ちできないこと、後継者が不足していることがたたり、倒産・廃業が相次いでいます。アトムチェーン本部のような、量販店と真っ向から価格競争でき、後継者も育成している企業は彼らを救っていると言えるのです。

【参照文献】

M&A capital partners 業界別M&A動向 家電量販店業界のM&A動向

企業動向sreach.com 小売業界

リスクモンスター株式会社 倒産分析・業界分析レポート 機械器具小売業 2021.01

編集後記ーアトムチェーン本部のインタビューを通してー

もはや常識的になりつつある「家電は家電量販店・ネット販売」に真っ向から対抗するアトムチェーン本部のあり方に感動しました。絵本『スイミー』のように、たとえ小さな力だとしても工夫によって大きな力に対抗できるという考えはおもしろいものでした。

そんなアトムチェーン本部の根幹にある「天地自然の理」は印象に残っています。自分と他社を突き詰めて考えるからこそ生まれた事業なのではないかと感じました。

私たち就活に悩む学生も、井坂社長がおっしゃっていた通り、広い目で俯瞰して深く考えて活動に臨んでいくべきだなと思いました。

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