●総合商社の平均年収は1,430万円、専門商社の平均年収は792万円である。
●商社の年収が高い理由は[在庫を持たないビジネスモデルである][海外赴任が多い][仕事の難易度が高い][ボーナスの支給が多い]からである。
「商社って年収が高いイメージがあるけど実際にどれくらい貰えるんだろう」
「商社の中で一番年収が高い企業が知りたい」
など商社の年収についてより詳しく知りたいと考えている就活生も多いのではないでしょうか。
本記事では、このような就活生向けに商社業界の年収の高い企業ランキングを紹介します。
商社業界全体の年収ランキング以外にも、専門商社の業界別ランキングや年齢別の年収平均についてもご紹介していきますので、是非業界研究や企業選びの参考にしてみてください。
総合商社の平均年収ランキング
まずは商社全体の平均年収ランキングをご紹介していきます。ランキングは下記の通りです。
※本ランキングは、東洋経済新聞社会社[四季報 2024年度版]の情報をもとに作成しています。
5大商社と言われる[伊藤忠商事][三菱商事][住友商事][三井物産][丸紅]の5社がTOP5を占めており、7大商社の1つである[豊田通商]もTOP10にランクインしていることから総合商社の年収の高さが伺える結果となりました。(7大商社の1つである[双日]は惜しくも11位:1,038万円)
総合商社がランキングの上位を占めていますが、専門商社という枠で見てみると、1位は鉄鉱商社である[JFE商事]、2位は化学商社である[長瀬産業]、3位は鉄鉱商社である[伊藤忠丸紅鉄鉱]となりました。
また上位10社全てが平均年収1,000万円を超えるという結果になっており、商社業界の年収が高いことも分かります。
下記に上位10社の企業情報を掲載していますので、より詳細に知りたい企業があれば確認してみてください。
1位:伊藤忠商事 1,580万円
・賞与:年2回(夏期・冬期)※業績に連動
・24卒採用予定人数:101~200名
2位:三菱商事 1,559万円
・賞与:年2回(6月・12月)
・24卒採用予定人数:101~200名
3位:住友商事 1,556万円
・賞与:年2回(6月・12月)
・24卒採用予定人数:51~100名
4位:三井物産 1,549万円
・賞与:年2回(6月・12月)
・24卒採用予定人数:101~200名
5位:丸紅 1,469万円
・賞与:年2回
・24卒採用予定人数:51~100名
6位:JFE商事 1,368万円
・賞与:年2回(6月・12月)
・24卒採用予定人数:46~50名程度
7位:豊田通商 1,257万円
・賞与:年2回(7月・12月)
・24卒採用予定人数:51~100名程度
8位:長瀬産業 1,234万円
・賞与:年2回
・24卒採用予定人数:46~50名程度
9位:伊藤忠丸紅鉄鋼 1,177万円
・賞与:年2回
・24卒採用予定人数:26~30名
10位:神鋼商事 1,087万円
・賞与:年2回(6月・12月)
・24卒採用予定人数:16~20名程度
※初任給・賞与・予定人数は[マイナビ2024]の内容を参照
専門商社の平均年収ランキング
続いて専門商社の平均年収ランキングをご紹介していきます。
[鉄鋼][機械][電子・半導体][化学][食品][医薬品][繊維][燃料・エネルギー][日用品・化粧品]の9分野に分けたランキングとなりますので、興味のある業界のランキングを確認してみてください。
※専門商社平均年収ランキングは東洋経済新聞社[会社四季報 2024年度版]に掲載されている年収データをもとに作成しています。
鉄鋼商社商社の平均年収ランキング
JFE商事
JFE商事の事業領域は幅広く、自動車やビルの構造材、橋を支える橋桁やワイヤー、船舶、鉄道、家電製品や缶詰といった私たちの身の回りのあらゆるものを扱っており、サプライチェーン全体の付加価値を向上させるサービスを、国内外97社のネットワークでグローバルに提供しています。
また鉄鋼原料・非鉄金属だけでなく、化学品・燃料・資機材・船舶や食品・エレクトロニクスといった幅広い商品の取り扱いがあるようです。
・賞与:年2回(6月・12月)
・24卒採用予定人数:46~50名程度
機械商社の平均年収ランキング
岡谷鋼機
岡谷鋼機は創業1669年の老舗商社です。[鉄鋼][情報・電機][産業資材][生活産業]の4つの事業を展開しており、売上の構成比は鉄鋼が42%、情報・電機が23%、産業資材が29%、生活産業が6%であることから、鉄鋼事業が企業を牽引していることがわかります。
現在世界23カ国に連結子会社75社を持っておりグローバルネットワークの強化を強めています。今後も海外基盤を強化しつつ事業を拡大していく方針です。
・賞与:年2回(6月・12月)
・23卒採用実績:33名
・24卒採用予定人数:31~35名程度
電子・半導体商社の平均年収ランキング
東京エレクトロン デバイス
東京エレクトロンデバイスは、1965年の設立以降半世紀にわたりエレクトロニクスの商社として事業を展開しています。
1985年に設計開発センターを開設し、半導体の技術開発を進め[inrevium(インレビアム)]という自社ブランドを開発しました。このように、商社の枠組みを超え、商社とメーカーの機能を融合させたサービス展開が可能であるという強みを活かし、顧客のニーズに最も最適なサービスの提供を可能としています。
・賞与:年2回(6月・12月)
・24卒採用予定人数:21~25名程度
化学商社の平均年収ランキング
長瀬産業
長瀬産業は1832年の創業以来200年の長きに渡り事業を展開している老舗商社です。
化学品を中心に事業を展開しており、商社機能だけでなくメーカー機能も備えています。
日本企業の中でもいち早く20世紀初頭から海外進出を果たしており、盤石なグローバルネットワークを有している点も魅力の1つと言えるでしょう。
・賞与:年2回
・24卒採用予定人数:46~50名程度
食品商社の平均年収ランキング
国分グループ
国分グループは創業1712年の老舗企業で、食品の卸売業として日本全国に「食」を届けている企業です。
全国に食を提供するため国内325箇所の物流拠点を持っており、取引メーカー数は約10,000社以上、得意先数はスーパーマーケット・コンビニエンスストア・百貨店など約35,000社と多くの企業と継続的に取引を続けています。
その他にもアジア・ヨーロッパ・北米を中心に海外60カ国に食品・種類を販売するなどグローバル展開をおこなっている点も魅力の1つです。
・賞与:年3回(3月・6月・12月)
・24卒採用予定人数:グループキャリア36~40名
医薬品商社の平均年収ランキング
メディセオ
1898年に創業したメディセオは、「流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します」という企業理念のもと、医師の商法が必要な医療医薬品だけでなく、医療機器・医療材料・臨床検査試薬など医療に関わる商品を1,000社以上のメーカーから仕入れ、全国約10万軒もの病院・診療所・薬局に販売・納品している企業です。
災害時でも止まらない物流と流通のプロセスなど全体最適化を追求し続けており、生命に関わる医療薬品を安心・安全・効率的に届けるという責務を担う、生活に欠かせない事業を担っています。
・賞与:年2回(6月・12月)
・24卒採用予定人数:26~30名
繊維商社の平均年収ランキング
蝶理
蝶理の創業は1861年であり、160年以上の歴史を持つ商社の一つです。現在は、繊維・化学品・機械の専門商社として、国内のみならずグローバルに事業を展開しています。
「あなたの夢に挑戦します」というコーポレートスローガンのもと常に若手に大きな裁量権を与えており、老舗商社にもかかわらず活力ある風土を維持し続けています。蝶理の社風である[自由さ]により若手であっても大きな成果を上げることができる点は蝶理の魅力の1つと言えるでしょう。
・賞与:年2回(6月・12月)
・24卒採用予定人数:21~25名
燃料・エネルギー商社の平均年収ランキング
伊藤忠エネクス
伊藤忠エネクスは1961年の創業以降、半世紀以上に渡り石油製品・LPガスといった[エネルギー]を中心とした事業を展開している専門商社です。
「社会とくらしのパートナー~エネルギーと共に・車と共に・家庭と共に~」という経営理念を掲げ、エネルギーという生活に欠かせない社会インフラの1つを日本全国に届けています。近年は電力事業・モビリティ事業にも参入するなど事業拡大を続けています。
・賞与:年2回(6月・12月)
・24卒採用予定人数:21~25名程度
日用品・化粧品商社の平均年収ランキング
PALTAC(メディバルHD傘下)
1989年創業のPALTACは、「誠実と信用」という信念のもと、化粧品・日用品・一般用医薬品・健康衛生関連品といった[美と健康]に関する生活必需品を取り扱う中間流通業を担っている企業です。
創業から現在に至るまでに54社と合併し全国流通網を確立してきました。現在の取引企業数は1,000社以上・取扱品目数は5万品目以上であり、これらを全国の小売店約5万店舗に提供しています。年間出荷数量は35億個、市場シェアの32%をPALTECが取り扱っています。
・賞与:年2回(7月・12月)
・24卒採用予定人数:46~50名
※初任給・賞与・予定人数は[マイナビ2024]に掲載されていた内容を参照
商社の平均年収
ここまで商社業界の年収ランキングをご紹介してきましたが、ここでは商社業界の平均年収についてお伝えしていきます。
[総合商社][専門商社]それぞれの平均年収についてみていきましょう。
総合商社の平均年収:1,430万円
そもそも総合商社とは生活に身近な食料品から石油や天然ガスなどのエネルギー資源、金融、医薬、不動産など業界をまたぎあらゆる資源・材料の流通網を持つ企業のことを指します。
日本に存在する総合商社と呼ばれる企業はさほど多くなく、[伊藤忠商事][三菱商事][住友商事][三井物産][丸紅]などの巨大総合商社企業をまとめて5大商社、これに[豊田通商][双日]を加えた7大商社が日本を牽引する総合商社の主力企業だと覚えておきましょう。
ここでは、この7社の平均年収をお伝えしていきます。
・7大総合商社の平均年収:1,430万円
このように総合商社の年収は1,000万円を超えるケースも多いため、高収入を得たい就活生に非常に人気の業界となっています。
専門商社の平均年収:792万円
続いて専門商社の平均年収をみていきましょう。
専門商社の年収は総合商社と異なり、専門とする業界によっても差が出るため必ずしも1,000万円が稼げるとは言いにくいです。
[東洋経済新聞社会社|四季報 2024年度版]に記載されている専門商社企業92社の平均年収は、[792万円]であり総合商社と比較すると見劣りする結果となりました。
しかし、[厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査]の調査によると正社員として働く労働者の平均年収が496万円であるため、一般的な平均給与と比較するとかなり高収入であると言えそうです。
商社の年代別平均年収
ここでは、商社の年代別の平均年収についてお伝えしていきます。
初任給だけでなく、20代、30代と年齢が上がるにつれて、どれくらいの給与アップが見込めるのかについても確認しておくと将来設計がしやすくなるでしょう。
初任給の平均年収:400万円
大卒の場合の初任給の平均月給は22.8万円です。
[厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査]によると業界全体の大卒平均月給は22.8万円であるため、商社業界の初任給は決して高いとは言えないでしょう。
しかし、商社業界では平均で約5.5ヵ月分の賞与が付与されるされるため、年収に換算すると約400万円となります。
そのため初年度から他業界に比べると比較的高い年収を得る可能性が高いと言えます。
25歳の平均年収:443万円
25歳の平均月給は25.3万円で、賞与の支給平均を5.5ヵ月分を加味すると年収は443万円です。
前述の通り[厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査]の調査結果によると正社員と働く全労働者の平均年収は496万円なので、それに近い年収を25歳の段階で得られる可能性があることとなります。
一方で、商社業界の場合、他業種と異なり20代の若いうちから高い役職に就くことはほとんどないため、急激な給与増はありません。
そのため、25歳の時期は仕事に慣れ、堅実にその後のキャリアを見据えて吸収し続けることが大切だと言えるでしょう。
30歳の平均年収:558万円
30歳の平均月給は31.8万円で、賞与の支給平均5.5ヵ月分を加味すると年収は558万です。
この時点で全業界の平均年収である496万円を超える人が大半となります。
この頃になると主任や係長といった役職に就く人もいるため、年収にもかなり個人差が出始める時期だと言えるでしょう。
35歳の平均年収:667万円
35歳の平均月給は38万円で、賞与の支給平均5.5ヵ月分を加味すると年収は667万円です。
この年齢になると、役職者に就く人が増える、海外赴任を任されるなど、重責を担う仕事が増えることから年収が上がると言えるでしょう。
中には、課長に昇格し年収1,000万円以上となるなど能力や実力に応じて年収の幅が広がります。
40歳の平均年収:838万円
40歳の平均年収は838万円です。
40歳になると主任・係長からさらに出世し、課長・部長へと昇格するなど年収1,000万円以上を得る人がかなり多く出始める時期です。
商社の場合、昇進・昇給により年収が大幅に上がるケースが多いため、能力次第ではありますが、いかに昇格できるかが年収を上げる鍵となると言えるでしょう。
※月額給与:[東洋経済新聞社会社|四季報 2024年度版]に掲載されている商社企業58社の初任給給与を基に平均値を算出
※賞与:[東洋経済新聞社会社|四季報 2024年度版]に掲載されている商社企業のうち支給月が公表されている27社のへ平均値を算出
※40歳の平均年収:[東洋経済新聞社会社|四季報 2024年度版]に掲載されている商社企業のうち年収が公表されている100社の平均年収を参照
面接や面談中に「この中で一番偉いのは誰だろう?」「この人達の役割はなんだろう?」などと悩んでしまわないために事前にチェックをしておきましょう。
商社の年収が高い理由
総合商社と専門商社によって年収の差はありますが、どちらも他業界と比べれば高水準にあります。しかし、なぜ商社は年収が高いのでしょうか。
ここでは商社の年収が高い理由についてお伝えしていきます。
在庫を持たないビジネスモデルであるため
商社は「事業に投資し、投資先の企業から株の配当金や売却益を得る」という事業をおこなっており、一般企業が通常費用をかける[広告出稿]や[設備投資]などが必要ありません
一般的に企業が事業を運営するためには、工場や機械、食材といった商品を保有し、その商品を販売するためにテレビCMなどの広告を打つ必要があります。
また銀行などの金融機関の場合には駅前などの一等地に支店を持つ必要があるなど、事業運営をするにはコストがかさみます。
しかし、商社の場合には一般企業がコストをかける部分への出費はありません。
具体的な事業の運営の方法としては、以下の通りです。
②新しい投資先から新たに配当金や売却益を得る
③ ②で得た利益で新たな企業に投資をする
④ ①~③を繰り返す
このビジネスモデルを運営することで、無駄なコストをかけることなく雪だるま式に利益を増やしています。
このように、自社内で在庫をかかえる必要がなく、事業運営に必要なコストが少ないというビジネスモデルであることが年収が高い理由の1つです。
海外赴任が多いため
商社を運営する企業は、日本だけにとどまらず大規模に事業を展開をしており、海外拠点を持つケースが多いです。
海外駐在ではさまざまなリスクが伴うだけでなく、語学などの特殊なスキルが必要になる場合もあるため海外赴任手当が付与される企業が多くみられます。
そのため、商社で働く人の中でも海外赴任をしている人は年収が高い傾向にあるという点も理由の1つと言えるでしょう。
仕事の難易度が高いため
商社では難易度の高い仕事を要求される可能性が高いです。
具体的には、アフリカに行き、資源権益に投資させてもらえるように現地政府と交渉するなどです。
しかしこのような高度な仕事をこなせる人材はそう多くはないため、優秀な人材が退職してしまわないように仕事の難易度に見合った給与を支払うと、必然的に年収が高くなるということも考えられます。
したがって、職務内容の難易度が高いからこそ、仕事に比例した収入を支払うと必然的に高収入となることが年収が高い理由と言えます。
ボーナスの支給が多いため
商社の月額給与額はさほど高くありませんが、他業界と比較するとボーナスが多い傾向にあります。
ボーナスは企業の業績に応じて支払われるため、毎年必ず支払われるものではありませんが、[東洋経済新聞社会社|四季報 2024年度版]に年収が記載されている商社企業の場合、100~400万円程度のボーナスが支給されている企業もあります。
[厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査]によると年間の賞与額の平均は88.4万円なので平均値と比較してもかなり多く、業績が好調な企業が多い点も商社の年収が高い理由の1つです。
まとめ
本記事では、商社の年収ランキングや総合商社・専門商社別の年収ランキング、年収が高い理由についてをお伝えしてきました。
業界や企業選びの手法として年収を確認する就活生もいるかと思います。
しかし、実際に入社し、その後仕事を続けることを考えると、年収以外にも、会社の社風や雰囲気・仕事内容の面白さ・仕事を通して感じる個の成長性など多方面から企業を見た上で自分にあった業界・職種を選ぶ必要があります。
業界研究や仕事理解が浅いと早期退職に繋がりかねませんので、自分の就活の軸を大切にしつつ、自分に合った企業選びができるよう情報収集を進めてみると良いでしょう。
また以下の記事では、年収や売上高などの項目別に中小企業の商社のランキングを紹介しています。是非合わせてご確認ください。
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