●明治ホールディングスの営業利益は、ロシア・ウクライナ情勢や円安などに起因する原材料価格・エネルギーコストの高騰に大きく影響され、2020年から減少が続いている。
●明治ホールディングスの求める人物像は、「積極性・自発性を持った人」、「熱意をもって仕事に取り組める人」
食品業界のホットニュース
近年、食品業界では記録的な値上げ、健康意識の高まりといった話題が取り上げられています。
記録的な値上げ
近年、食品業界では電気代・ガス代の上昇を理由とした「食品の値上げ」が続いています。
帝国データバンクの発表している『「食品主要195社」価格改定動向調査ー2023年10月』によると、2023年10月に値上げされる食品は4634品目にのぼり、12月までに予定されているものも加えると、1年間で累計3万1887品目が値上げすることになります。
こうした状況を踏まえて、明治ホールディングスでも価格改定が行われています。
2023年8月に牛乳やヨーグルトなど40品目の値上げ、9月には菓子や栄養食品など計105品目を値上げ、そして10月には菓子類は全体の6割弱にあたる88品目の値上げが実施されました。
今後もコスト上昇の吸収に向けた対策が継続的に行われると予想されます。
参照元:
帝国データバンク|定期調査:「食品主要 195 社」価格改定動向調査 ― 2023 年 10 月
明治|価格改定および内容量変更のお知らせ
健康意識の高まり
近年、人びとの健康志向が高まっていることを踏まえて、食品業界では健康の維持・増進に役立つ商品の展開が加速しています。
こうした状況下で、明治ホールディングスではグループ理念として「私たちの使命は、「おいしさ・楽しさ」の世界を拡げ、「健康・安心」への期待に応えてゆくこと」を掲げており、健康食品の開発・提供に力を入れて取り組んでいます。
2022年には「明治脂肪対策ヨーグルト」「明治吸収サポート 野菜と一緒にのむヨーグルト」を含む46品の健康志向商品※を販売しました。
また、2021年には海外で初めて「明治プロビオヨーグルトR-1」「明治プロビオヨーグルトLG21」の販売を開始しました。
今後も多様化する人びとの健康ニーズを捉えた新たな健康食品の開発・提供に力を入れて取り組んでいくことが期待されています。
参照元:明治ホールディングス|健康・栄養
※健康志向商品とは、主に乳酸菌やカカオ等素材の持つ健康機能を生かした商品、健康素材を添加することで機能強化を図った商品や、低糖質、低脂肪、低カロリー等の時代にあった健康ニーズに対応した商品、健康への貢献を目指した商品を意味する言葉です。
食品業界のビジネスモデルなどさらに知見を広げたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
データで見る明治ホールディングスの企業研究
ここでは、企業研究で見るべき事業内容や業績について紹介します。さらにSWOT分析という企業研究を深堀りする際に役立つ分析方法についても紹介するので、見てみましょう。
明治ホールディングスの企業概要
まずは明治ホールディングスの企業概要について紹介します。企業選びをする手段の1つとしてぜひご活用ください。
設立年月日:2009年4月1日
資本金:30,000百万円(2023年3月31日時点)
代表者:代表取締役社長 川村 和夫
従業員数:17,290人(2023年3月31日現在)
平均年齢:44.9歳(提出会社)(2023年3月31日時点)
平均勤続年数:20.8年(提出会社)(2023年3月31日時点)
平均年間給与:10,136千円(提出会社)(2023年3月31日時点)
福利厚生:リフレッシュ休暇、出産・育児関連制度(産前休職、産前産後休暇)、育児休業、育児勤務制度、フレックスタイム制度・短時間勤務、育児粉ミルク支援、カムバック制度など
参照元:
明治ホールディングス|会社概要
明治ホールディングス|有価証券報告書
明治ホールディングスの事業内容
明治ホールディングスの事業内容は大きく「株式会社 明治」が行う食品事業と、「Meiji Seika ファルマ株式会社・KMバイオロジクス株式会社」が行う医薬品事業に分けられます。
以下ではそれぞれの事業について紹介しています。
食品事業
食品事業では、「安全・安心」「おいしさ・楽しさ」「健康・栄養」をベースに、乳幼児から高齢者までの幅広い世代に向け、様々な商品を提供しています。
代表的なチョコレートやヨーグルトの他にも、プロテインなどのニュートリション※や外食産業・食品加工業向けの業務用食品も販売しており、充実した商品展開は明治グループの強みの一つです。
商品例:明治ブルガリアヨーグルト、R-1、ザバス、明治ミルクチョコレート、果汁グミ、明治おいしい牛乳、明治エッセルスーパーカップなど
参照元:明治ホールディングス|食品事業
※ニュートリションとは「栄養物の摂取」「栄養作用」などを意味する言葉で、明治ホールディングスにおけるニュートリションにはプロテインや乳幼児ミルクなどが含まれます。
医薬品事業
医薬品事業では、抗菌薬や中枢神経系疾患領域の医薬品※1、ジェネリック医薬品※2をグローバルに展開しています。
明治グループではアジアや欧州に16のグループ会社を保有しており、様々な医薬品を製造・販売しています。
例えば、ヨーロッパでは抗生物質などの製造・販売を行っており、抗菌薬の「メイアクト」はスペインで同種の抗菌薬市場において高いシェアを誇っています。
参照元:明治ホールディングス|医薬品事業
※1 中枢神経系疾患領域の医薬品には、うつ病・統合失調症などの病気に向けた鎮静剤、精神安定剤、睡眠導入剤などが含まれます。
※2 ジェネリック医薬品とは、厚生労働省の認可を得て製造販売される、 新薬(先発医薬品)と同じ有効成分を含む医薬品です。
明治ホールディングスの業績
次に、過去3年間における明治ホールディングスの売上高・営業利益(本業で稼いだ利益)を紹介します。
明治ホールディングスの売上高および経常利益
以下は、明治ホールディングスの売上高と経常利益をまとめたグラフです。
売上高とは、営業活動として商品やサービスを提供した際に、対価として受け取った販売額のことを指します。
そして営業利益とは、販売した商品の「売上高」から「売上にかかったコスト」を差し引いた残りのもののことを指します。営業利益が大きいほど優良企業だとされています。
明治ホールディングスの売上高は2021年に大幅に減少し、2022年には増加したものの、2020年の売上高まで回復していない状況です。また、営業利益についてみると、2020年から減少が続いています。
これは、新型コロナウイルス感染症拡大による世界経済や国内消費動向への影響、ロシア・ウクライナ情勢や円安などに起因する原材料価格・エネルギーコストの高騰に大きく影響されたことが主な原因です。
今後は、原材料コスト・エネルギーコストの増加により営業利益が減少傾向にある食品事業を、医薬品事業でどこまでカバーすることができるのかに注目が集まります。
明治ホールディングスのSWOT分析
以下にて、SWOT分析というフレームワークを活用して、明治ホールディングスの事業環境を分析していきましょう。
SWOT分析とは、競合や法律、市場トレンドといった自社を取り巻く外部環境と、自社の資産やブランド力、さらには価格や品質といった内部環境をプラス面、マイナス面にわけて分析する手法です。
この分析により、企業の置かれた状況を客観的に俯瞰して見ることができ、将来性のある企業かどうかを判断することが可能になります。
・国内での強いブランド力
・機能横断的な研究開発と知的財産マネジメント
・持続性とコスト優位性を有する調達網
・優れた生産技術と品質管理
【弱み】
・乳業・製菓の海外売上比率が低水準
【機会】
・人びとの健康意識の高まり
・新型コロナウイルス等の感染症拡大
【脅威】
・国内市場の縮小
・気候変動等の環境問題の深刻化
・原材料コスト・エネルギーコストの高騰
※就職エージェントneoが独自で作成したSWOT分析です。
企業研究をしっかり行っている学生でも、SWOT分析まできちんと行えている学生は多くいません。
そのため上記の分析内容を自分なりに理解し、志望動機や逆質問などで活用できると、他学生と差別化が出来る可能性があるでしょう。
明治ホールディングスが求める人物像
明治ホールディングスは、乳幼児から高齢者までのあらゆる世代のお客さまに、粉ミルクから菓子や牛乳・乳製品、薬品さらには高齢者食品、流動食まで、幅広い商品・サービスを提供している食品メーカーです。
そんな明治ホールディングスの求める人物像は、公式HPの採用担当メッセージに掲載されています。以下はその一部です。
「こうしよう」「こうしたほうがよい」と自らの考え・意見を積極的に主張・提案し、自ら行動するチャレンジングな社員が活躍しています。(中略)社員一人ひとりが「情熱」と「やる気」をもって仕事に挑むことが不可欠です。
明治ホールディングス|採用担当メッセージ
明治グループは若手社員にも責任のある仕事を積極的に任せようという気質に溢れた企業です。
つまり、「積極性・自発性を持った人」が強く求められており、その様な人が活躍していると説明されています。
また、あらゆる人々の生活に貢献するためには、社員一人ひとりが情熱を持ち、高い目標に挑戦することが必要不可欠です。
そのため、「熱意をもって仕事に取り組める人」も求められていると言えるでしょう。
明治ホールディングスの選考対策
ここでは、明治ホールディングスの選考対策について紹介していきます。
明治ホールディングスは2009年の明治製菓・明治乳業の経営統合によって設立された純粋持ち株会社です。
そのため、選考は実際の事業を行うグループ会社ごとに行われています。本記事では、明治グループの食品事業を行っている「株式会社 明治」の選考対策を紹介します。
明治ホールディングスの本選考対策
過去の情報によると明治では、下記の選考フローが組まれています。最新の情報では選考フローが変更されている恐れもありますので、予めご了承ください。
「ES→Webテスト→一次面接→二次面接→最終面接」
以下で実際に明治のESと面接で問われた内容と過去の内定者の回答を紹介していきます。本選考対策として、ぜひご活用ください。
エントリーシート(ES)
明治のエントリーシートでは、志望動機や入社後にやりたいことなどを問われることが多いそうです。本記事では、明治の選考を通過したESをご紹介します。
→結論を述べてから「理由は3つあります」と説明することで、長い文章でも分かりやすい構成になっています。上記の様に理由ややりたいこと等が複数ある場合は、予め個数を述べてから説明することで読みやすい文章になります。
参照元:ユニスタイル|明治(営業)
→このESも最初に「2つのことをしたい」と説明しています。また、したいことに加えて「それには何が必要か」までを述べることで、志望動機に厚みが出ており、志望度・熱意の伝わる内容になっています。
参照元:ユニスタイル|明治(総合職)
→このESでは学生時代に得た「根気強く挑戦する力」を入社後に活かせることが具体的に述べられています。本記事の「求める人物像」でも紹介した通り、明治グループでは積極性やチャレンジ精神のある人材を求めています。ESを書く際には予め企業の求める人物像を調べておきましょう。
参照元:ユニスタイル|明治(研究開発職)
Webテスト
明治では、ESに通過後、テストセンターでのWebテスト(言語・非言語・性格)が課されます。WebテストはSPI形式で言語・非言語・性格検査合わせて1時間30分程度で行われます。
面接
下記にて、明治の各面接においてどのような質問があるのかについて紹介します。人によっては、質問の内容が異なることもあるので、参考程度に見ておきましょう。
以下では過去に面接でされた質問を紹介していきます。
・志望動機
・志望職種
・研究の概要
・ESの深堀り
・大学を選んだ理由と学んできたこと
・好きな明治の商品
・明治の課題点
・車の免許はあるか
・逆質問 など
年次によって質問内容が異なってくる場合もあるので、選考前は最新の情報を各サイトから確認して情報収集しておいてください。
明治ホールディングスの財務状況
ここでは、明治ホールディングスの財務状況を「会社の安定性を図る指標」「会社の成長性を図る指標」の2つの観点から説明していきます。
”安定性”を図る指標
まずは、会社の安定性を図る指標である「流動比率」について紹介します。
明治ホールディングスの流動比率
「流動比率」とは会社の安全性を測る代表的な指標です。自己資本比率とは異なり、短期的観点から企業の安定性を判断できます。以下の公式により流動比率の算出が可能です。
「流動比率=流動資産÷流動負債×100」
明治ホールディングスの流動比率は以下のようになりました。
流動比率=470,919÷266,258×100%=176%
*明治ホールディングスの財務諸表(貸借対照表)の流動資産合計と流動負債合計より就職エージェントneoが独自に計算
流動資産は原則として1年以内に現金化できる資産を表し、流動負債は1年間以内に返済可能な金銭債権のことを表します。
この流動比率を計算することで会社にどれだけすぐに現金化できる資産があるかがわかり、流動比率が120%の会社であれば安全であると言われています。
ちなみに流動比率はあくまで簡易的に会社の安定性を判断する指標であるため、流動比率が低いからといって明治ホールディングスが破産することを示唆するものではありません。
”成長性”を図る指標
続いて、会社の成長性を図る指標である「売上高」「純利益」「純利益率」について紹介します。
上記の表は明治ホールディングスの直近3年の売上高・純利益・純利益率を表したものです。
ちなみに純利益とは、法人税など企業が支払うべき費用を差し引き、最終的に会社に残ったお金のことを指します。
新型コロナウイルス感染症拡大により大幅に減少した純利益は、2021年に一度増加しましたが、2022年は再び減少しています。
これは、新型コロナウイルス感染症拡大による世界経済や国内消費動向への影響に加えて、ロシア・ウクライナ情勢や円安などに起因する原材料価格・エネルギーコストの高騰などが主な原因です。
今後も原材料価格・エネルギーコストの高騰が続くと考えられているため、影響の受けにくい医薬品事業でカバーしていくことに加えて、海外展開にも力を入れて取り組むことが予想されます。
まとめ
本記事では、明治ホールディングスの企業研究に役立つ情報を紹介してきましたが、いかがでしょうか。
企業研究は内定獲得をするための重要な要素の1つですが、ただ情報を見るだけでは内定を獲得することはできません。
ぜひ本記事を参考にし、明治ホールディングスへの理解を深め、内定までの一歩を踏み出してください。
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