出版業界は毎年就活生からの人気が高い業界で知られています。しかし、志望者数に対して採用人数は多くないため就職難易度が高い企業が多い業界です。
そのため志望動機の質を高めなければ内定を勝ち取ることはできません。出版業界のデータや動向を今一度把握し、例文を参考に志望動機の書き方のコツを掴みましょう。
出版業界の特徴
ここでは、出版業界の動向や仕事内容について話していきます。
出版業界の業績は全体的に下降傾向にあり、特に書籍の売上が低迷しています。書籍の売上が低迷している背景には、若者の書籍離れが挙げられます。
近年、書籍以外のメディアが豊富にあるため若者が活字に触れる機会が減少していることが要因です。
また、若者の書籍離れが特に問題視されていますが、現在では幅広い世代でスマホが普及したためこの問題は若者層に限った話ではなくなりつつあります。
書籍の電子化が進んだことも書籍の売上低迷の背景の一つとして挙げられるでしょう。
理由としては、書籍の持ち運びが便利であったり、電子書籍の定額制読み放題サービス(Kindle unlimited、アップル雑誌読み放題)があるからだと考えられます。
以上2つの背景から、媒体や書籍の流通経路がネット中心にシフトしています。
実際に、ビジネス書や経済書の発行で知られている東洋経済新報社ではWebメディアとして東洋経済オンラインというビジネスニュースサイトを運営しています。
その他にも、Amazonではビックデータを活用して書籍購入時におすすめが出るような機能を搭載するようになっています。
このように従来の業界構造自体が変化する可能性も少なくありません。出版業界の今後の動向に注目し、業界理解を深めていきましょう。

出版業界の業種
■出版社
出版業界と聞いて、多くの人がイメージするのはこの出版社です。書籍や雑誌を製作したり、コンテンツを企画するのが主な業務です。
出版社の分類としては書籍、雑誌などジャンルを問わず様々なコンテンツを扱う総合出版社や文芸書、学習参考書、経済書などジャンルごとに強みを持つ出版社に分けられます。
また、出版社の中では、本の制作から発行までを管理する編集者や本の販売を促進する営業などの役割を担っている人たちが働いています。
ただし、出版社という同じ括りであっても会社によって事業が大きく異なるため、業務内容にも違いがある場合が多いです。
■出版取次
出版社が制作した書籍を全国の書店に送り届ける役割を果たすのが、出版取次です。より具体的には、書籍の仕入れや流通機能の管理、書店への営業などが挙げられます。
本の商社ともいうべき存在で、本の流通における様々な機能を担っています。
流通機能のほかにも情報伝達の機能を果たしており、取次会社が情報を集約し、出版社や書店に集めた情報を送ることによってスムーズな流通や取引が可能になるのです。
書店への営業では、書店での販売促進を支援する取り組みを行うなど、様々な手段で商品の売上アップを目指していきます。
また、既存の枠組みではカバーできない電子書籍を扱う、電子書籍取次も出現してきています。
出版社から提供されるデータを基に書店に送る電子書籍データを作成するなど、電子書籍に合わせた業務を行っています。
■書店
本を直接読者のもとに届けるのが書店の役割です。書店内での仕事には店頭での販売、大学や公共図書館への図書館図書や学術用データベースの販売などがあります。
最近では店頭だけでなく、インターネット上での販売も盛んに行われています。また電子書籍の流通に伴い、電子書籍を扱う企業も現れました。
出版業界の主要職種
■制作・編集
制作では雑誌などの企画、制作、外注依頼、打ち合わせ、デザイン編集などを手掛けます。校閲では原稿を隅々まで読み、内容の誤りを正したり不足な点を補ったりする作業を行います。
一方、編集は大きく2種類に分かれます。
1つ目は、漫画・小説の編集です。漫画・小説の編集者は作家との企画、執筆依頼、スケジュール管理、打ち合わせ、原稿チェック及び編集、各部署との調整などが主な業務です。
原稿を仕上げるのは作家であり、漫画・小説の編集者はあくまで原稿の編集作業に留まりますが、良い作品を生み出すには良い編集者が必要です。
2つ目は、雑誌編集です。雑誌編集者は制作から編集まで全て行います。さらに近年では、雑誌と連動したWebメディアやSNSの運営を編集が兼任することがあります。
そのため編集のスキルだけでなく、WebやSNSの知識を求められる場合もあるでしょう。
■営業
出版業界が行う営業は大きく分けて2つあります。
1つ目は、広告営業です。広告営業では、雑誌などに掲載される広告の広告主に対して営業、提案などを行います。
担当者は企業や広告会社に足を運び、広告主にスポンサーになってもらえるよう交渉します。
スポンサー数の増加に比例して出版社の収益も比例するので、広告営業は非常に重要なポジションと言えます。
2つ目は、書店営業です。書店営業では、出版取次会社や書店に対して自社の書籍や雑誌の営業、販売促進、提案などを主に行います。
営業では担当書店の立地や客層、過去の売上データなどに基づいてどの本が売れるかを分析し、書店の担当者と相談して書籍の注文を受けています。
販売促進・提案の業務として、「面の確保」といって自社の書籍がお客様に見えやすいように交渉を行ったりします。
その他にも、本をより多く販売するために特設コーナーを作ってもらえるよう交渉をしたり、著者によるサイン会やトークショーなどのイベントを企画提案します。
■記者(雑誌取材)
記者は制作者の雑誌の企画を元に取材を行うのが主な業務です。
音楽雑誌ならばアーティストへのインタビュー、グルメ雑誌なら店舗への訪問取材、ゴシップ雑誌なら有名人のプライベート張り込み、ビジネス雑誌なら対談レポートを行うのが記者の役割です。
また記者にはライティングまで手掛ける人と、取材のみを担当し、録音した音源をライターに渡す人も存在します。このように雑誌の種類は多岐に渡り、さまざまな雑誌記者がいます。
■デザイナー
書籍の表紙やカバーのデザインを行う職種です。デザインに凝った企画本の場合、本文を含めて1冊全てデザインする場合もあります。
出版業界で評価される志望動機を作る3つのステップ
ここでは出版業界の志望動機を書く際に意識してほしいポイントを3つ紹介します。
これから志望動機を作成するという人は、以下のポイントを参考に作成してみてください。
(1)志望動機に必要な要素を把握する
志望動機を作成する際は「なぜ出版業界か」「なぜその企業なのか」をしっかりと深掘りしましょう。
“なぜ出版業界なのか”については、数ある業界のなかでもなぜ出版業界を選んだのかについてしっかりとした理由を準備しておく必要があります。
「小説というエンターテイメントを多くの人に提供したい」などといったように、出版業界ならではの理由を述べるようにしましょう。
“なぜその企業なのか”については、志望企業の強みや事業形態などの特徴を調べて、競合他社と差別化しながら伝えます。
例えば、KADOKAWAは「ニコニコ動画」を運営するドワンゴと経営統合するなどクロスメディアが強みの一つです。
このように企業ごとの特徴や強みを把握した上で、志望動機を作成するようにしましょう。
(2)出版業界の求める人物像を把握する
制作や編集は文字を扱う職種であるため、国語力があることが大前提です。
また、作家やライターと一緒に一つの作品を仕上げていくので、コミュニケーション力や異なる価値観、立場の人とも協力して物事を進められる素養が求められます。
営業職でも、書店の担当者からニーズを聞き出したり、自社の書籍の販売促進を行うため同じ素養が必要と言えます。
さらに出版業界の仕事は新しいコンテンツを生み出していかなければならないため創造力が大切です。
新しいコンテンツを生み出していくのは簡単なことではありません。そのため試行錯誤しながら、粘り強くチャレンジし続ける忍耐力も求められます。
(3)志望動機のフレームワークを知る
情報収集や自己分析を基に、伝えることが決まれば、あとは書くだけです。必ずしもオリジナルの構成にする必要はありません。
シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機をひと言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
志望動機の考え方、書き方を詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
出版業界の志望動機の例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文および考察から、書き方を学び自身のESや面接に活かしてください。
講談社の志望動機の例文
私は少女マンガの編集をしたいと思っている。恋愛だけでなく仕事や学校生活など目標に向けて努力する主人公を見て、私自身も刺激され「頑張ろう」と物事に取り組んできた。そんな大きな影響力のある少女マンガ作りに携わり、夢や癒し、また日常の原動力を届けたい。
また私は大学時代所属していたイベント企画団体において、コンテンツ制作者のフィードバックをする立場で活動してきた。その中で企画つくりだけでなく企画を客観的に見てアドバイスしたり、制作者一人ひとりの良さを活かせるようサポートしてきた。
この経験を活かして作家に寄り添い、手助けをしながら「いつまでも人々の心に残る」作品つくりに携わりたいと思っている。
→なぜ少女マンガの編集に携わりたいのかを自身の大学時代の経験と紐付けて書かれています。
さらに強みをどのように講談社で活かすのかも明記されています。出版業界を志望される就活生はぜひ参考にしてはいかがでしょうか。
集英社の志望動機の例文
体型にコンプレックスがあっても自分の好きな服を着こなす、自分とは違う雰囲気のメイクをする、妊娠中でも服にこだわるなど、全ての人にファッションを通して自己肯定感を与え、毎日を豊かなものにしてほしい。月曜日を乗り越える服、ニキビができてもお出掛けできるメイクなど、テーマのあるファッション誌を作りたい。
→ファッション誌と通して自分が成し遂げたいことを明確に書けていて、志望度の高さが伝わる且つ、説得力のある志望動機になっています。
参照元:unistyle/選考通過者本選考ES(集英社20卒)
KADOKAWAの志望動機の例文
私にはもともと「自分の好きなもので人々に喜びを与える仕事をしたい」という思いがありました。昨年カナダに10カ月間語学留学をした際、カナダで出来た友人が日本のコミック・アニメが大好きで意気投合。様々な作品のストーリーについて互いに熱弁していました。その時から、「私の大好きな”コミック”を、日本だけでなく世界中の人々に届ける仕事をしたい」と考えるようになりました。
そして独自の海外現地法人の展開や中国初となる日系コミック誌の創刊といった、世界のニーズに応え続ける貴社。数多くあるコンテンツ業界の中でも、私の「海外でコンテンツを展開していきたい」という思いは貴社でこそ実現できると確信しています。
→国内・海外戦略スタッフを希望する理由を自身の体験と結び付けて書かれています。
このように志望理由とその理由を裏付ける体験を結び付けて書けると非常に説得力のある志望動機になります。
参照元:unistyle/選考通過者本選考ES(KADOKAWA18卒)
上記例文の他にも就活支援サイトunistyleでは選考通過者のESを7万件以上掲載しています。 下記画像からサイトに移動できるので、ぜひES作成の参考にしてください。
まとめ
出版業界では紙媒体の市場規模の縮小に対してそれぞれの企業が様々な施策を行っています。
そのため、各企業がどのような施策や事業を展開しているのかを把握し、具体的且つ説得力のある志望動機を作成しましょう。
●”出版業界”の動向
出版業界は若者の書籍離れや書籍の電子化が進んだことにより、流通経路がネット中心にシフトしている
●”出版業界”の求める人物像
(1)国語力
(2)コミュニケーション能力
(3)異なる立場、価値観の人と協力できる
(4)創造力
(5)チャレンジし続ける忍耐力
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