✔証券業界と銀行はユーザー目線で使用用途が異なる。
✔証券業界の志望動機を作成するときは、数ある業界・企業の中からどうして「証券業界、そしてその企業」を希望しているのかを伝える。
株の取引をしていることは知っていても、実際にどんな業務があるかがイメージしづらい証券会社。
実は日本の経済を支える上で大きな役割を担っています。そんな証券会社の業界の動向を掴みながら、各社の強みや社風を理解していきましょう。
証券業界の特徴
証券業界は、私たち個人が株式を売ったり買ったりするときの窓口になります。
簡単にまとめると、「人々の株式の売買を仲介する仕事」といえます。
証券業界の動向
日本は預金大国です。日本人の個人金融資産に占める現金・預金の割合は51.1%で、アメリカが13%、イギリスが24%であることと比較すると、日本人は貯金好きな傾向があるといえます。
アメリカでは資産を預金ではなく株式でもつことで、個人金融資産はこの20年で3倍に伸びているというデータもあります。
ここから考えられることは、日本人の資産の持ち方が変わると、株式の需要が高まるということです。
実際に、NISA、ジュニアNISAで非課税枠が作られるなど、株式を持つように推進する政策が実行されています。
日本人が今まで預金として持っていたお金が株式に移ることで、今後の日本社会では株式を扱っている証券会社がより活動を広げることになるでしょう。
証券会社は景気状況に大きく左右されます。例えば、バブル崩壊やリーマンショックなど、大きな不況がおこると、投資家は株を購入するのをためらうため、証券会社の仕事が減ってしまいます。
また、競合激化が進み、割安な手数料での取引を強みとするインターネット証券会社が業績を伸ばしています。
以上のような景気の変化や競合激化により証券会社は、メガバンクに譲受けされたり、中堅規模の証券会社同士でM&Aを行ったりすることが増えています。
例えば、2018年1月、SMBC日興証券株式会社とSMBCフレンド証券株式会社は、合併してSMBC日興証券になりました。
合併することにより、会社としての顧客預かり資産が増え、証券業界として業界の位置を上げていくことが狙いです。
また、証券業界も世の中のIT化に伴い、AI(人工知能)の導入が進められています。それに伴い、人の手で行っていたトレーディングが、コンピューターによるトレーディングに変わろうとしています。
例えば、米国のゴールドマンサックスは2000年に600人いたトレーダーが、2017年には2人まで減少しました。一方でトレーディングを管理するシステムエンジニアが急増しています。
証券業界についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事を御覧ください。

証券業界の業務
ここでは証券業界の様々な仕事の中から、主な4つの業務についてピックアップして説明していきます。
証券業界の4つの主要部署
❏ブローカー業務
株を売りたい人と買いたい人の代わりに取引を成立させる、取引の「仲介」の仕事です。
具体的には、株式を買いたい、または売りたい人々の注文を受け付け、それを証券取引所に伝えます。

❏ディーラー業務
ブローカー業務とは違い、自社の株式を売り買いする仕事です。
証券会社自体が取引所に入ることによって、株式の取引の売買の成約率を上げています。

❏アンダーライティング業務
株式を発行した企業の株を買い、その株を売る仕事です。そもそも、株式は、企業がお金を集めるための手段として発行されます。
よって、こちらの業務で企業の資金調達を手伝うことになります。

❏セリング業務
新しく発行された株式を一時的に預かって、買ってくれる人を探して売る仕事です。
下図で、証券会社Aが証券会社Bに株式の販売を委託し、株式を証券会社Bが投資家に売却することをセリング業務といいます。
証券会社Aと証券会社Bの取引を1社で完結させている証券会社が、大手総合証券会社です。

アンダーライティングとの違いをよく問われますが、アンダーライティング業務は発行した証券が売れ残った際には証券会社がそれをすべて引き取るのに対し、セリング業務は販売を行うだけで売れ残りの責任は負いません。
発行市場においてアンダーライター業務がとても重要であるとされるのは、発行した証券を一時的にすべて買い取ってもらえるため、発行者は資金調達の計画が立てやすくなるところにあります。
証券会社と銀行の違いとは?
証券会社と銀行は共に「金融業界」という大きなくくりでまとめることができますが、投資の観点で考えるとその役割や機能は異なります。
銀行は、基本的に銀行はお金を預けたり、ローンを組むのが主な用途となります。また銀行は法律によって株を扱うことができないため、銀行の投資は安定的で貯蓄の延長に近いものと言えるのでしょう。
一方、証券会社は投資(資産形成・資産運用)を目的に口座を開くことが多いです。
証券業界で評価される志望動機を作る3つのステップ
ここでは証券業界の志望動機を書く際に意識してほしいポイントを3つ紹介します。
これから志望動機を作成するという人は、以下のポイントを参考に作成してみてください。
(1)志望動機に必要な要素を把握する
志望動機を作成する際は「なぜ証券業界か」「なぜその企業なのか」をしっかりと深掘りしましょう。
“なぜ証券業界なのか”については、数ある業界の中でもなぜ証券業界を選んだのかについてしっかりとした理由を準備しておく必要があります。
「お客様一人一人に合った資産形成をサポートしたい」「若者の老後が少しでも楽になる手助けがしたい」のような証券業界ならではの理由を入れましょう。
そして“なぜその企業なのか”については、志望企業の強みや事業形態などの特徴を調べて、競合他社と差別化しながら伝えます。
最近は、大手の総合証券会社だけでなく、メガバンクグループの証券会社や、楽天証券、GMO証券などといったネット証券まで、数多くの企業が存在しています。
それぞれの会社が得意とする分野や特徴は異なるため、企業ごとの特徴を把握した上で志望動機を作成してください。
(2)証券業界の求める人物像を把握する
証券業界は世界情勢の影響を受けやすい業界であるため、世の中の情報に敏感でなければなりません。そのため、常にアンテナを張り、情報をキャッチアップできるといった素養は重要です。
また、キャッチアップした情報を顧客にわかりやすく伝えるアウトプット力や、顧客がどのような資産形成を望んでいるのかを聞き出せるコミュニケーション能力、傾聴力も必要です。
さらに世界情勢の影響を受けやすい業界だからこそ、予期せぬアクシデントや何かしらの影響を受けた際に、冷静に判断し、臨機応変に対応できるという素養も求められています。
(3)志望動機のフレームワークを知る
情報収集や自己分析を基に、伝えることが決まれば、あとは書くだけです。必ずしもオリジナルの構成にする必要はありません。
シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機をひと言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
志望動機の考え方、書き方を詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

証券業界の志望動機例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文および考察から、書き方を学び自身のESや面接に活かしてください。
野村証券の志望動機の例文
私はサッカーを長年続けている中で、サッカーの技術だけでなく、素行や人間性といった部分まで評価される環境にいました。したがって、無形商材を扱うため、自分自身を商材として営業できる金融業界に魅力を感じました。
その中でも特に、厳しい環境ではありますが、1年目から責任ある立場として、営業できる点に大変興味を持ちました。
以上2点より、貴社を志望します。
→最初に理由は2つあると書かれていることで、読みやすい構成になっています。
→自分自身の経験から感じたことを、証券会社の事業と照らし合わせて述べています。
→~ました。で終わる文章が続いていることが、箇条書きのように捉えられる可能性があるので場合によっては注意が必要です。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(野村証券20卒)
大和証券の志望動機の例文
そして、証券業界の中でも、お客様が本当に求めているものを提案する「お客様本位」の姿勢を最も重視している貴社に魅力を感じました。
お客様に寄り添うことで、お客様の人生を豊かにすることに対して真に貢献することができると思いました。
入社後は、リテール部門での業務を通じてお客様との信頼関係の構築力やお客様のニーズを的確にくみ取るコンサルティング力を身につけることで、自身の付加価値を向上させ、お客様の人生を豊かにすることに貢献したいと考えています。
その後、ホールセール部門で専門性を発揮していくことで、企業の挑戦や成長を支えたいと考えています。
→証券会社を志望している理由とその中でもなぜその会社なのかが明確に書かれています。
→入社後のビジョンが明確が長く書かれているため、志望度の高さが伝わります。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(大和証券21卒)
SMBC日興証券の例文
また私は12年間サッカーに取り組み、周囲と共に「夢」と言えるほど高い目標を追うことに充実感を得てきた。
証券会社のリテール営業であれば、株式の売買を通じて顧客と「夢」を追えることから、モチベーション高く働けると思い志望する。
中でも貴社の特徴は3大証券で唯一、銀行のソリューションを使えること、預かり資産成長率が1位であることだと捉えている。
幅広いソリューションを用いて顧客の生活に関わると同時に、貴社と共に自分も成長していきたいと思い志望した。
→金融業界の志望理由、証券会社への志望理由、さらにその会社への志望理由が構造的に書かれています。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(SMBC日興証券20卒)
みずほ証券の例文
○○部でリーダーを務めた経験で、自分の提案が他人の成長に貢献する喜びを感じ、より大きな規模で他人の成長を支えたいと思うようになりました。
労働人口が減少する日本において企業が成長していくにはチャレンジングな資金調達である投資が不可欠であると考えています。
私の強みである「常に成長し続けようとする向上心」と「他人の心の機微を読み取る力」を活かしてお客様に寄り添い、共に考え共に成長していきたいです。
One mizuhoを掲げる御社のグループ力を用いれば、お客様により最適なソリューションが提供できるのではないかと考えています。
→日本の今後について、この会社でできることが書かれています。また、この会社の強みであるグループ力についても触れられて、他の証券会社との差別化になるでしょう。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(みずほ証券20卒)
上記例文の他にも就活支援サイトunistyleでは選考通過者のESを7万件以上掲載しています。
下記画像からサイトに移動できるので、ぜひES作成の参考にしてください。
まとめ
本記事では証券業界の動向や特徴から、仕事内容、求める人物像、志望動機の書き方について紹介してきました。
一見銀行業界と混同しやすい証券業界ですが、投資という観点でみると目的は大きく異なります。
志望度の高さをアピールするためにも、証券業界についてしっかりと理解を深めた上で、志望動機を作成してみてください。

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