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【業界研究】2024年最新!商社業界の動向4選|ビジネスモデルや仕事内容も紹介

✔ 本記事のまとめ
●商社業界のビジネスモデルには、売り手と買い手をマッチングさせる「トレーディング」と、他社の事業に投資し株式・利益の一部を回収する「事業投資」の2つがある

●商社業界の市場規模は2018年~2020年まで減少していたが、2021年~2022年にかけては増加を続けている

●資源分野はエネルギー価格に影響を受けやすいという課題に対して、近年では商社業界全体が「非資源分野の利益比率の改善」が進められている

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目次

”商社”という業界に対して「給料が高くて安定している業界」「世界を股にかけて仕事が出来る」など華やかなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。

実際、商社では「ラーメンから航空機まで」という言葉があるように、世界のあらゆるモノを商材としてビジネスを行います。

本記事では、”商社業界”の動向や仕組み、職種、商社業界が求める人物像についてわかりやすく解説していきます。

また、商社業界の売上や利益、年収、従業員数、勤続年数を総合商社・専門商社ごとにランキングで紹介しています。これらのデータは、ビジネス規模や働きやすさ等を知ることができる指標ともなりうるため、ぜひ確認してください。

商社業界とは?

商社業界_業界研究/商社とは?

商社業界とは、主に他企業で作られた製品およびサービスを購入したいと考えている相手に「仲介して販売する業務」を生業としている業界のことを指します。

最終的に商品やサービスが消費者の手元に届くためには、原料→製品→販売と様々な工程を通る必要があるので、商社ではこれらを総合的にサポートしています。

総合商社と専門商社の違いとは?

商社は業種で言えば卸売業ですが、そこからさらに「総合商社」と「専門商社」2種類に分類されます。

この種類によって事業内容や範囲、企業の特徴などが大きく異なります。以下にてそれぞれの違いを解説していますので、しっかりと理解しておきましょう。

①総合商社

総合商社は、幅広い産業分野で、原料や加工品、資源やサービスなどあらゆる商材を扱って、国内外問わず売りたい相手と買いたい相手を結び付け、取引の仲介をしています。

また、事業や商材を売り出すために、販売チャネルの開拓や新たな物流ネットワークづくりをおこない、金融・保険機能を果たしつつ、国際的なプロジェクトも手がけています。

例えば電力や交通などのインフラ事業やそれに関連する取引を手がけるのも総合商社の仕事です。

現在、総合商社と呼ばれている代表的な企業である「三菱商事・伊藤忠商事・丸紅・三井物産・住友商事・豊田通商・双日」は、まとめて7大商社と呼ばれています。

この7大商社のうち、更に事業規模が大きい「伊藤忠商事・三菱商事・三井物産・住友商事・丸紅」をピックアップして5大商社とすることもあります。

専門商社

専門商社は、繊維や鉄鋼、自動車部品、日用品など、特定の分野に特化し、専門的なノウハウや独自の強みを持った事業展開をしています。

これら専門商社は「特定の商材や分野において50%以上の売上を占める商社」と定義されています。

特定の商品に特化することで、独自のノウハウやメーカー・取引先との強固な関係性を築けるのが大きな強みです。

しかし専門商社だからといって扱う商品が必ずしも1種類というわけではありません。

企業によっては複数の商品を扱っていることもあるため、メイン商材だけでなく、他にどのような商品を扱っているのかも把握しておきましょう。

商社業界のビジネスモデル

商社の特徴は、情報収集力によるマーケット分析やリスクマネジメント、豊富な資金力によるビジネスサポート、グローバルな物流網や販路の構築などにあります。

商社では、上記のような強みを生かして収益の柱となる「トレーディング」と「事業投資」を行っています。それぞれについて以下にて説明します。

トレーディングとは?

商社業界_業界研究/ビジネスモデル①

トレーディングの主な業務は、商社の持つネットワークを用いて、中間業者として他の事業会社の商品・サービスの需要・供給をマッチングすることです。

そしてマッチングをした際に発生する仲介手数料と売値と買値の差額分がトレーディングの収益となります。

例えば自動車メーカーが製品である自動車を製造するためには、原料の鉄鋼が必要になります。この場合、鉄鋼の売り手である「鉄鋼メーカー」と、買い手である「自動車メーカー」の間を取り持ち、貿易を成立させることが商社の役割です。

総合商社はこのトレーディングを川上(原料)⇔川中(製品)⇔川下(販売)に渡って行っており、サプライチェーン全体をカバーしています。

事業投資とは?

商社業界_業界研究/ビジネスモデル②

事業投資とは、他社のさまざまな事業に、商社が保有する経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を投資・もしくは買収をし、投資先企業が利益を上げるとその分リターンを得るビジネスのことです。

投資というと、一般的には企業の株式を取得する「カネ」の部分が目立ちます。しかし商社の事業投資は、人員の派遣や国内外に広がるネットワークを生かした情報提供や経営ノウハウなど、投資先企業を多面的にサポートすることができます。

また主に総合商社は上述した川上・川中・川下とそれぞれの企業に多く投資をしており、トレーディングビジネスと合わせてバリューチェーン※を構築しています。

(※1)『バリューチェーン(Value Chain)』とは?
バリューチェーンとは元々、アメリカの高名な経営学者で、ハーバード大学経営大学院教授のポーターが提唱した考え方です。原材料の調達に始まり、商品の製造・出荷・販売・サービスといったビジネスの流れを、「価値の連鎖」として分析し、各セクションを経て加わる価値に着目しています。

商社業界における職種

商社業界_業界研究/商社業界の職種

商社ではさまざまな仕事があり、職種は1つだけではありません。同じ商社業界に勤めている場合でも、職種が違えば仕事内容も違いますし、求められる能力も違います。

以下にて、商社での代表的な職種をご紹介します。

営業

商社の営業は、他業種の営業職のように自社の製品・サービスを売ることはもちろんですが、「売りたい企業」と「買いたい企業」を開拓し、それぞれを繋げるパイプとしての役割も求められます。

また繋げるだけでなく、適正な価格設定や仕入れ数量の調整、流通経路の確保などを調整します。

これらの業務は、さまざまな企業の担当者と関わりながら業務を進めて行く必要があるため、デスクワークよりも外回りが多く、会社にはほとんど戻らない場合も少なくありません。

そして、専門商社においての営業職は、製品の提案だけでなく、取引後の技術サポートから技術的な質問への対応、必要に応じた製品のカスタマイズ・設計まで携わります。

このような技術営業は、その製品の技術的な知識やスキルが求められるため、製造系部門である程度の経験を積む必要があるでしょう。

技術者としての知見やバックグラウンドがあって初めて、提案先にも効果的な営業活動が出来るようになります。

事業企画

事業企画は事業の立ち上げのための企画立案などをおこなう職種です。つまりどのような企業と取引をするのか、どのような分野に進出するのかについて考えます。

また他企業への投資計画を立てるのも事業計画の仕事です。そのため時には取引先企業を運営するための企画立案、経営戦略にも携わるなど、企業の経営を支援するコンサルティングとしての役割を担うこともあります。

技術

技術職は、仕入れた商品に技術的な手を加えて独自の付加価値をつけたり、顧客の要望に適した商品やサービスを提供する職種です。

具体的には、半導体のチップにプログラムを書き込んだり、自社で仕入れた金属製品に独自ノウハウを駆使した加工を施したりするなど、技術的な問題を解決する役割をいます。

物流・在庫管理

物流・在庫管理は、商品の仕入れ、在庫管理、円滑な出荷など、物流を総合的に管理する職種です。

具体的には、メーカーからの生産計画や情報システムを活用し、資材・原材料がいつ・何が・どれだけ必要となるかなどを予想することで、常に最適在庫量を維持し、安定的な供給を実現する役割を担っています。

また、物流・在庫管理業務におけるコストダウンや効率化を実現することで、戦略的なシステムを策定・実行することも重要な仕事の一つです。

営業事務・貿易事務

営業事務・貿易事務は、主に営業のサポートをおこなうのが仕事です。営業担当者に代わって電話の応対や書類作成などの業務を受け持ち、デスクワークを中心として働きます。

商社では国内だけではなく、海外の企業と取引をすることも多く、外国語での対応力が求められることも多くあります。

貿易事務においては、税関を通す際に必要な通関の手続きなどを行うため、幅広い知識が必要な職種と言えるでしょう。

通関手続きは、海外への輸出入を行う際に必須であることから、海外事業が多い企業であれば、営業事務と貿易事務を業務内容別に分けて配属する場合もあります。

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商社業界の動向

以下にて商社業界の動向を5つ紹介していきます。

■市場規模の拡大
■資源分野・スタイルのシフトチェンジ
■DX化の促進
■M&Aの活発化

まず動向を学ぶ前に商社業界について数字で見てみましょう。
専門商社は成長率にマイナスが出ていますが、業界規模については、総合・専門どちらも2021年から増加しています。

■総合商社

商社業界_業界研究/総合商社動向数字
参照元:業界動向サーチ|2021-22年の業界レポート※2023/12/14時点

■専門商社

ソフトウェア業界_業界研究/動向数字
参照元:業界動向サーチ|2021-22年の業界レポート※2023/12/14時点

市場規模の拡大

商社業界_業界研究/総合・専門商社グラフ

上記は、総合商社5社・専門商社5社※の純利益の合計をグラフにしたものです。

まず、総合商社についてみると、2018年から2020年までは減少傾向にありましたが、2021年・2022年は大幅に増加しています。2022年の総合商社5社の純利益の合計は約4兆円で、2020年と比較すると約4倍と驚異的な増加を記録しています。

2015年の純利益の合計は5343億円と非常に低い数値ですが、これは石油価格が暴落したことが原因です。また、2020年から2022年にかけて大幅に増加している背景には、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、石油・天然ガス等のエネルギー価格の高騰があります。このように、総合商社の業績は資源価格に影響を受けやすいという特徴があります。

これらを踏まえて、近年、総合商社では資源分野から非資源分野への注力がトレンドの一つになっています。資源分野から非資源分野へで詳しく説明していますので、合わせて確認してみてください。

次に、専門商社についてみると、こちらも2018年から2020年までは減少傾向にありましたが、2021年からは大幅に増加しています。

2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、日用品などで一部増加がみられましたが、鉄鋼、食品、化粧品、繊維、機械、電子など幅広い分野で減益となりました。しかし、2021年~2022年にかけては、エネルギーや電子機器、半導体、鉄鋼分野が大きく伸び、2022年については2020年から約1000億円以上の増加を記録しています。

※総合商社は”5大商社”と呼ばれている三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・豊田通商・丸紅、専門商社は売上高上位5社メディパルHD・伊藤忠丸紅鉄鋼・アルフレッサHD・スズケン・阪和興業の有価証券報告書を基に作成しました。

参照元:
・三菱商事|有価証券報告書
・三井物産|有価証券報告書
・伊藤忠商事|有価証券報告書
・住友商事|有価証券報告書
・丸紅|有価証券報告書
・メディパルHD|有価証券報告書
・伊藤忠丸紅鉄鋼|有価証券報告書
・アルフレッサHD|有価証券報告書
・スズケン|有価証券報告書
・阪和興業|有価証券報告書

事業分野・スタイルのシフトチェンジ

近年、商社業界では事業の分野やスタイルに変化が起きています。以下で詳しく紹介するので、しっかりと確認しておきましょう。

資源分野から非資源分野へ

資源分野とは、主に石油や天然ガスなどのエネルギー資源や、鉄鉱石などの金属資源を取り扱う分野を指します。特に鉄やエネルギーは、国の根幹となる領域ということもあり、取引額も非常に大きいのが特徴です。

そのため、今までの総合商社は海外の資源ビジネスに大量に投資し、その資源を世界中に販売することで巨額の利益を上げてきました。

しかし、資源分野の収益は資源価格のアップダウン次第で大きく変動するため、収益がコントロールできないという危険な側面があります。

実際、2016年に起きた「資源の急激な値崩れ」により、収益における資源分野の割合が高い三井物産と三菱商事が創業以来の赤字を出しました。一方、繊維や食品、機械など非資源分野の割合が高い伊藤忠商事は、初の業界首位に君臨し、総合商社業界のパワーバランスを大きく塗り替えることになりました。

上記を踏まえて、現在、商社業界全体が「非資源分野の利益比率の改善」に力を入れています。

非資源分野とは資源分野に含まれない事業のことを指しており、様々な商材があります。特に有名なものを挙げると、食料品や機械、住宅、繊維、情報通信事業などです。

資源分野の割合が高い三井物産では、機械・インフラ、生活産業を中心に非資源分野を強化しています。また、同じく資源分野の収益率が高い三井物産は、2017年にローソンを子会社化し、完全に傘下に入れることで非資源ビジネスの中核にコンビニ事業を取り込みました。また、同年には事業の分類を「資源・非資源」から「事業系・市況系」に変更し、市況系:事業系=3:7のバランスを目標としています。

参照元:
三菱商事|中期経営戦略2018
三井物産|中期経営計画2023

事業投資から事業経営へ

近年総合商社は、事業投資のみだけでなく事業経営まで力を入れ始めています。事業経営とはh投資先である企業に「経営者」として人を派遣し、投資先のオペレーションを回していくことを指します。

代表的な例として、三菱商事はローソンを、伊藤忠商事はファミリーマートをそれぞれ経営しています。

各商社とも、この経営人材の輩出には力を入れており、特に三菱商事は、経営人材の育成に積極的に取り組む新たな人事制度などを盛り込んだ、中期経営戦略を発表しました。

今後、各商社の経営人材育成に向けた取り組みはさらに発展していくでしょう。

参照元:三菱商事|中期経営戦略2021

DX化の促進

近年、様々な業界で「DX」が注目されていますが、商社業界でもDXを積極的に取り入れようとする動きがあります。

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション (Digital-Transformation)」を略した言葉で、企業が、ビッグデータなどのデータとAI・IoTをはじめとするデジタル技術を活用し、業務プロセスの改善や、製品・サービス・ビジネスモデル・組織・風土など様々なものを改革し、自社の競争力を高めていくことを指します。

以下では、商社がDX化を進めるメリットを、「販売チャネル」「経営」「利益率」の3つの分野に分けて説明します。

DX化するメリット3つ

商社業界_業界研究/DX化メリット

時代に合わせた販売チャネルの拡大が可能となる

DX化を進める1つ目のメリットは、「時代に合わせた販売チャネルの拡大」が可能になるという点です。販売チャネルとは、販売者から購入者に商品が届けられる経路のことです。

従来、商社では商品を大量に仕入れ、商品の売り手と買い手の間に入って手数料を得るというビジネスモデルが主流でしたが、しかし、インターネットが普及したことにより、自力での販路開拓が可能になったことや、ECサイトなどの商社を介さない直販ビジネスが増えたことにより、近年、「商社不要論」が叫ばれるようになりました。

そのため、DXを活用して、従来の販売チャネルを変化させたり、商社を介することへの付加価値を高めるといった施策が求められています。

例えば、近年「ダイナミックプライシング」と呼ばれる手法を用いる業界が増えています。ダイナミックプライシングとは、試合日程、市況、天候、個人の嗜好などに関するビッグデータ分析を基に需要予測を行い、需要に応じてサービスや商品価格を変更して『適正価格』で販売する仕組みのことです。例えば、「シーズンによって航空費やホテルの宿泊料金が変わる」「時間帯によって飲食店でのメニュー料金が変わる」などがあります。

最近では、DX施策として、この手法を応用した「需要予測」の取り組みも進められています。

データに基づいた経営が可能となる

DX化を進める2つ目のメリットは、「データに基づいた経営」が可能になるという点です。
商社は様々な商品やサービスを扱うため、それらの情報をビッグデータとして経営に活かすことで、企業としての競争力を高めることが期待されています。

例えば、市場の動向に変化があった際、その変化に適応した新しいビジネスを展開することができれば、競合他社よりも先に商品やサービスを提供することができます。また、ビッグデータから消費者の動向から需要を予測することができれば、必要な商品を”必要な分だけ”購入し提供することができ、在庫を適正に管理することや、利益を最大化することが可能となります。

利益率の向上

DX化を進める最後のメリットは、「利益率の向上」が期待できるという点です。

上述した通り、DXを取り入れることで、無駄な発注を防ぐことや、余剰在庫・在庫切れを減らすことが可能になります。つまり、在庫保管の費用を抑えることができるのです。

また、DXは商流だけではなく、物流に関してもメリットがあります。例えば、配送車の位置情報や配送先のルートをシステム化することで、コストを抑えた配送ができます。また、無駄な配送を減らすことができればドライバーの負担や人件費も削減することができ、物流も最適化が可能となるでしょう。

このように、DX化には様々な点から利益率の向上を図れるというメリットがあります。

商社業界におけるDX推進事例

以下では、住友商事・三井物産・三菱商事で実際に進められているDX化を紹介します。

住友商事

住友商事では、2018年にDXの専門組織「DXセンター」を設置しました。幅広い事業にDXを実装するため、デジタルソリューションの開発と統合運用を行うSCSK、デジタルマーケティング機能を提供するSCデジタルメディア、DX技術専門会社の(株)Insight Edgeの3社からなる協業体制を構築しています。

住友商事のDX化推進事例の1つに、「物流2024年問題」の一つである労働力不足や生産性の低さという課題に対し、量子やAI、ロボット技術を用いたDX手法の活用があります。

具体的には、倉庫現場の可視化を促す「スマイルボード・コネクト」システムと物流最適化基盤「magiQanneal(マジカニール)を組み合わせることで、現場作業員の配置を最適化し、生産性を向上させるサービスを提供しています。

参照元:住友商事|統合報告書2023

三井物産

三井物産では、2019年に「デジタル総合戦略部」を設立しました。また、DX人材育成にも力を入れており、2022年には、「Mitsui DX Academy」「DX人材認定制度」制度が導入されました。

そんな三井物産では、トレンド分析のBlack Swanを活用したDX活動を行っています。。Black Swanとは全世界のWebやSNS投稿、著名ブログを含むオンライン情報から、消費者の予兆を可視化し、次に流行するテーマ・素材等の発掘を支援するシステムです。三井物産では、このシステムと三井物産の強みである開発力を活かすことで、商品・サービスのコンセプト企画〜プロダクト試作までの高速化を実現しています。

また、三井物産では上記で紹介したダイナミックプライシングを活用し、価格を自動的に調整することで総売上金額の向上を図っています。

参照元:三井物産|DX総合戦略

三菱商事

三菱商事では、産業全体の変革を促進する「産業DXプラットフォーム」の構築を目標として、2022年に「産業DX部門」が設立されました。

そんな三菱商事では、AIによる食品需要の予測をメーカー、食品卸、小売りが共有する仕組みを構成しました。例えば、AIによる需要予測を共有することで、在庫の最適化や作りすぎによる食品ロスの減少を実現しています。

他にも、NTTと共同で世界最大規模の位置情報データベースを持つ「HERE Technologies」に出資し、物流、都市交通を中心領域として、様々な取り組みを進められています。具体的には、ドライバー不足や買い物難民といった課題に対して、AIオンデマンドバスや市民館ライドシェアのサービスなどを展開しています。

参照元:三菱商事|三菱商事が目指すDX

M&Aの活発化

専門商社の特徴は得意分野に特化した専門知識である一方、現在の日本の商社業界において、扱っている製品・サービスによっては国内市場だけではすでに飽和状態にあります。

その他にもECサイトの活況により、小売業者がメーカーと直接取引をする機会が多くなり、商社のトレーディングの需要が減少傾向です。

このような背景から、事業拡大・新規顧客の獲得・ブランド力強化そして経営基盤の強化に向け、M&Aが活発に行われています。

例えば、伊藤忠商事は2018年4月にユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社を子会社化しました。また、2019年10月には、新たなサービスの創出とさらなる事業成長を目的として、ほけんの窓口グループ株式会社の株式を追加取得し、連結子会社化しました。

他にも、2018年、エレクトロニクス※の総合商社である加賀電子株式会社は富士通エレクトロニクス株式会社(現:加賀FEI株式会社)を完全子会社化しました。また、医療従事者向けポータルサイトを運営しているエムスリー株式会社は、2021年に、眼下の医療機器を手がける東和産業株式会社を完全子会社化しています。

このように、大手総合商社から中小の専門商社まで、さらなる事業の成長を目的としたM&Aが活発に行われています。M&Aによる事業規模・領域の拡大は、メーカーとの交渉力の強化・新製品開発の提案・積極的な海外展開などの実現性が高まるため、今後も業界再編の傾向は続くと考えられるでしょう。

※エレクトロニクスとは、電子の動きを応用した素子、およびそれらを利用した通信・計測などに関する科学や技術の総称を指します。


参照元:
・伊藤忠商事|ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社株式に対する公開買い付けの結果及び会社の移動に関するお知らせ
・伊藤忠商事| ほけんの窓口グループ株式会社の連結子会社化について
・加賀電子株式会社| 富士通エレクトロニクスの買収(子会社化)について
・エムスリー株式会社| 東和産業株式会社を子会社化 

商社業界の動向を知ることは選考を突破するために必要です。

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商社業界の求める人物像

商社業界_業界研究/商社業界の求める人物像

”商社”は、幅広い商品を取り扱い、国の内外にわたり広範囲で取引市場を持つ業界です。

そのため、高いコミュニケーション能力を持ち相手に好印象を与えることができる人が求められます。

職種によって仕事内容は異なりますが、どの職種にも共通して、人と人、企業と企業を結び付けるパイプ役として働くことが求められるため、コミュニケーション能力は必要不可欠です。

また笑顔・愛嬌・フレンドリー・親切など人間的な魅力に溢れている人の方が円滑に仕事を進めることができるでしょう。

加えて、「困難なことや思い通りに進まないことがあっても、状況を判断しながら自ら率先して動き結果が出るまで諦めずにやり遂げることが出来る人」「常識に捉われない柔軟な発想力のある人」などが好まれる傾向にあります。

その他、特定分野に特化している専門商社の事業においては、扱っている事業内容に対して狭く深く理解する必要があり、なぜその商材を扱いたいのかを自分の言葉で説明できる人は好印象を与えることができるでしょう。

商社業界の志望動機の例文を見てレベル感を掴みたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

専門商社の志望動機の書き方・例文~メタルワンなど5社の選考通過ESを公開~
専門商社は総合商社と違い、特定の商材を扱っているため、企業ごとの特徴は掴みやすいですが、なぜその企業を選んだのかアピールすることが重要です。志望動機の例文を参考に書き方のコツを掴んでください。


【例文付き】商社業界で評価される志望動機の書き方とは?例文をもとにポイントを解説!
商社業界は、事業規模が大きく海外展開している企業が多いことから、グローバルに働くことができる点や年収が高いという印象が強く、就活生からの人気が毎年高い業界です。商社業界のデータや特徴を今一度把握し、例文を参考に書き方のコツを掴みましょう。


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商社業界のランキング

ここでは総合商社業界と専門商社業界のランキングを「業績」と「社内環境」に分けて紹介します。

業績ランキング

■総合商社

商社業界_業界研究/総合商社ランキング①
▶参照元:業界動向サーチ/総合商社業界の売上高ランキング(2021-22年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。(※2023年12月時点)

■専門商社

商社業界_動向/専門商社ランキング①
▶参照元:業界動向サーチ/専門商社業界の売上高ランキング(2021-22年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。また企業名にあるホールディングスを「HD」と省略しています。(※2023年12月時点)

売上については総合商社業界の1位が三菱商事、2位が伊藤忠商事、3位が三井物産、経常利益は1位が三菱商事、2位が三井物産、3位が伊藤忠商事です。

専門商社業界の売上1位はメディパルHD、2位は伊藤忠丸紅鉄鋼、3位はアルフレッサHD、経常利益は1位が伊藤忠丸紅鉄鋼、2位が阪和興行、3位がメディパルHDとなっています。

売上や利益、利益率をチェックした方が良い2つの理由は、以下の2点です。

・売上は企業の財務力を表している
・利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示している

売上は企業の財務力、ビジネスの規模を表しています。つまり売上が高い企業の方が行っているビジネスの規模が大きいということです。

またA社とB社が同じ利益の場合、売上が大きい企業の方が金融機関からの融資を受けやすいとされているため、売上を見ることで企業の資金調達力もチェックすることができます。

次に利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しています。そのビジネスによる付加価値がどれくらいあるかを測る指標です。

つまり利益がほとんど出ていなかったり、赤字だとビジネスに何らかの問題があるということになります。

ただし、このランキングだけでなく、成長率も大事であるため各企業の過去についても振り返っていきましょう。

社内環境ランキング

■総合商社

商社業界_業界研究/総合商社ランキング②
▶参照元:業界動向サーチ/総合商社業界の社内環境ランキング(2021-22年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。(※2023年12月時点)

■専門商社

商社業界_動向/専門商社ランキング②
▶参照元:業界動向サーチ/専門商社業界の社内環境ランキング(2021-22年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。また企業名にあるホールディングスを「HD」と省略しています。(※2023年12月時点)

年収については総合商社業界の1位が三菱商事、2位が三井物産、3位が伊藤忠商事、勤続年数は1位が三菱商事、2位が住友商事、3位が伊藤忠商事です。

専門商社業界の年収1位はマクニカ・富士エレHD、2位は西本WismettacHD、3位は長瀬産業、勤続年数は1位がキヤノンマーケティングジャパン、2位がプロルート丸光、3位が中部水産となっています。

勤続年数が長いということは定着率が高いということになります。一概には言えませんが、定着率が高い会社は良い会社である可能性が高いです。

また従業員数が多い会社は多様な人と関わり合うことができるというメリットがあります。しかし従業員数が多すぎると自分の意見が通りにくい場合もあるというデメリットもあるため、自分にとってどの環境が合っているのか考えてみましょう。

まとめ

本記事では商社業界について、総合・専門の違いやビジネスモデル、近年の動向まで詳しく紹介してきました。

2018年~2020年まで減少傾向にあった商社業界の市場規模は、総合・専門どちらも2021~2022年にかけて増加を続けています。これには、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰により、資源分野での収益が好調に推移したことが背景にありますが、エネルギー価格は上下しやすく、収益が安定しないという課題もあります。これらを踏まえて、近年の商社業界では資源分野から非資源分野へのシフトが加速化しています。

また、時代に合わせた販売チャネルの拡大・利益率の向上などを目的としたDX化も業界全体で積極的に進められています。

商社は「ラーメンから航空機まで」という言葉があるように、世界のあらゆるモノを商材としてビジネスを行っており、扱う商材がそれぞれ企業によって異なります。

そのため、商社の選考を突破するためには、業界だけでなくそれぞれの企業の特徴や強みをしっかりと理解することが必要不可欠です。

本記事を通し、商社業界の動向について理解ができた人は、あわせて企業研究もしっかりと行い選考に備えましょう。

また「業界研究って他に何をしたらいいの?」と思っている人は下記の参考記事を見ておくことをオススメします。

たった4ステップで業界研究を完璧に!誰でも簡単にできるやり方を紹介
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