●人材業界の仕事は、大きく[人材派遣][人材紹介][人材コンサルティング][求人広告]の4つに分類することができる
●コロナ禍後、国内企業の人材不足により市場規模は拡大しており、採用ターゲット・採用チャネルの多様化、デジタル化が進んでいる
●雇用制度の変化によりリスキリングやスキルアップがより重視され、柔軟な働き方を支える法改正が進んでいる
●人材業界に向いている人は[人と関わることが好きな人][コミュニケーション能力が高い人][冷静に課題と向き合い情報収集・行動する力のある人]
- 「人材業界って、具体的にどんな仕事をしているんだろう?」
- 「自分に向いている業界なのかな…?」
[人材業界]に興味を持った就活生の中には、上記のような疑問を持つ人も少なくないでしょう。
本記事では、そんな就活生に向け、人材業界の[仕組み]や[将来性]といった基本から、[年収・働きやすさランキング]、そして[どんな人が向いているか]まで、企業研究に必要な情報をまとめて解説します。
人材業界は採用に課題を持っている企業と仕事を探す求職者に向き合い、「企業と人をつなぐ」仕事です。そのような人材業界は事業が大きく4つに分かれています。
本記事では、4つの事業のサービスや特徴の違いが分からないといった人に向けて、各事業の仕組みや事業内容などの違いをまとめています。そして人材業界の動向や求められる人、志望動機・自己PRの書き方についてもわかりやすく解説していきます。
また人材業界の売上や利益、年収、従業員数、勤続年数をランキングで紹介しています。ビジネス規模や働きやすさ等がわかるので、志望企業が決まっていない人は参考にしてみてください。
人材業界とは?4分野のビジネスモデルを解説
人材業界と聞くと、マイナビやリクナビなどの就活ナビサイトを思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、それは人材業界が提供するサービスの1つに過ぎません。実際には、人材業界のビジネスは幅広く、[企業]と[働く人]、双方の採用やキャリアに関する悩みを解決するため、様々なサービスを提供しています。
ここでは、その代表的な4つのサービスとそのビジネスモデルを紹介します。
人材派遣
人材派遣とは、派遣会社が雇用する社員を、別の企業(派遣先)に派遣し、そこで仕事の指示を受けて働いてもらう事業モデルです。

この働き方の最大の特徴は、派遣スタッフの所属(雇用契約を結んでいる会社)と、勤務地(実際に働く場所)が異なることです。
- 所属(雇用主) → 派遣会社
(例:スタッフサービス、リクルートスタッフィング など) - 勤務地 → 派遣先企業
(例:IT企業、メーカー、商社など、様々な企業)
この[雇用主]と[勤務地]が違うという点が、他の3つのビジネスモデルとの大きな違いです。
人材紹介
人材紹介とは、[人材を採用したい企業]と[良い会社で働きたい人]を、プロの視点で引き合わせるビジネスモデルです。
採用が決まった場合、求職者は紹介先の企業と直接、雇用契約を結びます。人材紹介会社は、その[紹介料(成功報酬)]を企業から受け取ることで、利益を得ます。

求人広告
求人広告とは、Webサイトや情報誌などの[求人掲載場所(メディア)]を提供し、そこに企業の求人情報(広告)を掲載してもらうことで、広告掲載料を得る事業です。
就活生の皆さんがよく利用するマイナビやリクナビは、この求人広告メディアの代表例です。
この業界には、主に[メーカー]と[代理店]という、2種類の企業が存在します。
メーカーは、マイナビのように、自社でメディアそのものを企画・運営している会社です。
代理店は、自社のメディアは持たず、マイナビやリクナビといった様々なメーカーのメディアを組み合わせて、「こういう広告の出し方が効果的ですよ」と企業に提案する会社です。

人材コンサルティング
人材コンサルティングは、企業の[人事]に関する経営課題を、専門的な知見から解決に導く事業です。
例えば、「若手がすぐに辞めてしまう」「新しい評価制度を作りたい」といった企業の相談に対して現状を分析し、研修プログラムの提案や、採用戦略の立案といった、具体的な解決策を提案・実行します。
人を直接紹介する派遣や紹介事業とは異なり、企業の[組織]そのものを強くして持続的な成長をサポートすることで、より本質的な課題解決に貢献します。

【2025年】人材業界の最新動向
人材業界のビジネスモデルについて把握したところで、次は人材業界の最新の動向を見てみましょう。
ここでは、[市場規模の回復と拡大][採用ターゲットの多様化][テクノロジー活用による採用手法の変化]の3つのポイントに分けて解説していきます。
市場規模の回復と拡大
コロナ禍で一時的に落ち込んだ人材業界の市場規模は、現在力強く回復し、さらなる拡大を続けています。この背景には、日本社会が抱える主に2つの大きな構造変化があります。
1つは、深刻な[人手不足]です。
少子高齢化による労働人口の減少に加えて、一部の業界では特に人材が集まりにくいという問題も深刻化しています。
多くの企業が「人手が足りない」と悩んでおり、お金を払ってでも良い人材を採用したいという需要が、人材業界の市場を力強く押し上げています。
もう1つは、[転職の一般化]による、人材の流動化です。
終身雇用が当たり前だった時代は終わり、より良い待遇や、専門性を高めるための[転職]が一般的になりました。そのため、企業と人のマッチングを仲介する、人材業界の役割がますます重要になっています。
転職サービスdodaの調査によると、こうした社会変化を背景に、2024年以降、全体の求人数はコロナ禍以前を上回る水準で増加し続けており、人材業界が今後も成長が期待される、将来性の高い業界であることが分かります。
※参照元:厚生労働省/一般職業紹介状況(令和7年7月分)について
※参照元:doda/転職求人倍率レポート(データ) ※2025年9月18日発表
採用ターゲットの多様化
慢性的な人手不足や、働き方の価値観の変化を背景に、企業が求める人材(採用ターゲット)も多様化しています。
ここでは、特に重要な2つの変化、[国籍の多様化]と[働き方の多様化]について解説します。
🔶外国人労働者の受け入れ拡大
これまで日本人を中心に採用してきた多くの企業が、人手不足の解決策として、外国人労働者の採用を積極的に進めています。
実際、2024年10月末時点で、日本で働く外国人労働者の数は過去最高の230万人を突破しました。この動きに伴い、外国人採用に特化した人材サービスも、次々に生まれています。
※参照元:厚生労働省/「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)
🔶副業・兼業人材の活用
日本全体で[働き方改革]が進んだことで、終身雇用以外の、より自由で多様な働き方を選ぶ人が増えています。
例えば、専門スキルを持つ人が複数の会社で働く[副業・兼業]や、組織に属さず個人で仕事を受ける[フリーランス]といった働き方も、一般的になりました。
この[働き手の変化]に対応するため、企業側の採用スタイルも変化しています。
正社員として長期雇用するだけでなく、必要なスキルを持つプロフェッショナル人材に、必要な時にプロジェクト単位で業務を委託するケースが増えています。
テクノロジー活用による採用手法の変化
かつて、企業の採用活動は、紙の求人情報誌や、Webサイトに広告を掲載するのが主流でした。近年はテクノロジーの進化と、採用ニーズの多様化により、採用手法そのものが大きく変化しています。
ここでは、その代表的な2つの変化を見ていきましょう。
🔶HRテック市場の急拡大
HRテックとは、人事(Human Resources)と技術(Technology)を組み合わせた言葉で、AIなどを活用して採用業務を効率化・高度化するサービスを指します。
この技術により、AIによる書類選考の自動化や、学生と企業の相性をデータで分析するサービスが次々と生まれています。
またHRテックの導入が広がっていることで、こうしたHRテックサービスそのものを開発・提供するIT人材の需要も、市場の拡大と共に急速に高まっています。
※参照元:株式会社矢野経済研究所/デジタル人材を対象とした人材サービス市場に関する調査を実施(2025年)
🔶採用チャネルの多様化
少子高齢化による人手不足が深刻化する中で、従来の[待ち]の採用手法だけでは、優秀な人材を確保することが難しくなってきました。
これまでの、情報誌やWebメディアに求人広告を掲載し、学生からの応募を[待つ]というスタイルに加え、近年では、企業側から学生に積極的にアプローチする[攻め]の採用が増えています。
具体的には、企業の採用担当者がX(旧Twitter)などで直接メッセージを送ったり(SNS採用)、社員の友人を紹介してもらったり(リファラル採用)といった、採用手法が挙げられます。
人材業界で今、起きている「2つの大きな変化」
ここまで解説してきたように、人材業界は時代とともに様々な変化がありました。
そして現代の日本は、少子高齢化による労働人口の減少・共働き世帯の増加・働き方改革など、大きく形が変わろうとしています。
こうした時代の流れに密接に関わりのある人材業界の[今、起きている変化]について、2つの重要なポイントを紹介します。
「終身雇用」から「キャリア雇用」の時代に
これまで日本国内では、一度入社した会社で定年まで働き続ける終身雇用制度が主流で、採用後の研修を通して本人の志望や適性を見て配属先を決めるという流れが一般的でした。
しかし先述したように、求職者や企業の採用におけるニーズは多様化し、実質的に終身雇用制度は崩壊しつつあります。
そこで主流になり始めているのが、[キャリア雇用制度]です。これは自身のスキルや専門性を高め、主体的に自分のキャリア(=職務経歴や経験)を築いていくという考え方です。
就活においても、職種や仕事内容を限定して採用する[ジョブ型雇用]を導入する企業が増えているため、新しいスキルや知識を学ぶ[リスキリング]や[スキルアップ]の重要性が高まっています。
人材業界は、こうした時代の変化に合わせて、1人ひとりのキャリア形成をサポートする役割を担っているのです。
多様な働き方を支える法改正への対応
人手不足や労働者のライフスタイルの変化に対応し、多様な働き方を推進するため、近年、働き方に関する法律も大きく変わっています。
そして、この法改正は、人材業界のビジネスに直接的な影響を与えています。ここでは、特に重要な2つの法改正を見ていきましょう。
🔶育児・介護休業法の改正
現在日本では、共働き世代は年々増加傾向にあります。そこで、子の看護休暇や残業免除の対象拡大など、育児や介護と仕事を両立しやすくするための法律が改正されました。
これにより企業側は、テレワークや短時間勤務制度の導入など育児・介護中の社員が働きやすいよう柔軟な対応をすることがこれまで以上に求められています。
人材業界は、こうした柔軟な働き方ができる企業と、それを求める求職者とを、的確にマッチングさせるという、新しい役割を担っています。
※参照元:厚生労働省/育児・介護休業法について
※参照元:独立行政法人労働政策研究・研修機構/共働き世帯の状況―労働力調査(詳細集計)の結果から―
🔶雇用保険法の改正
多様な働き方を支えるためのもう1つの大きな変更は、雇用保険法等の改正です。
具体的には、雇用保険の適用範囲が週所定労働20時間以上から10時間以上になったり、自己都合で退職した場合の失業給付の制限が緩和されたりと、雇用のセーフティネットが拡充されました。
これにより、働く1人ひとりが、より安心して、主体的に自分のキャリアを選べる時代になったと言えるでしょう。
人材業界は、こうした[キャリアの選択肢]の多様化に対応し、1人ひとりの[自分らしい働き方]の実現を、専門的な知見でサポートするという、重要な役割を担っているのです。
※参照元:厚生労働省/令和6年雇用保険制度の改正内容について(雇用保険法等の一部を改正する法律)
人材業界に向いている人の特徴
人材業界の仕事は、時代やニーズの変化に柔軟に対応しながら、目の前の相手に寄り添い、採用の課題解決をサポートすることです。
そのため、専門的なスキルだけでなく、仕事への向き合い方や価値観といった[人柄]が、非常に重視されます。
ここでは、人材業界に向いている人の特徴を、4つのポイントでご紹介します。
人と関わることが好き
人材業界の仕事は、求職者と企業の双方に深く関わり、それぞれの想いを理解することから始まります。
そのため、「人の話を聞くのが好き」「誰かのために頑張りたい」といった、人への純粋な興味関心と貢献意欲は、全ての業務の土台となる、最も大切な資質です。
コミュニケーション能力・傾聴力が高い
課題解決のためには、話しやすい雰囲気や信頼関係をつくり、相手が本当に求めていること・悩みを引き出す必要があります。
そのため、人と話すことが好きであることにプラスして、コミュニケーション能力・傾聴力の高さが重視されるのが人材業界です。
単に話を聞くだけでなく、相手の言葉の裏にある真意を読み取ることが得意な人ほど、人材業界で活躍することができるでしょう。
冷静に課題を見つめ進めることができる
時には、求職者がなかなか内定をもらえない、企業が求める人材が見つからない、といった困難な状況に直面することもあります。
そういった場面で、感情的にならず、何が課題なのかを冷静に分析し、粘り強く解決策を考えられる力が求められます。
情報収集が得意、行動力がある
労働市場や法律、新しい採用手法など、人材業界を取り巻く環境は、常に変化しています。
企業や求職者に常に最適な提案を行うためには、社会の動きや最新情報を常に把握し、学び、迅速に行動するフットワークの軽さが不可欠です。
【2025年最新】人材業界ランキング
ここまで、人材業界についての動向や、どんな人が向いているのかを解説してきました。最後に、人材業界のランキングを[業績]と[社内環境]に分けて紹介します。企業選びの参考にしてみてくださいね。
「業績」ランキング
企業の業績を見る際は、[売上高]と[利益]という2つの数字に注目しましょう。

※参照元:日本経済新聞(参照日:2025年10月)
売上や経常利益、利益率をチェックした方が良い理由は、以下の2点です。
- 売上=企業の財務力を表している
- 経常利益・利益率は企業がおこなっているビジネスの成否を示している
売上高は、その企業のビジネス規模の大きさを示します。売上高が大きいほど、事業展開が広く、経営基盤が安定している可能性が高いと言えます。
次に経常利益・利益率は、そのビジネスによる付加価値がどれくらいあるかを測る指標です。
利益がほとんど出ていない、あるいは赤字になっていると、ビジネスに何らかの問題があるということになります。
上記を踏まえて、人材業界の[業績ランキング]を見てみると、人材業界の中でも「求人広告」「人材紹介」「人材派遣」と幅広く事業を展開している企業が上位にランクインしている傾向があります。
また、ITエンジニアや製造業の技術者といった、専門職の人材派遣に強みを持つ企業が特に高い利益率を誇っている点も、現在の市場を読み解く上で注目すべきポイントです。
「社内環境」ランキング
人材業界の働きやすさを判断する上で、[平均年収]と[従業員数]、[平均勤続年数]は、重要なヒントになります。

※参照元:日本経済新聞および各社有価証券報告書(参照日:2025年10月)
平均年収の高さは、企業の収益性だけでなく、利益を社員にしっかり還元する姿勢の表れと考えることができます。
また、平均勤続年数が長いことは、社員の定着率が高く、長期的に安心して働ける環境である可能性を示唆しています。
一方で、従業員数については、大企業の[安定性や教育機会の充実]と、少数精鋭の企業が持つ[意思決定の速さや若手の裁量権]といった、それぞれ異なるメリット・デメリットが存在します。
これらのデータとご自身の価値観を照らし合わせ、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
まとめ
今回の記事では、人材業界の基本的なビジネスモデルから、最新の動向、そして求められる人物像まで、幅広く解説してきました。
[人材業界]と一口に言っても、派遣・紹介・求人広告・コンサルティングなど様々なビジネスモデルがあり、社会の変化の最前線にいることを、ご理解いただけたかと思います。
このように、業界全体の仕組みや動向を理解することは、数ある企業の中から、自分に本当に合った1社を見つけ出すための、重要な第一歩となります。
この記事で得た知識を活用し、次は企業研究に進み、後悔のないキャリア選択を実現してください。
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