
総合商社業界の志望動機の書き方・例文~三菱商事など7社の選考通過ESを公開~
事業内容や年収の高さから、就活生に高い人気がある総合商社。業界研究だけでなく、企業ごとの特徴を把握して志望動機を書きましょう。志望動機の例文を参考に書き方のコツを掴んでください。
総合商社業界の特徴
ここでは総合商社の動向・業務・職種についてを解説してきます。
総合商社は、主に三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・丸紅・住友商事・双日・豊田通商などがあり、扱い品目に制限がなく様々なものを扱っているのが特徴です。
総合商社業界の動向
総合商社の動向として挙げられるのが、資源価格の下落です。それまで総合商社は、石油や鉄鉱石といった資源分野で収益を稼いでいましたが、資源分野は国際情勢の影響を受けやすいため、価格変動のリスクが大きく、資源分野の収益をコントロールできない難しさがあります。
実際に2015年度利益額1位の三菱商事が、翌年の2016年に総合商社のなかで利益額5位に下がることもありました。
最近では、資源価格は再び上昇しているものの、総合商社は全体として脱資源依存の流れが起きており、非資源分野に注力しています。
その非資源分野とは、繊維や食品・機械分野などが含まれます。なかでも、伊藤忠商事は人工知能やFinTech(金融×IT)などデジタル技術に力を入れるなど、モノに捉われない事業投資の動きも見られています。
このように、資源分野と非資源分野両方を強化することで安定した事業バランスを保つ狙いがあります。
■数字で見る総合商社業界の現状
参照元:業界動向サーチ/全136業界の業界ごとの合計、または平均を項目ごとにランキング。総合商社業界8社が対象(2018年-2019年)
総合商社業界の業務
ここでは総合商社の様々な仕事の中から、3つピックアップして説明していきます。
商取引業務
総合商社の基本となる「トレーディング」です。簡単に言えば、売りたい人と買いたい人を結びつけ、そこから仲介手数料を得るビジネスのことです。総合商社が行う意義として、
⑴過去のトレーディングビジネスから得た売り手となる企業のデータや各国の経済状況・社会情勢を活かしたマーケティング能力
⑵船舶など輸送手段の手配をすることができる物流機能
これらを活かし世界中のあらゆるモノやサービスを仲介し、需要と供給を一致させています。
金融業務
総合商社は、銀行から多額の資金を調達し、取引先企業へ融資や立替え、保険機能の付与なども行っています。
例えば、油田とメーカーのトレードを仲介する場合、先に商社が油田への支払いを肩代わりし、メーカー側の支払期限を30日後に設定する、といったことができます。
このように商社を挟むことで、油田側は資金を早く回収でき、メーカー側は支払いを延期することができるようになるのです。金融業務はトレーディングや後述する事業投資の業務を行う上で欠かせない機能です。
投資業務
ある企業に商社の「ヒト・モノ・カネ・情報」を投資することによって企業価値を高め、そのリターンをもらいます。株式を購入し資金を注入するだけでなく、トレーディングで培ってきたノウハウを活かすことで、投資先の企業価値を高めることができるのです。
総合商社業界の職種
総合職
営業や企画などの基幹業務に従事することになるため、仕事量が多いです。ただその分やりがいも非常にあると言えます。また、総合商社は世界各地に支社を持っており、転勤や出張が多いのが特徴です。
一般職
契約書の作成や取引先とのやり取り、来客対応などサポート事務が主な業務となります。基本的に勤務地が限定され、勤務時間も総合職より短いため、ライフ・ワーク・バランスの取りやすい職種と言えるでしょう。
志望動機を作るために用意すべき3つの「なぜ」
総合商社に入社するには、徹底的な業界研究、企業分析、そして自己分析が不可欠です。一貫性と論理性のある志望動機を書くために、最低限3つの「なぜ」を言語化した上で作成しましょう。
「なぜ」総合商社を志望するのか
なぜ総合商社なのかを説明する必要があります。例えば、特定の商材を取り扱っている専門商社と様々な商材を取り扱っている総合商社、同じ商社という括りでも事業内容は全く違います。ほかの業界以外と差別化をするためにも、総合商社だけでしか得られない価値を明確にしておきましょう。
「なぜ」その総合商社を志望するのか
総合商社によって事業内容や社風は大きく異なります。そのため、各社ごと十分に調べた上で、志望動機を書く必要があります。
例えば、穀物と電力事業の2つが強みである丸紅は、社風として年次に関係なく相手の意見に耳を傾ける文化があったり、繊維や食料といった非資源分野が強みである伊藤忠商事は、「ひとりの商人、無数の使命」という企業理念にもあるように個の力を重視する傾向があるようです。
企業理念や取り組みを比較するだけでなく、インターンやOB・OG訪問を通じて感じた社風など研究し、自分だけの志望動機を作れると良いでしょう。
「なぜ」自分が向いているのか
なぜ自分がその総合商社に向いているのか説明しましょう。総合商社のよくある志望理由として、
⑴新規ビジネスをおこしたい
⑵価値観の異なる様々なメンバーと一つの目標を達成したい
⑶日本のプレゼンス向上に貢献したい
などがあります。こういった理由に対し、自身の学生時代の経験と照らし合わせることで、より説得力の増す志望動機になります。そして、その経験から得た学びや強みが、志望している総合商社でどう活かせるのか伝えましょう。
志望動機の書き方
情報収集や自己分析を基に、伝えることが決まれば、あとは書くだけです。必ずしもオリジナルの構成にする必要はありません。シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機をひと言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
▶志望動機の書き方、考え方を詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
「志望動機の書き方~選考通過率をUPさせる方法~」「志望動機の正しい考え方やコツ~「志望動機がない…」と悩んでいる人必見~」

志望動機の例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文および考察から、書き方を学び自身のESや面接に活かしてください。

三菱商事の志望動機の例文
この経験から、貴社でガーナの主要産業である金・石油・コーヒー豆のいずれかのトレードに関わり、国の発展と世界の人々の幸せに貢献したいと考えます。そして、いつか必ず募金活動で集めたお金によって建てられた小学校を自分の目で確かめに行きたいです。
→自身の経験から得た学びを事業内容に照らし合わせて述べています。
三井物産の志望動機の例文
→インターンを通じて得た学びから志望動機に繋げています。社風での差別化だけでなく事業内容に関しても、面接ではうまく話せるようにしておきましょう。
伊藤忠商事の志望動機の例文
→伊藤忠商事のESは文字数が少ないのが特徴です。50文字であっても、自分の過去の経験や企業の特徴を詳細に洗い出し、面接で深堀りされても大丈夫なように対策しておきましょう。
丸紅の志望動機の例文
半年前からウェブメディア会社でインターンシップをしており、キュレーションメディアの記事執筆・検品をして運営をサポートしています。最も大切にしているのは「ホウレンソウ」で、分からないこと、改善すべきと感じたことはすぐに社員の方と共有しました。信頼いただきライター・後輩インターンシップ生向けのマニュアル作りに携わりました。同様の主体的な態度で貴社のバックオフィスを固めたいです。
→自身の経験から得た強みを志望動機に反映できています。一般職であっても、なぜその企業なのかについて述べることができればより良いでしょう。
住友商事の志望動機の例文
→自身の経験、なぜその業界か、なぜその総合商社か、を200字という短い文章で簡潔にまとめられています。
双日の志望動機の例文
貴社には、私がこれまでの人生において行動の基軸においてきた当事者意識を最も体現し、私の夢を実現できる環境があると考えます。貴社は、事業投資をビジネスモデルの一つとしており、出資先の成長のために一面的ではなく多面的なサポートを行い、自らも当事者として事業を主導することもあります。それに加え、貴社であれば鉄道事業や総合都市インフラ開発事業などに代表されるような世界を相手に様々な関係者を巻き込みながら貢献度の高い課題解決ができると考えます。また、世界中に活躍のフィールドがあり、若い頃から裁量権をもって様々なチャレンジをすることができる環境があるということも魅力的に感じました。
私は、当事者意識をもって多岐にわたる仕事の課題解決にあたり、強い使命感をもって貴社のビジネスに携わり、夢の実現・貴社の発展に貢献したいです。
→600字と文字数が多いため、自身の経験から将来成し遂げたいことを述べ、なぜ双日でしか駄目なのか説得力のある志望動機で伝えられています。
豊田通商の志望動機の例文
中でも、真のニーズを捉えるために、現地に足を運び、現物を見て現実を直視することを大切にし、常に新しいビジネスづくりに挑戦し続けている貴社でこそ、上記の夢を実現できると考え、志望するに至った。
→将来の夢に対し自身の経験が背景にあることを伝えることで、志望動機が論理的に述べられています。また総合商社業界とその企業についての説明も簡潔に述べることができています。
▶レベルの高い例文集を見たい方は下記記事をご覧ください。
「志望動機のおすすめ例文10選!」総合商社を志望する上でのQ&A
総合商社の難易度の高さから、どんなことをすれば内定を得られるのか疑問を感じる就活生もいるかもしれません。そのため、感じているであろう3つの疑問に答えてみました。
Q1.凄いエピソードが必要なのか
いわゆる商社マンは、海外を飛び回って仕事をしているイメージから、志望動機には凄いエピソードが必要なのかと思われがちですが、必ずしもそうではありません。
確かに総合商社に内定している人たちはビジネスコンテストで優勝したり、スポーツで優秀な成績をおさめていたりする人もいます。しかし大切なのは、自身の経験から何を学び、何をそこから得たかです。
Q2.英語は必須なのか
総合商社は世界中の企業・人々がビジネスの対象です。そのため、海外出張で仕事をする以外にも、英語でメールのやり取りをするなど、ほとんどの業務で英語を使います。
もちろん、TOEICの点数が高かったり留学経験があるに越したことはありませんが、英語を喋れない人でも内定をもらう学生はたくさんいます。
Q3.学歴はどれだけ重要なのか
総合商社の採用大学を見ると、東大や早慶といった難関大学がほとんどです。ただ、それ以外の大学から採用がないわけではありません。
どうせ受からないと考えエントリーシートを出さないのは非常にもったいないです。
まとめ
総合商社業界は就活生から圧倒的な人気があり、内定を得るのは容易ではありません。ただQ&Aでも述べたように、大切なのは自身の経験から得た学びをどのように伝えるか、です。他の就活生と差をつけるために、論理的かつ一貫性のある志望動機を作りましょう。
▶志望動機の基礎から応用まで網羅的にノウハウを知りたい方は下記をご覧ください。
「志望動機の書き方・例文」あなたの志望動機は順調ですか?
ここまでは、志望動機を書くために必要な情報をお伝えしてきました。
それでも、「自分の場合はどうすればいいの?」と不安な方も多いのはではないでしょうか。
そんな時は、自分ひとりで抱え込まず、客観的な視点からフィードバックをもらうべきです。就職エージェントneoでは、企業人事の要望を把握したプロのアドバイザーが年間2万件以上の就活生の悩みにお応えしています。
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