
運送業界の志望動機の書き方と例文~選考通過ESを公開~
運送業界と聞いてなんとなくは理解できていても、具体的な仕事をイメージできる人は少ないと思います。しかしそれでは選考を通過することは難しいです。
そのため実際に運送業界にはどのような業種、職種があるのかを明確にしてから、志望動機の例文を参考に書き方のコツを掴みましょう。
運送業界の特徴
この章では運送業界の動向や業種、職種についてわかりやすく解説していきます。
運送業界の動向
アマゾンや楽天などのインターネット通販市場の拡大に伴い運送のニーズは急増しています。
それによって問題とされているのが運送業界の人手不足です。荷物は増え続けていますが、それを運ぶドライバーは年々減少しています。その対策として運送業界ではITの導入やトラック輸送を向上させるための様々な取り組みを行っています。
例えば、アマゾンが配送用のドローンを開発していたり、トラックに他社のトレーラーを連結し、ドライバー1人で2台分の荷物を運ぶ共同輸送などを行い、ドライバーの負担を軽減し、効率化を図れるような動きを取っています。このようにして増え続けている運送ニーズに対応しています。
■数字で見る運送業界の現状
航空業界
鉄道業界
海運業界
倉庫・運輸業界
参照元:業界動向サーチ/全136業界の業界ごとの合計、または平均を項目ごとにランキング。航空業界5社、鉄道業界46社、海運業界16社、倉庫・運輸業界41社が対象(2018-19年)
運送業界の業種
様々な業種の中でどの業種を選ぶべきか、特徴と差別化ポイントを勉強しておきましょう。
航空業界
航空業界は2007年から2010年にかけて大幅に需要が減少していましたが、近年の売上は増加傾向にあります。その理由としては、政府によるインバウンド政策、クールジャパンの人気により、訪日外国人客が増加しているからです。
また、企業業績が好調であり、海外展開の需要が増加していることも航空業界の市場規模拡大に寄与しています。
今後もオリンピック開催などに伴い、訪日外国人は増加すると予想されているため、航空業界の需要は高まっていくでしょう。そのため羽田、成田空港をはじめとした空港ごとの発着数の増便や、飛行経路の見直しなど、航空インフラの整備を行っていく必要があると言えます。
航空業界の職種
■パイロット
パイロットは航空管制官と無線通信をしながら航空機を操縦し、安全に目的地まで乗客と貨物を運ぶ仕事です。また、フライト前には機長、副操縦士、運行管理者、客室乗務員とミーティングを行い、気象データや飛行経路、燃料の確認、などを行います。
■グランドスタッフ
グランドスタッフはチェックインカウンターで航空券の発券や、荷物の受け取りなどを行う搭乗手続きや乗客をスムーズに誘導する搭乗案内をしています。それだけでなく、常に機体の到着や整備の状況を確認し、関係部署と連携をとり搭乗予定の乗客に伝え、混乱を防ぐ役割も担ってます。
■航空整備士
航空機が安全に飛行するために整備や点検、修理を行う仕事です。航空整備士が担当する整備業務はエンジンなどの機体部品だけでなく、機内のシートや飛行機内で食べ物の調理や準備を行うギャレー内設備品までと幅広くなっています。
■客室乗務員
飛行機の乗客にサービスを提供する仕事です。食事やドリンクの提供、新聞雑誌、毛布などの配布などといった乗客のアシストを行います。
また、それだけでなく、乗客の安全を守るために、緊急時や異常事態の発生時にアナウンスや誘導を行ったり、急病人が出た場合の応急措置などといった保安管理業務も客室乗務員の重要な役割です。
鉄道業界
主要顧客である生産年齢人口が減少傾向にあるため、鉄道業界の市場規模縮小は余儀なくされていましたが、訪日外国人の増加によって国内景気が回復し、2012年頃、鉄道業界は業績を持ち直しました。
しかしこのままでは今後需要が低迷してしまうことが予想され、鉄道業界では新たな収入源を模索しています。そこで目をつけたのが、ホテル、不動産・開発、小売業、レジャーなどです。
例えば、ホテル事業ではJR化九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」、JR東日本の「トランスイート四季島」などがあり、不動産・開発事業では駅ナカ・駅チカの商業施設の開発なども行っています。このように人口減少に備え、鉄道業界では様々な事業を展開している企業が増えています。
鉄道業界の職種
■整備、管理(建設、車両、公務、電気)
管理・整備の主な仕事内容は車両整備計画立案や線路や土木建造物の管理、車両の保守点検、信号通信設備などの管理・指令業務などを行います。基本的には野外での作業が多い職種です。
■サービス提供
サービス提供は、鉄道事務、運行・運行管理・販売管理に分けられます。旅客輸送、貨物輸送の運行はもちろん、鉄道が安全にダイヤ通りに運行するための管理や指令を行っており、利用者との接点が最も多い職種です。
■サービス開発
サービス開発は鉄道サービス企画、ITサービス企画に分けられ、鉄道を利用する人々の流れやパターンを分析し、より快適なサービスの提供ができるように考えます。利用者の意見や気持ちを身近に感じ、それをサービスに反映できる仕事です。
■営業、販売促進(営業企画、営業管理、販売促進、広告促進)
鉄道会社の魅力や利便性を多くの方に知らせるための仕事です。各鉄道会社の沿線の魅力を多くの人に知ってもらうために、広報、宣伝、PR活動、誘致活動などを行います。
■不動産開発
鉄道の沿線にある土地の開発から、マンション、一戸建て分譲地の開発を行っており、街づくりに貢献しています。このように不動産開発を行い、沿線の生活利便性や住環境を向上させることによって住人や利用者が増え、結果的に鉄道事業の売上にも貢献しています。
海運業界
海運業界は荷主の動向や世界経済に影響を受けやすい業界であり、業績が安定しにくい業界です。
実際に2007年までは新興国需要の増加に伴い業界規模を拡大していましたが、2008年頃からアメリカの金融危機や燃料の高騰によって大幅に業績が落ち込みました。
しかし近年では円安傾向によって緩やかに回復しています。
※外航海運は9割弱がドル建てであり、ここ最近のドルに対する円安基調も追い風となっています
海運業界の職種
■陸上職(事務系・技術系)
事務系
事務系の仕事には荷主を訪ね営業を行い、より多くの貨物を集めたり、荷主に対して最適な輸送プランの提案やサポートを行う営業があります。
また、案件ごとに使用する船を考え、最適な船を手配する船隊整備、貨物、燃料補給や寄港地などの航海計画を立て、自分の担当する船に指示を出す運航管理も行います。
技術系
造船や新技術の導入、船の手入れなどを行います。それだけでなく運航船から得た技術を分析し、船の保守や修繕に活かしています。
■海上職
海上職には航海ルートを判断し針路を決め、船の操縦や指揮をとる航海士、船舶の機械の保守・点検を行う機関士、海上で他の船舶とのやり取りを行ったり、陸上との連絡を担当する通信士という職種があります。
倉庫・運輸業界
インターネット上で商品を購入するEコマースが消費の方法として一般的になり倉庫の重要性が増していることから、倉庫業界はおおむね堅調の業績推移を見せています。実際にES市場の拡大により、宅配便の取り扱い件数は5年間で112%成長しました。
倉庫の需要がどんどん増える一方で、倉庫業界では人手不足が問題視されているため、対策としてAIの早期実用化を目指しています。例えば、ピッキングや仕分けにITを活用したり、無人運転技術を取り入れようという動きを取っています。
倉庫業界以外にも、今後も増えていくだろうという倉庫のニーズに目をつけ、不動産企業なども倉庫事業を行っています。
倉庫・運輸業界の職種
■ドライバー(旅客輸送)
配送センターや倉庫から出荷された商品を流通・卸売企業、小売店や購入者のもとへ運ぶ仕事です。運ぶだけでなく、積み込みや荷下ろしの作業も必要となります。
■管理(物流管理、配送管理、在庫管理)
荷主から預かった商品の入荷、保管されている商品の管理など、届先に納品するまで商品保管や在庫管理などを行います。
また、荷主の要望に応じて、商品を適切な品質、量、時期、場所、価格で届けるためのスケジュールや配送手配、人員配置なども行っています。
■営業
営業の仕事は顧客の物流ニーズをヒアリングし、荷主の要望、問題点を洗い出してコストも含めて最適なサービスの提供や物流システムの提案です。
事業所や物流センターなどと連携を取り、最適なソリューションをつくる企画営業という業務もあります。もちろん売上や利益を確保するために新規顧客開拓も行います。
■技術(システム開発)
技術職の仕事は物流に関するシステム開発です。営業職などと連携しながら、物流システムを通じ、顧客の問題解決に努めています。また顧客先に常駐し、ITインフラの構築及び設計を行う場合もあります。
志望動機の作り方のポイント
運送業界は業界の中でも様々な業種が存在し、その業種を志望している理由をしっかりと伝えることができなければ書類選考を通過できません。なぜ志望するのか、なぜ自分なのかをシンプルかつロジカルに書きましょう。
運送業界の志望動機に必要な3つの要素
なぜ運送業界か、なぜその業種か、なぜその企業か。この3点の深堀りが必要不可欠です。
まず業界について。運送業界は荷物だけでなく人の命を預かる責任重大な仕事と言えます。また、人々の暮らしの根源に関わっている仕事でもあります。そのため、人々の暮らしを少しでも快適にしたいなどといった運送業界ならではの理由を入れましょう。
次に業種について。例えば、鉄道業界であれば荷物や人を運ぶだけでなく、不動産やレジャー、ホテルなどの開発を行っている企業もあるため、企画力やニーズを汲み取る力が求められる仕事になります。
運送業界の中でも業種によって仕事内容が大きく異なってくるため、自分に向いている業種は何なのかしっかりと考えるようにしましょう。
最後に企業について。上述しましたが、企業によって同じ業種でも力を入れている業種は異なります。例えば、不動産業に力を入れている企業もあれば、ホテル開発に力を入れている企業もあります。
そのため自分の将来の目標を明確にし、目標を実現できる企業を選ぶようにしましょう。
運送業界で求められる人物像
運送業界は荷物や人の命を預かる仕事であるため安全・正確性が非常に重要です。そのため自分の仕事に対して責任感を持って取り組める人材が求められています。
また、運送業界は現在、課題解決のためにIT導入などといった様々な施策を行っています。課題を解決するためにも、従来の型にはまっているだけでなく、自ら新しいことを考えることができる、発想力や企画力なども求められる素養だと言えるでしょう。
志望動機の書き方
情報収集や自己分析を基に、伝えることが決まれば、あとは書くだけです。必ずしもオリジナルの構成にする必要はありません。シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機をひと言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
▶志望動機の書き方、考え方を詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
「志望動機の書き方~選考通過率をUPさせる方法~」「志望動機の正しい考え方やコツ~「志望動機がない…」と悩んでいる人必見~」

志望動機の例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文から、クオリティと書き方を学び、自身の書類に活かしてください。
航空業界の志望動機の例文
そこで私は、学童のアルバイトで学んだ(1)命をお預かりする事に責任を持ち注意を行き渡らせる(2)求められている事を理解する為相手へ興味を持ち続ける事を活かしていきたいです。一人一人のお客様を想い、沢山の発見と気遣いの行動を通してお客様の期待を上回るサービスを提供したいです。
→自分の実現したいことが個社で実現できる理由と、過去の経験を通して入社後に活かせる強みを書けていることによって具体性が増し、働いているイメージがしやすい志望動機になっています。
鉄道業界の志望動機の例文
貴社は大阪・三ノ宮・広島といった大規模拠点において街づくりを進めています。今後、人口減少が進み訪日外国人が増加していく中で国内の大規模都市の魅力を高め、人々が訪れたいと思う街を作っていくことが大切であると思います。そこで将来は3大プロジェクトに携わり国内の重要拠点となる街づくりを実現したいです。
→実現したいことが業種まで絞れているため、信憑性がある志望動機になっていると思います。また、日本の社会課題を解決するための自分の意見を述べられている点も好印象です。
海運業界の志望動機の例文
2点目は海上輸送に囚われない多角的な事業を行っている点です。なかでも海洋事業の意義の大きさを魅力に感じていて、いずれ海洋事業に携わり、自身の柔軟性を活かして様々な人と共に新たな価値の創造に貢献したいと考えています。
→なぜこの業界を志望しているのかを過去の経験を踏まえて書けている点が良いです。
倉庫・運輸業界の志望動機の例文
とりわけ貴社を志望する理由は、今後も引き続きマーケットの拡大が予想される中国において先行展開をしているため、国際競争が激しさを増すなかで存在感ある業務が出来るからだ。
→実際にアルバイトで物流の影響力を実感した経験を踏まえて成し遂げたいことが書かれているため、説得力のある内容になっていると思います。
しかし個社で具体的にどのようなことがしたいのかが見えてこないため、個社のどのような事業でどのようなことがしたいのかまで考えるようにしましょう。
▶レベルの高い例文集を見たい方は下記記事をご覧ください。
「志望動機のおすすめ例文10選!」まとめ
運送業界の中でも鉄道や航空などといったように様々な業種が存在するため、志望理由をなぜなぜと掘り下げて具体的でロジカルな構成で制作しましょう。
▶志望動機の基礎から応用まで網羅的にノウハウを知りたい方は下記をご覧ください。
「志望動機の書き方・例文」あなたの志望動機は順調ですか?
ここまでは、志望動機を書くために必要な情報をお伝えしてきました。
それでも、「自分の場合はどうすればいいの?」と不安な方も多いのはではないでしょうか。
そんな時は、自分ひとりで抱え込まず、客観的な視点からフィードバックをもらうべきです。就職エージェントneoでは、企業人事の要望を把握したプロのアドバイザーが年間2万件以上の就活生の悩みにお応えしています。
就活でモヤモヤしている方は、少しでも早くそのお悩みを解決し、自信をもって本番に臨んでください。
