少子高齢化が進む日本において、今後さらに存在感が増していくと予測される製薬業界。人の命や健康に関わる専門性の高い業界のため、より具体的で明確な志望動機を作成する必要があります。
本記事で製薬業界に関する知識と志望動機作成のノウハウを身につけ、内定に向けた準備を進めていきましょう。
製薬業界の特徴
ここでは製薬業界の動向や医薬品の種類、職種について解説していきます。
製薬業界の動向
近年、国内の医薬品生産額は縮小傾向にあります。
というのも、少子高齢化による医療費増加に伴い、国が薬価引き下げを実行しているためです。
また、厚生労働省が後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用率を2018年9月から2020年9月に向けて72.6%から80%まで高めるという目標を策定したため、新薬メーカーにとってはより厳しい状況になると言えるでしょう。
しかし、収益率が高い高付加価値産業の1つである医薬品産業は、今後の日本経済をリードするという大きな役割を期待されています。
その実現に向けて、最近では多くの製薬会社が巨額のM&Aやグローバル展開を行い、海外に対する開発力の遅れを取り戻そうとしているほか、予防医療への取り組みや他業界との連携も盛んに行われています。
医薬品営業と医療機器営業の違いとは?
製薬会社と医療機器メーカーとの違いは、特に営業職(MR)に着目すると比較が難しいかと思います。そのため、具体的な業務内容から両者を比較していきましょう。
製薬会社の営業スタイルは医師から患者さんのニーズや課題を聞き出し、そこに対して効能や副作用といった情報をもとに自社医薬品を提案するというものです。
これに対して医療機器メーカーの営業スタイルは、自社製品の機能はもちろん、その使い方等についても実際の現場に出向いて説明を行います。
以上を踏まえると、医薬品営業はより患者さんにダイレクトに関わるものであり、提案スタイルもよりアカデミックなものになると言えるでしょう。
医薬品の種類
製薬会社について理解するうえで、医薬品の種類は適切に把握しておく必要があります。
まずはどんな医薬品があるのか、簡単に確認しておきましょう。
❏医療用医薬品
医師による処方や指示によって使用されることを目的として供給される薬のことを、医療用医薬品と呼びます。
処方せんの場合は医師が患者1人1人に合わせて処方せんを発行し、薬剤師が調剤します。
効果の高いものが多い反面、副作用にも注意する必要がありますが、医師や薬剤師の指示を守って使用すれば基本的に問題はありません。
❏一般用医薬品
薬局やドラッグストアで消費者が直接購入できる薬のことを、一般用医薬品と呼びます。
消費者個人の判断で購入・使用できるため、より一層高い有効性と安全性が求められます。
また、副作用や飲み合わせによるリスクの程度に応じて第1類医薬品から第3類医薬品まで分類されており、それぞれに応じて販売ルールや情報提供の必要性が決められています。
❏新薬とジェネリック医薬品
新薬(先発医薬品)は、長い研究開発期間を経て国の承認を受け、発売される医療用医薬品です。
これに設けられる再審査期間と特許権存続期間が満了すると、ジェネリック医薬品(後発医薬品)が製造・販売可能になります。
ジェネリック医薬品は元の新薬と同じ有効成分で作られますが、新しい技術で味や飲みやすさが改良されるものもあります。
製薬会社の主な職種
❏MR職
MR(medical representative)とは医薬情報担当者と呼ばれる、いわゆる営業職のことを指します。
医療従事者に対する情報提供や情報収集、自社の開発部門への情報伝達などを通じて医薬品の普及を行います。
当然、医薬品に関する高い専門性が求められますが、どの製薬会社も充実した研修体制を整えているため、文系出身のMRも多く存在しています。
❏研究職
様々な方法で薬の候補となる化合物を作り、その有効性や安全性を調べるのが研究職の主な役割です。
理系学生からの人気が高く、高い専門性が求められる職種のため、採用試験は狭き門となることがほとんどです。
❏臨床開発職
いわゆる「治験」を行うのが臨床開発職になります。動物や細胞などを使って臨床試験(治験)を行い、その効果や毒性をモニタリング・研究します。
また、治験のみに限らず、実際の薬の承認申請まで行うため、医薬品開発の最終ステージを担う役割といえます。
❏生産技術職(エンジニアリング職)
承認された薬を効率的に生産するための量産体制を構築するのが生産技術職です。
具体的には工場における新規設備の設計や導入、点検等を行います。生産ラインの構築や改善を通じて、生産効率の上昇、コスト削減、品質向上などに努めます。
製薬業界で評価される志望動機を作る3つのステップ
ここでは製薬業界の志望動機を書く際に意識してほしいポイントを3つ紹介します。
これから志望動機を作成するという人は、以下のポイントを参考に作成してみてください。
(1)志望動機に必要な要素を把握する
志望動機を作成する際は「なぜ製薬業界か」「なぜその企業なのか」をしっかりと深掘りしましょう。
“なぜ製薬業界なのか”については、数ある業界の中でもなぜ製薬業界を選んだのかについてしっかりとした理由を準備しておく必要があります。
「副作用のない薬を作りたい」「病気で苦しんでいる人を救える薬を作りたい」のような製薬業界ならではの理由を入れると良いでしょう。
“なぜその企業なのか”については、志望企業の強みや事業形態などの特徴を調べて、競合他社と差別化しながら伝えることが大切です。
例えば、大塚ホールディングスであれば、大塚製薬や大塚製薬工場、大鵬薬品工業を主要事業会社とする持株会社で、グループ各社で密に連携しながら事業を推進しています。
その中でも大塚製薬はビタミン入り炭酸飲料「オロナミンCドリンク」やスポーツドリンク「ポカリスエット」、栄養食品「カロリーメイト」「SOYJOY」などの企画・開発・発売で、製薬会社の域を越えた事業を展開しています。
このように企業ごとの特徴や強みを把握した上で、志望動機を作成してください。
(2)製薬業界の求める人物像を把握する
製薬業界の仕事は、人の命に密接な仕事であるため、責任感や信頼感があり、規範に順応できる人に向いている仕事です。
薬を作るには、膨大なデータを積み上げ、作用機序や品質性・安全性を確かめていく必要があります。
ミスが許されない作業であるため、何事に対しても丁寧に取り組める人、時間がかかるものでも粘り強く取り組める人が向いているでしょう。
また、製薬業界はグローバル化が進んできている業界の1つであるため、英語力も求められると言えるでしょう。
特に外資系企業に入社した際は、外国人の医師と話す機会も多いため、語学力は必須です。
(3)志望動機のフレームワークを知る
情報収集や自己分析を基に、伝えることが決まれば、あとは書くだけです。必ずしもオリジナルの構成にする必要はありません。
シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機をひと言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
志望動機の考え方、書き方を詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
製薬業界の志望動機例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文から、クオリティと書き方を学び、自身の書類に活かしてください。
武田薬品工業(MR)の志望動機の例文
また御社は、グローバルに活動を行い、チャレンジし続けています。私も御社に入り患者のために、出来ることを考え、チャレンジしていきたいと考えています。このような環境で努力を続けることで、自分が成長し続けることができると考え、志望致します。
→要点を絞って記述されており、読みやすい文章です。ただ、文字数の関係上仕方ないのですが、やや抽象度の高い文章になっています。
タケダイズムの何に共感したのか、どんなチャレンジがしたいのかなどを具体的に記述できるとより良い文章になると思います。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(武田薬品工業(MR)17卒)
アステラス製薬(研究職)の志望動機の例文
自身の研究で出来る限り多くの患者さんの健康に貢献したいと考えている私は、貴社のモダリティ研究分野に最も強い興味を抱いています。
新たなモダリティ(治療手段)の確立は1つの疾患に対してのみではなく、複数の疾患に対する画期的な新薬創出に繋がると考えているためです。
また、私は博士課程において「炎症を誘起する新規分子の同定」という研究成果を報告するなど新たな創薬標的探索への関心を強く持っています。以上の理由から、薬理研究分野に対してもより高い魅力を感じています。
→自身の研究内容を絡めた具体的な志望動機になっており、製薬業界に興味を持ったきっかけも明確です。
強いて言えば、「自身の研究で出来る限り多くの患者さんの健康に貢献したい」という結論を冒頭に持ってくると、より読みやすい文章になると思います。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(アステラス製薬(研究職)19卒)
第一三共(開発職)の志望動機の例文
患者カルテや医師からの情報といった「使用者の声」を製品に最も反映させ、多くの人の健康に寄与できる開発職を志望しています。入社当初は医療機関に赴き、治験が行われている臨床現場のことを知りたいです。
→結論を端的に伝えらており、原体験やそこから生まれた想いも明確で分かりやすい内容になっています。
また、今後のキャリアプランまで記述されており、採用担当者が入社後の姿をイメージできる具体的な志望動機となっています。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(第一三共(開発職)19卒)
エーザイ(MR)の志望動機の例文
1つ目は、人の豊かな生活には身体の健康が必要であり、予防から治療まで全て関われる業界だと考えるからです。
2つ目は、薬の可能性の大きさに惹かれたからです。薬が人の命を救うだけではなく、まちづくりのきっかけにもなると聞き、私も薬を通して多くの人を笑顔にしたいと思いました。
その中で、貴社を第一に志望する理由は社員様1人1人がhhcの考えをとても大切にしている姿勢が伝わってきたからです。私は飲食店でのホールスタッフの経験から、自分たちの商品を売ることだけを考えていては利益は出ないと学びました。
信頼関係を構築し、相手のニーズを引き出すことで本当の結果につながります。「第一に大切なのは患者様の目線。そしてこれを大切にすることで信頼を得て、持続的な結果につながる」と社員様がおっしゃっていた時、強く共感しました。
私も、患者様とその家族のことを考え続け、真摯に向き合っている先輩のもとで働きたいと感じました。また、説明会の際「まちづくり」というキーワードを多くの社員様が口にしており、地域にも貢献できる環境が貴社にはあると実感しました。
→志望理由は2つという前置きをしているため読みやすく、とても具体的で説得力のある志望動機になっています。
業界に興味を持ったきっかけも実際の社員の方の声がもとになっているため、他の学生と差別化された志望動機になっているのではないでしょうか。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(エーザイ(MR)19卒)
上記例文の他にも就活支援サイトunistyleでは選考通過者のESを7万件以上掲載しています。
下記画像からサイトに移動できるので、ぜひES作成の参考にしてください。
まとめ
本記事では製薬業界の特徴や仕事内容、どのような人材が求められるのか、製薬業界で評価される志望動機の書き方について紹介してきました。
製薬業界は業界自体も特殊なうえ、職種ごとの特徴も大きく異なります。
そのため、志望動機を作成する前に業界・企業研究を行い、志望企業についてしっかりと理解しておく必要があります。
志望企業への理解を深めた上で、なぜ志望するに至ったのかを自分の言葉で伝えられるようにしておきましょう。
志望動機の書き方・例文
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