日本は資源に乏しく、輸入に依存している国と言えるため、石油業界各社は生き残りをかけ、様々な対策をとっています。
このように資源を扱う石油業界は、私たちの暮らしと密接に関わっており、生活に欠かせない製品を多く取り扱っていることから就活生に人気の高い業界です。
人気がある業界の選考を突破するためには業界知識・企業知識が必要となるため、まだ石油業界についてよくわかっていないという人は本記事を読んで、課題や今後の展望、各社の特徴まで把握しておきましょう。
本記事では石油業界の仕組みや仕事内容、動向、志望動機・自己PRの書き方、業界内ランキングを紹介しています。また過去のインターン・本選考の内容も紹介していますので、石油業界を志望している人は選考を受ける前に参考にしてみてください。
石油業界の仕組み
石油業界では原油を精製して石油にし、石油製品を販売しています。
大手企業の中には原油の採掘から輸送、精製、販売までを自社内で行っているところもありますが、日本国内では原油を採掘できるところがほとんどないため、基本的には輸入に頼っている現状です。
石油業界のビジネスモデルは大きく分けると「上流」「中流」「下流」の3つに分かれており、それぞれの役割は以下のようになっています。
(1)上流:原油の開発・生産
まず原油を生産する前に採掘場所の事前調査を行い、産油国と石油開発に関する契約を締結します。そうすることで油田開発の権益の一部を獲得でき、原油の開発・生産を行うことができるのです。
権益を獲得できたら、その地域を掘削してから生産施設を建設し、ようやく石油の生産を行います。
(2)中流:原油を輸送する
海外で採掘した原油はタンカー、天然ガスはLNG専用船で日本に輸送します。
そして日本到着後、原油はトレーラーや船などを通して、天然ガスはパイプラインを通して使用する場所に直接供給します。
(3)下流:原油の精製
輸送されてきた原油を精製し、ガソリン、灯油、ジェット燃料、軽油、アスファルトなどの製品を製造します。
販売先は様々で、衣料品メーカーや航空会社、ガソリンスタンドなど、企業向けに販売しています。
上記のような流れで、私たちの生活に欠かせないエネルギー資源が製造されているのです。
石油業界の職種
石油業界にはたくさんの職種が存在しますが、今回は石油業界のメインといえる3つの職種を紹介していきます。
開発
開発は、石油の研究を行う人と石油施設の建築に最適な土地を探す資源開発を行う人がいます。
石油の研究では、石油の成分や精製プロセスに携わり、石油製品の開発を通じて商品化を行っています。
また資源開発では地下深くにある石油やガス資源を地質・物流調査、採掘調査、生産テストなどを行い、最適な石油プラント建設地を選定しています。
管理(プロセス管理・プラント管理)
プロセス管理は石油精製や石油化学製造など、石油の生産管理全般を担当しており、具体的には、需要の予測や生産計画を立案し、進捗管理を行っています。
このように需要に合わせた生産計画の作成から石油を供給するところまでの役割を担っているため、幅広いプロセスの知識が必要です。
またプラント管理では、石油の採掘や製造の際に必要であるプラントの設計を行っています。プラントを新設するだけでなく、既に建築されているプラントの検査や補修を行うのもプラント管理の役割です。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは潤滑油や石油の販売、メンテナンスを行っています。その他、卸先であるガソリンスタンドなどに経営のアドバイスなども行っています。
このように営業職ではあるものの、ただ営業スキルがあるだけでいいわけではなく、供給機器の保守メンテナンスの知識や経営についてなど、様々な知識が必要となる職種です。
石油業界の動向
国内燃料油の販売量は2012年から2020年まで8年連続で減少しており、販売量が減少した原因の1つとして新型コロナウイルスが挙げられます。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、世界的な行動制限や渡航制限が出され、エネルギー需要が減少したことにより、2020年の石油製品の販売数量はコロナ前の2019年の水準を下回っています。
しかし2021年になり新型コロナウイルスも次第と落ち着き始め、経済活動が回復してきたことから、2021年の燃料油の販売数は2020年よりも増加という結果になりました。
まず動向を学ぶ前に石油業界について数字で見てみましょう。
参照元:業界動向サーチ(2021-2022)/業界ごとの合計、または平均を項目ごとにランキング。(対象企業14社)※2022年11月時点原油価格の高騰
近年、円安や原油価格の高騰により、国内燃料油の販売量が減少している一方、石油や灯油、ガソリンなどの石油製品の販売価格が上昇しています。
この原油価格の高騰は、世界的に経済活動が活発化し需要が増えている一方で、供給量が不足し”需要と共有のバランスが崩れていること”が大きな原因と言えるでしょう。
供給量が不足している背景には、コロナ禍で産油施設のメンテナンスが不足している点や、一大産油国であるロシアの原油の禁輸措置が挙げられ、このような原油供給を巡る不安感は長期的に続くと考えられています。
新エネルギー事業の拡大
日本ではエネルギー政策として「脱炭素社会」が掲げられており、さらに世界的な脱炭素の流れも加わったことで、国内の石油需要は縮小する見通しです。それに伴い石油業界各社が化石燃料に変わる「新たなエネルギー事業の拡大」を進めています。
例えば、国内シェア首位のENEOS HDは新たな稼ぎ頭として「再生エネルギー事業」の強化を目指しており、中でも洋上風力発電に注力しており、2022年から26年頃にかけて国内外の9か所で運開を予定しています。
また、出光興産は石油に代わる新たな燃料として「アンモニア事業」に注力しています。UAE(アラブ首長国連邦)からのアンモニア輸送の実証検証や、豪州でのアンモニア事業化を2024年に予定しています。さらに、株式会社JERAや外資系化学メーカーと共にアンモニアサプライチェーンの早期構築を目指しているようです。
石油業界のM&A
国内の石油事業者は1996年の特定石油製品輸入暫定措置法廃止により、再編・合併が進みました。
それまで大手の石油事業者のみしか輸入できなかった石油が自由化され、その結果、価格競争が激しくなり、経営合理化のため現在まで業界再編が進められています。
そのため、業界各社はエネルギー分野で生き残るための事業の多角化を目的としたM&Aが今後も行われると予想されるでしょう。
過去に行われたM&Aの事例としては以下が挙げられます。
●出光興産株式会社:1985年に昭和石油株式会社とシェル石油株式会社が合併した業界4位の昭和シェル石油株式会社を2019年に統合し発足
●コスモエネルギーホールディングス株式会社:1986年にコスモ石油株式会社と丸善石油株式会社と大協石油株式会社が合併して発足
石油業界のインターン情報
石油業界のインターン情報を紹介します。選考内容は年度によって異なることが予想されるため、参考程度にご覧ください。
ENEOS(22卒・技術系)
■インターン選考フロー
■ES設問
■WEBテスト
一般的なWebテスト
出光興産 (22卒/技術系・事務系)
■インターン選考フロー
■ES設問
石油業界の本選考情報
石油業界の本選考情報を紹介します。選考内容は年度によって異なることが予想されるため、参考程度にご覧ください。
ENEOS
■本選考フロー
ES+WEBテスト→一次面接→二次面接→三次面接→最終面接
ES→ジョブマッチング面談→人事面談→最終面談
■ES設問
■WEBテスト
玉手箱
■面接
INPEX
■本選考フロー
ES+WEBテスト→一次面接→二次面接→最終面接
■ES設問
■WEBテスト
SPIのテストセンター受験型
■面接
石油業界の志望動機の書き方
はじめに、なぜ石油業界を志望するのかを説明する必要があります。
具体的には自分が将来何を成し遂げたいのか、例えば「日本のみでなく他国にもエネルギーを供給する事で、より多くの人々の快適な生活を実現させたい」などといった石油業界ならではの理由を述べます。
その場合、自分の過去の体験と紐付けて答えるとより説得力が増すはずです。
次に“なぜその企業なのか”については、他の企業ではなくその企業でなければいけない理由を伝えましょう。
例えば、コスモエネルギーHDは、50年にわたる中東産油国との信頼関係を築いています。また、強みであるスピード感を武器に環境変化に強い事業ポートフォリオバランスを早期に構築しているという特徴があります。
このように、各企業の企業理念・社風の違いや注力している事業などをしっかりと調べ、企業ごとの特徴や強みを把握した上で、志望企業を決めるようにしましょう。
実際に志望動機を書く前に、選考を通過した例文を参考にしたいという人は、以下の記事をチェックしてみてください。
関連記事:
石油業界の志望動機の書き方・例文~出光興産など3社の選考通過ESを公開~
石油業界で評価される自己PRの書き方
石油業界の求める人物像
石油業界は石油需要の減少など、動きが激しい業界であり、各企業は生き残るために石油に代わる代替エネルギーの開発などといった新しい取り組みが必要とされています。
そのため自ら何が必要かを考え、新たな価値を創る主体性や挑戦心がある人材が求められます。
また、石油業界の仕事は規模が大きく様々な人と関わりながら仕事を進めていくため、異なる考えや価値観の人と協力して仕事を進め、自分の役割を果たせる責任感のある人材も求められるといえるでしょう。
さらに、石油ビジネスは海外からの輸入によってなりたっているため、現地スタッフと英語でやり取りしなければいけない場面が多々あります。
そのためビジネスレベルの英語はもちろん、ロシア語やアラビア語など、原油産出国の言語が話せると、より志望企業にとって必要な人材となるでしょう。
石油業界の求める人物像について学んだら次は自己PRの書き方を学んでいきましょう。
自己PRの基本的な書き方
自己PRを書く際は基本的に「強み⇨エピソード⇨結果・学んだこと⇨入社後どう活躍できるか」の順番で書きます。
(1)結論
自己PRを書く際は最初に「私は○○することができます」といったように自分の長所を端的に述べます。
その際、石油業界や自身が希望する企業の求める人物像に合わせ「主体性がある」や「挑戦心がある」といった長所を選ぶようにしましょう。
このように最初に結論を述べ面接官に今から何の話をするのか伝えることで、聞き手側も話が入りやすくなります。
そのため、自己PRをする際は結論として、まず長所を伝えるようにしましょう。
(2)エピソード
長所を伝えたら、実際にその長所があることを証明できるエピソードを交えます。
理由としては、企業は、課題・目標やそれに対する行動を通してその人の人柄や価値観を判断しているためです。
以下で「主体性」という長所を選んだ場合の例を紹介します。
(3)結果・学んだこと
エピソードの次は、自分がとった行動によってどのような結果になったか、この経験を通して何を学んだのかについても書きます。
また、結果を書く際は定量的に伝えることでよりイメージしやすい自己PRを作成することができるため「〇〇というアイディアを出し実践したところ、売上を40%上げることができた」など、数字を用いてアピールしてみましょう。
(4)入社後どう活躍できるか
企業は採用活動を通して、自社に貢献してくれる人材を求めています。つまり、面接官にこの学生は「自社で活躍する素養がある」と思わせることが大事です。
より詳しい自己PRの書き方について知りたいという方は以下の記事を参考にしてください。
関連記事:
企業から評価される自己PRの書き方とは?ポイントや注意点をわかりやすく解説
石油業界のランキング
ここでは石油業界のランキングを「業績」と「社内環境」に分けて紹介します。
参照元:業界動向サーチ/石油業界の売上高ランキング(2021-22年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。また企業名にあるホールディングスを「HD」と省略しています。(※2022年11月時点)売上については1位がENEOSホールディングス、2位が出光興産、3位がコスモエネルギーHD、経常利益は1位がENEOSホールディングス、2位がINPEX、3位が出光興産です。
売上1位のENEOSホールディングスは経常利益も1位を誇っています。
・利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しているから
売上は企業の財務力、ビジネスの規模を表しています。つまり売上が高い企業の方が行っているビジネスの規模が大きいということです。
またA社とB社が同じ利益の場合、売上が大きい企業の方が金融機関からの融資を受けやすいとされているため、売上を見ることで企業の資金調達力もチェックすることができます。
次に利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しています。そのビジネスによる付加価値がどれくらいあるかを測る指標です。
つまり利益がほとんど出ていなかったり、赤字だとビジネスに何らかの問題があるということになります。
ただし、このランキングだけでなく、成長率も大事であるため各企業の過去についても振り返っていきましょう。
石油業界の社内環境ランキング
参照元:業界動向サーチ/石油業界のランキング(2021-22年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。また企業名にあるホールディングスを「HD」と省略しています。(※2022年11月時点)平均年収は1位がENEOSホールディングス、2位がINPEX、3位がコスモエネルギーHD、そして勤続年数は1位が富士興産、2位が富士石油、3位がENEOSホールディングスでした。
勤続年数が長いということは定着率が高いということになります。一概には言えませんが、定着率が高い会社は良い会社である可能性が高いです。
また従業員数が多い会社は多様な人と関わり合うことができるというメリットがあります。
しかし多いと自分の意見が通りにくい場合もあるというデメリットもあるため、自分にとってどの環境が合っているのか考えてみましょう。
まとめ
本記事では石油業界の仕組みや職種、動向、志望動機・自己PRの書き方について紹介してきました。
石油業界は今後需要が縮小すると言われていることから、各社がそれぞれ対策を講じています。人気業界の選考を突破するためにも、業界知識だけでなく、企業の取り組みまでしっかりと学びましょう。
選考対策をする際は本記事で紹介した過去の選考内容を参考にし、質問に対する回答を予め準備しておくことをオススメします。
また、選考を突破するためにはその業界を理解することが必要不可欠です。そのため業界研究をしっかりと行い選考に備えましょう。
関連記事:
たった4ステップで業界研究を完璧に!誰でも簡単にできるやり方を紹介
●”石油業界”の職種
職種(1):開発
職種(2):管理
職種(3):セールスエンジニア
●”石油業界”の動向
動向(1):原油価格の高騰
動向(2):新エネルギー事業の拡大
動向(3):石油業界のM&A
●”石油業界”の求める人物像
・新たな価値を作る主体性や挑戦力
・異なる価値観の人と協力できる
・自分の役割を果たせる責任感
・英語力
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