
コンサルティング業界の志望動機の書き方と例文~選考通過者ESを公開~
コンサルティング業界は、事業規模が大きく海外に展開している企業が多いことから、グローバルに働くことができる点や年収が高いという印象が強く、特に高学歴層の就活生から人気が毎年高い業界です。
ライバルが多いからこそ、志望動機の質を上げなければ内定を勝ち取ることはできません。コンサルティング業界のデータや特徴を今一度把握し、例文を参考に書き方のコツを掴みましょう。
コンサルティング業界の特徴
ここではコンサルティング業界の動向・業種・職種についてを解説してきます。
コンサルティング業界の動向
コンサルティングとは、「企業が抱える課題や目標に対して、多角的に解決策を提案し、その後の発展をサポートする仕事」のことです。
1886年にアメリカで初めて誕生して依頼、様々な形に派生しつつ、20世紀には現在をリードする外資系の大手コンサルティングファームが設立されて行きました。
以降、コンサルティングファームの需要は拡大し、今では世界におけるコンサルティング業界の市場規模は10~20兆円と言われています。また、2018年の国内におけるコンサルティング業界の市場規模は前年と比べて6.4%増え、7,659億円でした。
今後もより成長することが予想されており、2023年までには9,969億円まで到達すると算出している調査もあります。
そんなコンサルティング中でも、特に成長が著しい市場はデジタル分野のコンサルティングサービスです。IT技術を取り入れる企業は増え、2018年、デジタル分野のコンサルティング市場の支出額は前年と比べて約40%増えた709億円となりました。
経営方針や業務改善の需要も高まりを見せていることから、デジタルのコンサルティング市場だけでも2023年までに2,568億円まで成長すると見込まれています。今後も着実に伸長することが予測され、安定的な市場とも言えます。
◆数字で見るコンサルティング業界の現状
参照元:業界動向サーチ/全136業界の業界ごとの合計、または平均を項目ごとにランキング。コンサルティング業界13社が対象(2018年-2019年)
コンサルティング業界の分類
様々な分類の中でどの業種を選ぶべきか、特徴と差別化ポイントを勉強しておきましょう。
■戦略系コンサルティングファーム
戦略系コンサルティングファームは、企業の経営課題を発見し、その解決のためのプランを立てて、実行までを担う仕事です。特に企業戦略・事業戦略を得意とし、大手貴重や外資系の顧客を中心としています。
企業全体に関わる課題を依頼されることが多いため、経営層との接点が多いようです。戦略系コンサルティングファームは、外資系が中心でグローバルに展開してる企業が多くあります。
また特徴の1つとして、上流(いわゆる、戦略を考え提案すること)にのみ携わることが多かったのですが、最近では戦略を示すだけでなく企業に入り込んで戦略立案から実行まで行う企業が増加しているようです。
■総合系コンサルティングファーム
総合系コンサルティングファームは、戦略系コンサルティングファームと同様、企業が抱える課題に対する戦略立案を行うと同時に、戦略の実行や業務の改善、ITのシステムの導入、業務の代行など幅広く顧客の課題解決をサポートします。
■IT系コンサルティングファーム
IT系コンサルティングファームは、その名の通りITの活用を主軸に企業の経営課題を解決していくコンサルティングを行います。ITの活用というのは主にEPR(Enterprise Resource Planning)と呼ばれる基幹システムの導入のことを指します。
これはマーケティングのためのツールとして利用されたり、店舗ごとの売上、原価計算といった経理・会計など様々な場面で使われるシステムです。
業務効率化や人手不足の解消が叫ばれる今、こういったシステムを導入する企業は増えているため需要は日々増しているファームでもあります。
■シンクタンク系コンサルティングファーム
シンクタンク系コンサルティングファームは、企業や官公庁などに対して、経済情勢や社会情勢、政策などのリサーチを行い、顧客の課題解決や、将来の予測を行うファームです。
最近では、リサーチだけに留まらず、そのノウハウを活かした経営コンサルティングやマネジメントを行う企業も増えています。
■業界・業務特化型コンサルティングファーム
これまで紹介してきた分類以外の、人事や財務などの業務分野に特化したコンサルティングファームです。医療や金融などの業界特化型から赤字企業に対する事業再生特化型など多種多様なコンサルティングファームが存在しています。
コンサルティング業界の職種
職種によって業務内容も異なってくるため、自分がやりたいことは何なのかや、キャリア形成のイメージをある程度もって入社する必要があります。
パートナー
パートナーは、コンサルティングファーム自体の経営をする役職を指す場合もありますが、通常は一般企業で言う営業のような案件の獲得を行います。
コンサルタント(シニアアソシエイト、アソシエイトなど)
コンサルタントは、実作業とマネジメントスキルが重視される職種です。主に、仮説・検証を行っていきます。一般的に、未経験からコンサルティング業界に入った場合、この職種からスタートすることが多いようです。
アナリスト
アナリストの仕事は主に情報収集・分析・資料作成です。具体的には、会議の議事録の作成や、先輩コンサルタントに同行してクライアントにインタビュー、また各種情報の収集・分析、などが挙げられます。
志望動機の作り方のポイント
コンサルティング業界はライバルが多いため採用担当者に強い印象を与えなければ書類選考を通過できません。なぜ志望するのか、なぜ自分なのかをシンプルかつロジカルに書きましょう。
また、業界理解の難しさ故か、志望動機を書く際に、なぜこの業界なのか、なぜこの企業なのかを書くことができている人は多い印象ですが、自分の経験を基に志望理由やキッカケを書くよう意識してください。
コンサルティング業界の志望動機に必要な3つの要素
なぜその業界か、業種か、会社か。この3点の深堀りが必要不可欠です。
まず業界について。コンサルティング業界は、分類にもよりますが戦略立案から実行と上流から下流まで企業の抱える課題に関わる仕事です。その中でどんな仕事に携わりたいのか、企業の課題を解決し成長に携わる仕事ならではの理由を書きましょう。
次に業種について。各分類によって、携わる企業の問題やその幅が異なります。1つの分野の専門性を身につけたいのか、それとも総合的に様々な課題解決のための知識を身につけたいのかを考えておくようにしましょう。
最後に企業について。その企業がどの分野を強みとしているのか、どういった取引相手がいるのか、またどんなスキルが身につけられるのかといった特徴を調べましょう。
それが終わったら競合と比較してください。そうすれば自ずと各社ごとの特徴が明確になります。
コンサルティング業界で求められる人物像
コンサルティング業界は企業の課題を解決に導くサポートをする仕事です。
そのため、経営の上流に関わることが多く、一般社員よりも経営陣との接触が多いことも事実です。また業界を限らずコンサルティングを行っていくため、多種多様な人との関係を作っていけるようなコミュニケーション能力やが必要です。
コンサルティングを通して、自身の解決案を実行してもらえるよう説得していく論理的思考力や、今までの型にとらわれない解決策を提案できる、発想力や柔軟な思考力がある人も求められるでしょう。
志望動機の書き方
情報収集や自己分析を基に、伝えることが決まれば、あとは書くだけです。必ずしもオリジナルの構成にする必要はありません。シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機をひと言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
▶志望動機の書き方、考え方を詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
「志望動機の書き方~選考通過率をUPさせる方法~」「志望動機の正しい考え方やコツ~「志望動機がない…」と悩んでいる人必見~」

志望動機の例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文から、クオリティと書き方を学び、自身の書類に活かしてください。
戦略系コンサルティングファームの志望動機の例文
企業が日本を牽引し、世界で活躍する姿の手助けができる力を貴社のフィールドで身につけていきたい。
→字数が200字と限られている中で、「志望理由・その理由・○○社を選んだ理由」を明確に述べられています。
また最後の一文で『企業が日本を牽引し、世界で活躍する姿の手助けができる力を貴社のフィールドで身につけていきたい。』と目標を述べられている点も評価されるポイントです。ただ、具体性に欠けておりイメージがしにくい部分があります。
例えば『世界で活躍する姿の手助けができる力』とは具体的にどんな力なのか、『その難題に対してアプローチするうえで、』とあるがどんなアプローチをするのか、を書くことができるとより良い志望動機になるでしょう。
総合系コンサルティングファームの志望動機の例文
私は将来、日本企業のサプライチェーン次世代化や新たな市場として新興著しいアジアへの海外展開によって優れた製品・技術を有しながらも長期停滞期にある日本の産業発展に貢献したい。
就職活動をする上で①自分の考えや行動をもって企業や社会の役に立ち、大きな影響を与えられること②社会の幅広い分野について学び、常に成長し続けられること、という2点を重視している。そして、コンサルタントこそが社会の流れを捉えながら課題を考え抜き、最適なソリューションを提案する影響力と勉強しがいがある、私の軸を体現した仕事だと考える。
グローバルファームの数ある拠点の一つではなく日本発のファームとして、日本企業の意思を組みながら他国の地域特性に合ったサービスを提供できるコンサルタントになりたい。
→業界・企業について、よく調べられており、熱意が伝わる文章です。志望動機や将来の目標も丁寧に記載されています。ただ、自分自身の経験がほとんど書かれていません。
自身の過去の経験と志望理由を結びつけて書くと、人事がイメージしやすくなり、納得感が生まれるでしょう。
IT系コンサルティングファームの志望動機の例文
近年ではIT技術の発展に伴い、業務のAI化やデジタル化による業務効率化、オンライン事業や海外展開などの新ビジネス創造といった、社会全体のさらなる生産性向上が見込まれています。しかし、企業によっては、IT導入によるメリットは理解していても、実際の導入に対しては慎重です。例えば、従来の慣習を変えて新しく仕事を覚えなければならないですし、そもそもどこから手を付けるべきか分からないという企業も多く存在します。
私は、塾講師のアルバイトを通して「相手が分からないことへの理解を怠らない姿勢」と「人の行動を変えることに対するやりがい」を得ました。この経験を活かして、IT技術導入と顧客とのギャップを埋めることに尽力し、共にビジネスを変えていけるITスペシャリストを目指していきたいです。そして、顧客が、提案したソリューションについてどこまで理解し、どこに不安要素を感じているかを的確に捉え取り除き、抵抗なくIT技術を活用できるよう支援したいです。
→志望理由や入社してやりたいことを自身の経験と結びつけて書くことができています。業界についての理解もできており、『近年ではIT技術の~企業も多く存在します。』を見ると時間を掛けて勉強したことが伝わる文章です。
業界を志望した理由はよくわかりますが、その中でもこの企業でできることについての記載があるとより良くなります。
シンクタンク系コンサルティングファームの志望動機の例文
現在は変革の時代と言われ、先行きを予測することが非常に困難な時代であるとされていますが、その中でも顧客のニーズを正確に把握するだけでなく、その企業に本当に必要なものが何かを常に考えることで顧客の期待以上の仕事をすることができる人間になりたいです。
私がそれを実現する場として貴社を志望する理由は、貴社の掲げる「未来創発」という姿勢です。私は経営コンサルタントの最も大きな価値は、自分たちでなければ考えつかないような新しいビジネスモデルを創出することであると考えており、この「未来創発」の姿勢は経営コンサルタントの第一人者となるには不可欠な風土であると考えています。また、貴社が世界に選ばれる企業であるというのもまさにその結果であると思い魅力に感じました。
→コンサルティング業界を志望した理由、将来どういった力を身につけたいのかを丁寧に伝えることができています。ただ自身の過去の経験についての記載ありません。
コンサルティング業界を選んだ理由を、過去自身の軽経緯の中にあるキッカケを基に書くことができると、選考感になぜこの業界・企業を選んでいるのかをよりイメージしてもらいやすくなるでしょう。
業界・業務特化型コンサルティングファームの志望動機の例文
御社はコンサルティング領域でかなり質高く事業展開をされており、また企業理念も自分の軸とかなりマッチしているため御社を志望した。
→自身の企業選びの軸を中心に、志望動機を伝えることができています。
ただ、『御社はコンサルティング領域でかなり質高く事業展開をされており』というのは、コンサルティング業界のどの企業にも言えることなので、企業特有の事業の名前を出すと、より本気度が伝わる様になるはずです。
▶レベルの高い例文集を見たい方は下記記事をご覧ください。
「志望動機のおすすめ例文10選!」まとめ
コンサルティング業界は人気が高いため志望動機のレベルも高くなります。志望理由をなぜなぜと掘り下げて、自身の経験と結びつけつつ、ロジカルな構成で制作しましょう。
▶志望動機の基礎から応用まで網羅的にノウハウを知りたい方は下記をご覧ください。
「志望動機の書き方・例文」あなたの志望動機は順調ですか?
ここまでは、志望動機を書くために必要な情報をお伝えしてきました。
それでも、「自分の場合はどうすればいいの?」と不安な方も多いのはではないでしょうか。
そんな時は、自分ひとりで抱え込まず、客観的な視点からフィードバックをもらうべきです。就職エージェントneoでは、企業人事の要望を把握したプロのアドバイザーが年間2万件以上の就活生の悩みにお応えしています。
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