銀行と信用金庫の違いを説明できますか?
銀行と信用金庫では会社形態がそもそも異なります。また、銀行よりも信用金庫のほうがより地域に密着したビジネスモデルである傾向にあります。
しかし、地方銀行も似た地域に密着したビジネスモデルであるため、しばしば信用金庫と地方銀行で顧客の取り合いが行われています。
また、本記事では「信用金庫業界の仕事ってどんな人が向いているの?」「信用金庫業界って将来性あるの?」という人に向けて、信用金庫業界の仕組みや動向、志望動機・自己PRの書き方についてわかりやすく解説していきます。
銀行と信用金庫の違い
銀行は株式会社で利益を重視する傾向にあります。そのため、海外進出や他業種の企業と連携して新しいビジネスモデルを展開するなど販路の拡大などを行い、収益源を増やす取り組みが見られます。
信用金庫は地域住民や企業が利用者・会員です。こうした会員が出資している協同組織によって信用金庫は運営されており、地域社会の発展を目的としています。
そのため、営業範囲は限定的で運用資金の多くは地域に還元されているのです。信用金庫と利用者との相互扶助の考え方が重要視されている傾向にあります。
信用金庫業界の仕組み
信用金庫と銀行は「預金業務」「貸付業務」「為替業務」の三大業務は共通です。
数ある業務の中で金融機関では信用金庫しか行っていない業務もあります。
預金業務
預金業務とは、個人・法人を問わず顧客からお金を預かり、口座を管理する業務のことを指しています。
また、預けたお金は預金保護制度によって保護される仕組みがとられているので、信用金庫が破綻した後でも一定額までの預金は基本的に引き出すことができます。
貸付業務(融資業務)
銀行や信用金庫はただお金を預かるだけではなく、預金業務で預かったお金を資金として企業や個人に向けて貸し付ける業務も行っています。
お金を企業や個人に貸し付ける際に発生する利子が利益となっており、個人の住宅ローンなどがイメージしやすいと思います。
為替業務
銀行や信用金庫での為替業務とは、現金でのやり取りを行わず銀行口座を持っている顧客の依頼に合わせて振り込みや送金を行うことです。
身近な例でいうと、口座振替や銀行振込が該当します。
また、為替業務は国内で行われる『国内為替』と海外との通貨取引である『外国為替』がありますが、いずれも業務内容は同じです。
ただし、外国為替には国内通貨と海外通貨を売買することで損益を生じさせる取引を含めることもあります。この外国為替には国内通貨と外国通貨の売買による損益のことを指す場合もあります。
その他業務
スポーツ振興くじ(toto)の販売・当せん金の払戻し業務は、金融機関の中で信用金庫しか行うことができません。
信用金庫業界の動向
参照元:業界動向サーチ(2021-2022)/※2023年7月作成時点政治・政策
マイナス金利
信用金庫業界を調べるうえで欠かせないポイントがマイナス金利です。
マイナス金利とは、信用金庫が中央銀行にお金を預け入れる際の預金金利をマイナスにする政策のことです。つまり、中央銀行にお金を預けている預金者である信用金庫が預け先の中央銀行に利子を払わなければならないのです。
なぜマイナス金利政策が行われたのかというと、信用金庫が金利負担を避けるために、個人や法人への貸し出しにお金を回すように促す狙いがあるためです。
企業の設備投資や家計の消費を増加させることで物価上昇や経済の活性化を期待したものとなっています。
手数料
信用金庫や銀行の収益のうち、決して小さくない割合を占めるのが手数料です。この手数料のうち預入や口座振替を行うときなどに生じる送金手数料が、2021年10月から引き下げられる見通しとなっています。
この手数料の引き下げは信用金庫や銀行に大きな打撃になる可能性は非常に高く、もしこの引き下げが実現された場合、他の手数料が引き上げられることが予想されています。
新規事業の取り組み
現在、各信用金庫は減収に対する対策を行っています。その中で、信用金庫は新しい活路を見出そうと新しい事業に取り組んでいたり、これまでとは異なる角度から地域に貢献しようとしています。
例えば、湘南信用金庫がH.I.Sならびに湘南モノレールと湘南地域の活性化を目指して業務連携したことです。鎌倉や江ノ島に訪れる観光客を湘南モノレール沿線にも呼び込む考えのもと、HISクーポンの活用をしている。
また、北見信用金庫は「ものづくり補助金」を活用して、地域で根絶したシート・テント事業を再興させました。この補助金を交付するまでの「つなぎ資金」の融資も行っていた。
このように、信用金庫が行う新規事業の多くは地域に密着した取り組みとなっている。
信用金庫業界と社会情勢
地方の少子高齢化・人口減少
近年、日本で問題視されている少子高齢化は地方ではより顕著になっています。また、地方では都心部への若者の流出による人口減少やそれに伴う高齢者の相対的な割合の増加も問題となっています。
人口が減少することで地域に密着している信用金庫は大きな減収となり、生産年齢人口の低下は住宅ローンの積立などから得られる金利収益の低下にもつながります。
融資案件の拡大難航
信用金庫の大きな収益源の1つとして「貸付業務(融資業務)」があることは紹介しました。ですが、この貸付業務は難航しているとも言われています。原因は2つあると考えられ、1つ目が企業の資金調達方法の多様化、2つ目が銀行の貸し渋りです。
まず、資金調達方法の多様化についてですが、クラウドファンディングに代表されるように、企業が信用金庫以外の出資者に直接訴えかけることができるようになったことが挙げられます。
また、SNSを用いたマーケティングも大きな収益を見込めるツールとなっています。企業が信用金庫に頼らずに経営することは難しいですが、このように企業へ出資してくれるのは信用金庫や銀行だけではなくなってきています。
信用金庫の再編
マイナス金利政策や手数料の減額、コロナウイルスによる経済への打撃などから信用金庫では収益の減少が問題となっています。
また、地域密着型で地域企業を主軸に融資を行うという似たビジネスモデルをもつ地方銀行に負けないために、上記の問題を解決したりサービスを向上させたりする目的で信用金庫業界は再編を行っています。
例えば、2020年には北陸信用金庫と鶴来信用金庫が合併して「はくさん信用金庫」が誕生しました。合併後、石川県内では3番目の信用金庫になりました。
2019年にはしずおか信用金庫と焼津信用金庫が合併し「しずおか焼津信用金庫」が誕生しました。
こうした例にもあるように、信用金庫の再編は多くは近隣地域での金融金庫同士の合併になります。
Fintech(フィンテック)の導入
フィンテックとは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語のことを指します。金融サービスとIT技術を組み合わせることで、従来の金融取引とは異なる形態のサービスが生まれます。
AIの導入
近年、インターネット技術の発達により銀行や信用金庫の業務はより多様なものとなってきました。そこで役立つのがAI技術です。定型業務である窓口業務や電話やメールでの問い合わせに答える顧客対応などをAI技術を用いて自動化することで、従業員の負担を減らしたり人員削減によるコストカットの効果が期待できます。
キャッシュレス決済の発達
キャッシュレス決済とは、買い物をした際に現金を使わずに支払いをする決済方法の総称のことです。クレジットカード決済やQRコード決済はもちろん、公共料金の引き落としも含まれています。
セキュリティリスク
上記のようにインターネットを介した決済や資産管理が進んでくると問題になるのがセキュリティリスクです。偽のメールやPCウイルスのよるフィッシング詐欺や不正アクセスにより個人情報が盗まれてしまい、第三者に不正利用されることがあります。
業務のデジタル化
近年、金融業界のトレンドの一つとしてデジタル化があります。
デジタル化とは、アナログ業務をデジタルデータに変換し管理するデジタイゼーション、ビジネスシーンにデジタルデータを導入して新しいサービスや商品、価値を想像するデジタライゼーション、デジタルデータを用いてビジネスモデルなどでに変革をもたらすデジタルトランスフォーメーション(DX)の3段階に大別できます。
銀行業界ではこうしたフィンテックやデジタル化が積極的に導入されていますが、信用金庫業界はまだまだ改善の余地があります。
信用金庫業界の志望動機の書き方
信用金庫業界の志望動機を書く際は「なぜ信用金庫業界なのか」「なぜその信用金庫なのか」をしっかりと深堀りしておくことが必要です。
“なぜ信用金庫業界なのか”については、金融業界の中で保険業界や銀行業界ではなく、なぜ信用金庫を選んだのかについてしっかりとした理由を準備しておく必要があります。
例えば、「地域に密着したサービスで地方事業に貢献したい」「地方特有の課題を信用金庫という立場から金融という切り口で解決したい」というように、信用金庫業界ならではの業務を交えると効果的かもしれません。
“なぜその信用金庫なのか”については、志望する信用金庫の特徴や業務形態などをきちんと調べて、他の信用金庫と比較してみましょう。
業界でうける自己PRの書き方
自己PRの書き方について学ぶ前に、まずは信用金庫業界の求める人物像を把握しておきましょう。
企業に評価される自己PRをするためには、その業界ではどのような人が求められているのか知っておくことが重要です。
信用金庫業界の求める人物像
信用金庫業界は地域との距離感が近いことが特徴です。こうした特徴の中で、地域の顧客に寄り添った対応や地方ならではのニーズに応えなければならないこともあるでしょう。そうしたときに、相手のニーズや考えしっかりヒアリングし適切な対応ができるような顧客とのコミュニケーション能力は必要とされます。
また、顧客のニーズに応えるためには予算や時間などの様々な課題が出てきます。特に融資案件であれば、相手側は信用金庫を非常に頼りにしてくることもあります。こうした顧客に残念な思いをさせないためにも、課題の原因を自ら調べ、進んで適切な対応や提案ができるような主体性も求められます。
信用金庫は地域との距離が近く、地域企業や地域住民とのつながりや関係性を大事にしなければなりません。そのため、相手のことを信頼し自分のことを信頼してもらえるような協調性も必要とされてきます。
自己PRの基本的な書き方
自己PRを書く際は、以下のように「強み⇨エピソード⇨結果・学んだこと⇨入社後どう活躍できるか」の順番で書きます。
(1) 結論
自己PRを書く際は最初に「私は○○することができます」といったように自分の長所を端的に述べます。
最初に結論を述べ面接官に今から何の話をするのか伝えることで、聞き手側も話が入りやすくなります。
そのため、自己PRをする際は結論として、まず長所を伝えるようにしましょう。
(2) エピソード
長所を伝えたら、実際にその長所があることを証明できるエピソードを交えます。
ここではできるだけ具体的なエピソードを伝えるために、その出来事の中で生じた課題・目標や、その課題・目標に対してどのような行動をとったのかについてまで書くようにしましょう。
また企業は、課題・目標やそれ対する行動を通してその人の人柄や価値観を判断しているため、なぜその課題・目標に取り組もうと思ったのか、なぜそのような行動をとったのかについて、しっかりと見つめ直しておいてください。
(3) 結果・学んだこと
エピソードの次は、自分がとった行動によってどのような結果になったかについても書きましょう。
結果を書く際は、定量的に表すことを意識してください。
例えば「〇〇というアイディアを出し実践したところ、売上を40%上げることができた」など数字を用いてアピールした方が相手に伝わりやすいです。
また、この経験を通して何を学んだのかについても書きます。
面接官はその人の学びからも価値観や人柄を判断しています。価値観や人柄はその学生を採用するかどうかの大きなポイントとなるため、自分がどういった人なのか、いかにその企業に必要な人材であるのかをアピールするようにしましょう。
(4) 入社後どう活躍できるか
企業は採用活動を通して、自社に貢献してくれる人材を求めています。つまり、面接官にこの学生は「自社で活躍する素養がある」と思わせるのが大事です。
そこで自己PRをする際は、最後に今伝えてきた長所をどのように志望企業の業務に活かしていくかまで伝えるようにしてください。
そのためには企業が求めている人物像を把握する必要があります。業界研究・企業研究を通してどのような強みをアピールするのか考えておきましょう。
より詳しい自己PRの書き方について知りたいという方は以下の記事を参考にしてください。
▶参考:企業から評価される自己PRの書き方とは?ポイントや注意点をわかりやすく解説
信用金庫業界の業績ランキング
参照元:業界動向サーチ/信用金庫業界の売上高ランキング(2021-2022年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。 ※2023年7月20日時点経常収益については1位が京都中央信用金庫、2位が岡崎信用金庫、3位が城南信用金庫、経常利益は1位が京都中央信用金庫、2位が大阪厚生信用金庫、3位が大阪協栄信用金庫です。
売上や利益、利益率をチェックした方が良い理由は、以下の2点です。
・売上は企業の財務力を表しているから
・利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しているから
売上は企業の財務力、ビジネスの規模を表しています。つまり売上が高い企業の方が行っているビジネスの規模が大きいということです。
またA社とB社が同じ利益の場合、売上が大きい企業の方が金融機関からの融資を受けやすいとされているため、売上を見ることで企業の資金調達力もチェックすることができます。
次に利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しています。そのビジネスによる付加価値がどれくらいあるかを測る指標です。
つまり利益がほとんど出ていなかったり、赤字だとビジネスに何らかの問題があるということになります。
ただし、このランキングだけでなく、成長率も大事であるため各企業の過去についても振り返っていきましょう。
まとめ
本記事では地方銀行業界について紹介してきました。銀行業界の仕組みや動向について理解できたと思います。
選考を突破するためにはその業界を理解することが必要不可欠です。そのため業界研究をしっかりと行い選考に備えましょう。
また、本記事で紹介した地方銀行業界の志望動機・自己PRを書く際のポイントもぜひ参考にしてみてください。
さらに詳しく業界研究を行う場合の”やり方”は下記記事を参考にしてください!
▶参考:たった4ステップで業界研究を完璧に!誰でも簡単にできるやり方を紹介
●”信用金庫業界”の動向
動向(1):信用金庫に関する政治・政策
・マイナス金利
・手数料
動向(2):新規事業の取り組み
動向(3):信用金庫業界と社会情勢
・地方の少子高齢化・人口減少
・融資案件の拡大難航
動向(4):信用金庫の再編
動向(5):Fintech(フィンテック)の導入
・AIの導入
・キャッシュレス決済の発達
・セキュリティリスク
動向(6):業務のデジタル化
●”○○業界”の求める人物像
・コミュニケーション能力のある人
・主体性のある人
・協調性のある人
“信用金庫業界”に関するその他の記事
ここでは、信用金庫業界に関連する記事をご紹介します。
ES作成をしたり、面接に望んだりする際には、その業界や企業でなければならない理由を明確化しておくことが重要です。
「信用金庫業界に興味はあるけれど、具体的な業界はまだ定まっていない」「この業界でしかできないことって何だろう」と悩んでいる人は、是非参考にしてください。
⇒【業界研究】銀行業界の動向3選!仕事内容や志望動機・自己PRのポイントも紹介
⇒【業界研究】地方銀行業界の動向4選!仕事内容や志望動機・自己PRのポイントも紹介
その他にも、本サイトでは志望動機・自己PRの書き方、業界研究のやり方に関するコンテンツなども多数公開しています。
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