一口にM&Aといっても企業買収型、事業買収型など細分化できます。また、業態についてもM&A仲介やFAS(ファイナンシャル・アドバイザー・サービス)、金融機関のIBD(投資銀行部門)など様々です。
今回は上記のように複雑なM&Aに関して図解を用いながら分かりやすく説明しています。
また「M&A業界の仕事ってどんな人が向いている?」「M&A業界って将来性あるの?」という人に向けて、M&A業界の仕組みや動向、志望動機・自己PRの書き方についてもわかりやすく解説しています。
M&A業界の売上や利益、年収、従業員数、勤続年数をランキングで紹介しているので、志望企業が決まっていない人は参考にしてみてください。
M&Aとは
M&Aとは『Mergers(合併)and Acquisitions(買収)』の略で、主に企業の合併・買収のことを指しています。
企業がM&Aを行う意図は「既存事業の拡大」「新規事業の展開」「経営基盤の強化」「後継者不在問題の解決」など様々です。
M&Aの仕組みについて分かりやすく説明すると、譲り受け企業(買い手)と譲渡企業(売り手)が存在します。そして買い手と売り手の間で、M&Aの企業が円滑に買収・合併が行えるように緩衝材のような役割を担っています。

多くの学生はM&Aというと企業が企業を完全に買収してしまうというイメージがあるようですが、実際には一部の事業のみを譲渡するなど様々なM&Aの形態があります。
■企業買収型
■事業買収型
M&A業界の業態
M&Aと一口に言っても様々な形態のM&Aがあることは先ほど説明しました。
では、一体誰がどのようにしてM&Aを行っているのでしょうか。
今回はM&Aを行っている代表的な2つの業態とその内容について解説していきます。
①M&A仲介
M&A仲介は売り手と買い手のM&Aが円滑に行えるように交渉・調整を単独で行なっています。
そのためFA同士が交渉を行うFAS(※)などとは異なり、多くの場合は売り手と買い手の要求が最大限反映されたM&Aが行われます。
(※)FA、FASについては下記にて説明しています
②FAS(ファイナンシャル・アドバイザー・サービス)
FAS(ファイナンシャル・アドバイザー・サービス)とはFA(ファイナンシャル・アドバイザー)が提供するM&Aの仲介サービスです。
そもそもFAとは企業に対してM&Aに関する助言をおこなったり、他のFAと交渉を行ったりする業務を担う人のことを指しています。
FAは買い手または売り手のどちらか一方と契約を結び、契約を結んだ企業が最大限利益を享受できるようにM&Aをサポートすることが特徴です。
こうしたFAは主に投資銀行やM&A会社、メガバンクなどに属しており、企業に持ちかけられたM&Aの案件などを担当しています。
③証券会社・銀行のIBD(投資銀行部門)
証券会社・銀行のIBDはM&Aを主に扱っている企業とは異なり、証券会社あるいは銀行が抱える部門の1つです。
企業に属しているFAがM&Aに関する業務を行っています。IBDでは主に大型の案件を扱っており、中にはニュースになるものもあります。
もっと専門的に調べると他にも様々な業態があるので、気になる方はぜひ調べてみてください。

M&A業界の動向
M&A業界に関連する日本経済の根深い問題として、黒字状態で休廃業する企業の増加や中小企業の後継者不足などがあります。
こうした状態もあいまってか、2021年のM&Aの件数は過去最多となりました。
以下では近年M&A業界で注目されている4つの動向について紹介していきます。

黒字状態での休廃業の増加
黒字での休廃業とは、損益計算書では黒字の状態でありながらも様々な要因から企業が経営破綻してしまうことを指しています。
黒字にも関わらず休廃業してしまう企業が経営破綻を回避する有効な手段の1つとしてM&Aが挙げられます。なぜなら、事業の一部を譲渡することで得られる資金を支払いなどに当てることができるためです。
こうした黒字状態で休廃業する企業の増加はM&Aの件数が増加している要因の1つとされています。
企業の後継者不足
少子高齢化などの社会現象によって近年経営者の高齢化が進んでいます。
帝国データバンクによると全国の後継者不在率は2020年時点で65.1%、2020年の社長の平均年齢は60.1歳となっており調査が開始されてた1990年以降初めて60歳を超えました。
また、後継者不足によって黒字のまま休廃業に追いやられている企業もあります。
そのため、若い後継者がなかなか見つからなかったり、有力な後継者が見つからなかったりする企業にとってM&Aは1つの解決策となっています。
DX化の普及
近年企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に取り入れています。
しかし、ノウハウがない企業がDX化を進めるには多くの時間とお金、人材などが必要になるため大きな負担となります。
そこで注目されているのが、外部からIT人材を確保することでDX化を進めることです。
複数の事業を展開する企業がIT企業が抱える事業を確保するためのM&Aも行われています。また、中小企業こそより少ない労力でDX化を果たす必要があるとも言われ、今後はより一層DX化に向けたM&Aが増加していくのではないかと予測されています。
経営の安定化・拡大のための業界再編
業界再編とは、分かりやすく言えば同じ業界内にある企業が買収・合併することです。
なぜこうした業界再編が起きるのかというと、生産性の向上や経営基盤を図っているためです。
また、同一の業界内でM&Aを行うことでこれまでにはなかった販路を獲得することができたり、一気通貫したサービスを提供できるようになることで効率をあげたりすることができます。
業界再編に関連するM&Aは現在でも活発に行われており、今後もさらに展開されていくと予想されています。
M&A業界の志望動機の書き方
M&A業界の志望動機を書く際は「なぜM&A業界なのか」「なぜその会社なのか」をしっかりと深堀りしておくことが必要です。
“なぜM&A業界なのか”については、数ある業界の中でコンサル業界や金融業界などではなく、なぜM&A業界を選んだのかについてしっかりとした理由を準備しておく必要があります。
例えば「ビジネスの総合格闘技といわれるM&A業界で圧倒的に成長したい」「経営者と関われるM&Aの業務を通じて将来起業するための知見をためたい」といったM&A業界ならではの理由を述べましょう。
“なぜその企業なのか”については、志望する企業の特徴や業務形態などをきちんと調べて、他の企業と比較してみましょう。
M&A業界は企業によって細かな違いがあるため、説明会を受けた後に他の企業と比較してその企業ならではの強みや魅力を探しましょう。
M&A業界でうける自己PRの書き方
自己PRの書き方について学ぶ前に、まずはM&A業界の求める人物像を把握しておきましょう。
企業に評価される自己PRをするためには、その業界ではどのような人が求められているのか知っておくことが重要です。
M&A業界の求める人物像
ビジネスの総合格闘技といわれるM&A業界では「心」「技」「体」のすべてを求められますが、新卒の場合は特に「心」と「体」が求められます。
「心」に関しては「責任感」と「上昇志向」、「体」については「ビジネスにおける体力」です。
他にも必要な要素は多々ありますが、今回は最低限必須な3つの要素について紹介していきます。
①責任感
M&Aの中でも企業自体の買収・合併の場合には売り手・買い手ともに将来の企業の存続が関わってきます。また、企業の存続は従業員の生活とも密接につながっています。そのため一切の妥協が許されません。だからこそ、責任をもって業務を行う精神力が必要になります。
②上昇志向
M&A業界では実力主義の会社が多いです。そのため、結果が出なければ解雇される可能性もあります。常に成長意欲をもって業務にあたり、結果にこだわることができる考え方を持っている必要があります。
③ビジネスにおける体力
M&Aは主に企業の経営層を相手にビジネスを行います。そのため専門的な知識を付ける必要があり、勉強は欠かせません。また企業の経営層ともなると非常に過密スケジュールなこともあるため、夜遅くに対応したり地方に出張したりしなければならないこともあります。こうしたハードな職場でも耐えられる体力と精神力が必要とされます。
自己PRの基本的な書き方
自己PRを書く際は基本的に「強み⇨エピソード⇨結果・学んだこと⇨入社後どう活躍できるか」の順番で書きます。

(1)結論
自己PRを書く際は最初に「私は○○することができます」といったように自分の長所を端的に述べます。
最初に結論を述べ面接官に今から何の話をするのか伝えることで、聞き手側も話が入りやすくなります。
そのため、自己PRをする際は結論として、まず長所を伝えるようにしましょう。
(2)エピソード
長所を伝えたら、実際にその長所があることを証明できるエピソードを交えます。
ここではできるだけ具体的なエピソードを伝えるために、その出来事の中で生じた課題・目標や、その課題・目標に対してどのような行動をとったのかについてまで書くようにしましょう。
また企業は、課題・目標やそれ対する行動を通してその人の人柄や価値観を判断しているため、なぜその課題・目標に取り組もうと思ったのか、なぜそのような行動をとったのかについて、しっかりと見つめ直しておいてください。
(3)結果・学んだこと
エピソードの次は、自分がとった行動によってどのような結果になったかについても書きましょう。
結果を書く際は、定量的に表すことを意識してください。
例えば「〇〇というアイディアを出し実践したところ、売上を40%上げることができた」など数字を用いてアピールした方が相手に伝わりやすいです。
また、この経験を通して何を学んだのかについても書きます。
面接官はその人の学びからも価値観や人柄を判断しています。価値観や人柄はその学生を採用するかどうかの大きなポイントとなるため、自分がどういった人なのか、いかにその企業に必要な人材であるのかをアピールするようにしましょう。
(4)入社後どう活躍できるか
企業は採用活動を通して、自社に貢献してくれる人材を求めています。つまり、面接官にこの学生は「自社で活躍する素養がある」と思わせるのが大事です。
そこで自己PRをする際は、最後に今伝えてきた長所をどのように志望企業の業務に活かしていくかまで伝えるようにしてください。
そのためには企業が求めている人物像を把握する必要があります。業界研究・企業研究を通してどのような強みをアピールするのか考えておきましょう。
より詳しい自己PRの書き方について知りたいという方は以下の記事を参考にしてください。
関連記事:企業から評価される自己PRの書き方とは?ポイントや注意点をわかりやすく解説
M&A(コンサル)業界ランキング
★業界動向サーチではコンサル業界の中にM&A業界の企業が含まれていたため、総合ファームや戦略ファームなども含めたコンサル業界全体のデータを扱っています。
以下ではM&A業界も含めたコンサル業界のランキングを紹介します。まずは「売上高」「経常利益」「利益率」のランキングを紹介していきます。
また「年収」「従業員数」「勤続年数」のランキングも以下で紹介しています。
M&A(コンサル)業界の業績ランキング

売上については1位が野村総合研究所、2位が三菱総合研究所、3位がベイカレント・コンサルティング、経常利益は1位が野村総合研究所、2位が日本M&Aセンター、3位がベイカレント・コンサルティングです。
売上や利益、利益率をチェックした方が良い理由は、以下の2点です。
・売上は企業の財務力を表しているから
・利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しているから
売上は企業の財務力、ビジネスの規模を表しています。つまり売上が高い企業の方が行っているビジネスの規模が大きいということです。
またA社とB社が同じ利益の場合、売上が大きい企業の方が金融機関からの融資を受けやすいとされているため、売上を見ることで企業の資金調達力もチェックすることができます。
次に利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しています。そのビジネスによる付加価値がどれくらいあるかを測る指標です。
つまり利益がほとんど出ていなかったり、赤字だとビジネスに何らかの問題があるということになります。
ただし、このランキングだけでなく、成長率も大事であるため各企業の過去についても振り返っていきましょう。
M&A(コンサル)業界の社内環境ランキング

年収は1位がM&Aキャピタルパートナーズ、2位が日本M&Aセンター、3位が野村総合研究所、勤続年数は1位が野村総合研究所、2位が三菱総合研究所、3位がタナベ経営となります。
勤続年数が長いということは定着率が高いということになります。一概には言えませんが、定着率が高い会社は良い会社である可能性が高いです。
また従業員数が多い会社は多様な人と関わり合うことができるというメリットがあります。しかし多いと自分の意見が通りにくい場合もあるというデメリットもあるため、自分にとってどの環境が合っているのか考えてみましょう。
まとめ
本記事ではM&A業界について紹介してきました。M&A業界の仕組みや動向について理解できたと思います。
選考を突破するためにはその業界を理解することが必要不可欠です。そのため業界研究をしっかりと行い選考に備えましょう。
また本記事で紹介したM&A業界の志望動機・自己PRを書く際のポイントもぜひ参考にしてみてください。
●”M&A業界”の動向
動向(1):黒字状態での休廃業の増加
動向(2):企業の後継者不足
動向(3):DX化の普及
動向(4):経営の安定化・拡大のための業界再編
●”M&A業界”の求める人物像
・責任感と上昇志向のある人
・ビジネスにおける体力がある人
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