
誰もが利用した経験があり身近な存在である鉄道業界。
しかし「駅員さんや車掌さんなど仕事内容についてなんとなくは知ってるけど、具体的なことはあまりわからない…」という人が多いのではないでしょうか。
そこで本記事では鉄道業界の過去、現在、未来の動向や仕事内容、求める人材像、志望動機・自己PRのポイントを紹介しています。
また鉄道業界の売上や利益、年収、従業員数、勤続年数をランキングで紹介しているので、志望企業が決まっていない人は参考にしてみてください。
鉄道業界の仕組み
鉄道業界は大きく分けると「在来線」「新幹線」「貨物輸送」の3つに分けることができます。
貨物輸送は現在はトラック輸送が主流になっていることから総需要は減少していますが、JR系の日本貨物輸送鉄道が鉄道による物資の輸送を専業にしています。
今回は「在来線」と「新幹線」の役割について紹介していきます。

在来線
在来線とはJR各社の新幹線以外の鉄道と私鉄(民鉄)の線路のことで、主に通勤や通学、買い物など、日常生活での移動手段として利用されている鉄道のことです。
鉄道のビジネスは乗車人数や乗車した人の移動距離が長ければ長いほど、収益があがるというビジネスモデルになっています。
さらに長距離を結ぶ特別急行は普通乗車賃だけでなくプラスの料金も獲得できるため乗車率が一定以上になれば普通列車の運行より収益が上がる構造でと言えます。
新幹線
新幹線は大部分の区間において200 km/hを超える速度で運行可能です。
そのため日本列島を多くの乗客が高速で移動できるインフラを担っており、ビジネスや観光などの場面で必要不可欠な存在であると言えます。
新幹線を持っているのは、JR東海、東日本、西日本、九州、北海道の5社ですが、JR北海道以外の4社の新幹線の業績は黒字であり、前述の在来線インフラを支える収益の柱として成長しています。
ここまでで鉄道業界の仕事内容については理解できたと思います。次はそんな鉄道業界の動向について学んでいきましょう。

鉄道業界の動向
ここでは鉄道業界の動向を「現在」「過去」「将来」に分けて紹介していきます。
それぞれ以下のトピックスについて紹介しているので、過去から未来までの鉄道業界の動向を把握しておきましょう。
・鉄道各社は非鉄道事業に注力している
・私鉄各社の有料サービス
・コロナの影響を受けインバウンド需要は消滅
■過去
・鉄道業界の業績
・訪日外国人の増加
■将来
・アフターコロナ
・少子高齢化対策
・生産年齢人口の減少による影響
・安全対策に対する課題
まず動向を学ぶ前に鉄道業界について数字で見てみましょう。

それではまず現在の鉄道業界の動向から紹介していきます。
現在
現在の鉄道業界の動向は大きく分けると以下の3つが挙げられます。それぞれについて詳しく解説していきます。
鉄道各社は非鉄道事業に注力している
鉄道各社は非鉄道事業に注力することで経営を多角化し収益増を目指しています。
中でも不動産、流通、運輸、レジャー、リゾートなどの事業を強化しており、私鉄各社は起点駅にオフィスビルや百貨店、ショッピングセンター、駅周辺にはマンション、終点駅にはホテルやレジャー施設を展開しています。
具体的には東急電鉄が電車やバスの交通と映画、食事を合わせたサブスクリプション型サービス「サブスクパス」を開始しています。
また、京王電鉄も「京王ほっとネットワーク」事業を開始し、京王ストアの商品の宅配サービスや、リフォームサービス、家事代行サービス、ホームセキュリティサービスなど多彩な生活サービスを展開しています。
このような街開発で沿線の価値を高め人を集めることで鉄道の利用者が増えるため、非鉄道事業は鉄道事業の売上にも貢献していると言えるのです。
私鉄各社の有料サービス
東武鉄道や京王電鉄、京成電鉄などの私鉄各社は客単価を引き上げるために通勤時座席指定列車を導入しました。
このサービスによって通勤ラッシュで悩む利用者のニーズに答えています。
コロナの影響を受けインバウンド需要は消滅
一時は訪日外国人の増加によってインバウンド需要は伸びていましたが、新型コロナウイルスの影響を受けインバウンド需要は消滅しました。
他にも外出自粛やテレワークの普及によって鉄道の利用者の激減、駅構内店舗や駅ビル・ホテルなど、鉄道周辺のビジネス需要も大きく落ち込みました。
過去
続いては鉄道業界の過去の動向について紹介していきます。ここでは鉄道業界の業績や訪日外国人の増加についてお伝えします。
鉄道業界の業績
2009年から2011年頃までは、リーマンショックによる景気後退の影響を受け中距離ビジネス、レジャー需要が低迷したことにより、売上は後退していました。
しかし2012年頃に国内の景気が回復し求人倍率の増加や失業率の減少に伴い輸送人員が増加傾向に戻り、2019年まで鉄道業界の旅客数は堅調に推移してきました。
訪日外国人の増加
訪日外国人が増加しインバウンド需要が伸びたことによってさらなる訪日外国人集客に向け各社で様々な事業を行っています。
例えば、西武鉄道は台湾の人気キャラクター「LAIMO(ライモ)」とコラボレーションし、LAIMOや台湾各地の名物・名所を描いたラッピング電車を運行しています。
他にもyoutuberやブロガーなどのインフルエンサーと協力し動画やwebサイトなど海外でも閲覧できる手段を使い「秩父」「川越」を紹介しています。
小田急電鉄は数多くのインバウンド受けする観光資源を抱えており、特に大人気なのは「スラムダンク」のオープニングシーンに登場する江ノ電・鎌倉高校前駅は海外の熱狂的ファンに大人気の撮影スポットです。
観光資源を抱えているだけでなく人気のある観光スポットへ小田急電鉄を利用した行き方や、人気スポットの説明動画、その他周辺情報などを詳しくWEBサイト上で発信しています。
将来
最後は将来の鉄道業界の動向について紹介していきます。将来の動向は大きく分けると以下の4つが挙げられます。
アフターコロナ
アフターコロナでは新しい生活様式が広がると予想されており、鉄道業界では新たな取り組みが始まっています。
例えば一部の鉄道会社では首都圏を中心に鉄道利用のオフピーク推進のための時間帯別の料金体系の導入や在来線の最終電車の繰り上げが行われています。
またテレワークの定着や企業のオフィス立地の見直しにより、都心への通勤需要が元の水準まで戻らない可能性もあるため、その場合は郊外での沿線開発が重要になると言えるでしょう。
少子高齢化対策
将来の日本は少子高齢化により人口減少が見込まれているため、鉄道業界各社は海外展開を始めています。
例えばJR東海は米国でリニア新幹線、JR東日本はインドで鉄道事業を展開しています。
さらに今後は交通渋滞が問題視されている経済成長が著しい東南アジアでの鉄道需要が高くなると言えるでしょう。
また、海外展開の他にも沿線の活性化を目的に各鉄道会社が他の交通事業者と連携し新たなモビリティーサービスMaaS(マース)の参入が増えつつあります。
※モビリティーサービス=交通手段
例えば東急電鉄はJR東日本と協力し、観光客が鉄道・バス・AIオンデマンド乗合交通・レンタサイクルなどの交通機関を、スマートフォンで検索・予約・決済、目的地までシームレスに移動できる2次交通統合型サービス「Izuko」を提供しています。
生産年齢人口の減少による影響
鉄道会社の主な収入源は所有する線路の運賃収入であるため、鉄道業界は人口減少の影響を大きく受ける業界です。
この先、生産年齢人口が減少してしまうと通勤や通学で鉄道を利用する人も減少し、業績に大きく響いてしまいます。
そのため今後の鉄道業界では利用人口を維持もしくは拡大させるための施策、運賃収入以外の収入を安定して獲得できるよう施策を打つことが必要です。
安全対策に対する課題
鉄道業界ではバリアフリーや安全対策の強化も重要な課題です。
ホームから線路に転落したり、電車に巻き込まれたりなどの事故を防ぐためにもホームドアの設置などの安全対策が進められていますが、工事可能な時間が限られている、設置費用が高いなど様々な問題から順調に進んでいないのが現状です。
そのため鉄道を安全に利用できる環境をいかに早く整備できるかが今後の課題だと言えるでしょう。
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鉄道業界の志望動機の書き方
鉄道業界の志望動機を書く際は「なぜ鉄道業界なのか」「なぜその企業なのか」をしっかりと深堀りしておくことが必要です。
業界については運送業界の中で、航空や海運などではなく、なぜ鉄道業界なのかを説明する必要があります。
具体的には自分が将来何を成し遂げたいのか、例えば鉄道業界であれば「駅・乗務員として鉄道を利用する全ての方に快適な時間を提供したい」などといった鉄道業界ならではの理由を述べるようにしましょう。
その際に業界の仕事内容と絡めて伝えることができればより深い志望動機になるため、業界の職種や動向についても把握しておきましょう。
なぜその企業なのかを伝える際は、鉄道会社と言っても企業によって強みや特徴は異なるため、しっかりと企業研究を行い、企業ごとの特徴や強みを把握した上で、伝えます。
例えばJR東日本であれば、売上高は鉄道業界首位を誇っており、日本最大の鉄道会社です。
営業エリアも日本最大で北陸・上越・東北・山形・秋田の5つの新幹線の他、70近い在来線を手掛けているという特徴があります。
鉄道業界の志望動機の例文を見てレベル感を掴みたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
▶参考:鉄道業界の志望動機の書き方・例文~JR西日本など3社の選考通過ESを公開~

鉄道業界でうける自己PRの書き方
自己PRの書き方について学ぶ前に、まずはテレビ業界の求める人物像を把握しておきましょう。
企業に評価される自己PRをするためには、その業界ではどのような人が求められているのか知っておくことが重要です。
鉄道業界の求める人物像
鉄道業界を志望するにあたり、最も重要な能力は時間管理能力です。
電車の発車時刻は1秒単位で定められており、少しでも予定より遅れてしまうとたくさんの人に迷惑をかけてしまいます。
つまり時間を守るということは何よりも大切です。
鉄道業界の仕事は一人で完結できるものではなく、様々な人と共に働かなければなりません。
チームワークが必要とされる仕事であるため、コミュニケーション力や異なる価値観、立場の人と協力して仕事を行うことができるという素養も求められると言えます。
また、お客様のために常に快適なサービスを提供し続けるために、失敗を恐れず挑戦できる力や柔軟な思考力は重要です。
そのためにはお客様視点に立ち物事を判断できるという素養も大切になります。
鉄道業界の求める人物像について学んだら次は自己PRの書き方を学んでいきましょう。
自己PRを書く際は基本的に「強み⇨エピソード⇨結果・学んだこと⇨入社後どう活躍できるか」の順番で書きます。

それぞれどのように書けばいいのかについては以下で詳しく紹介していきます。
自己PRの基本的な書き方
(1)結論
自己PRを書く際は最初に「私は○○することができます」といったように自分の長所を端的に述べます。
最初に結論を述べ面接官に今から何の話をするのか伝えることで、聞き手側も話が入りやすくなります。
そのため、自己PRをする際は結論として、まず長所を伝えるようにしましょう。
(2)エピソード
長所を伝えたら、実際にその長所があることを証明できるエピソードを交えます。
ここではできるだけ具体的なエピソードを伝えるために、その出来事の中で生じた課題・目標や、その課題・目標に対してどのような行動をとったのかについてまで書くようにしましょう。
また企業は、課題・目標やそれ対する行動を通してその人の人柄や価値観を判断しているため、なぜその課題・目標に取り組もうと思ったのか、なぜそのような行動をとったのかについて、しっかりと見つめ直しておいてください。
(3)結果・学んだこと
エピソードの次は、自分がとった行動によってどのような結果になったかについても書きましょう。
結果を書く際は、定量的に表すことを意識してください。
例えば「〇〇というアイディアを出し実践したところ、売上を40%上げることができた」など数字を用いてアピールした方が相手に伝わりやすいです。
また、この経験を通して何を学んだのかについても書きます。
面接官はその人の学びからも価値観や人柄を判断しています。
価値観や人柄はその学生を採用するかどうかの大きなポイントとなるため、自分がどういった人なのか、いかにその企業に必要な人材であるのかをアピールするようにしましょう。
(4)入社後どう活躍できるか
企業は採用活動を通して、自社に貢献してくれる人材を求めています。
つまり、面接官にこの学生は「自社で活躍する素養がある」と思わせるのが大事です。
そこで自己PRをする際は、最後に今伝えてきた長所をどのように志望企業の業務に活かしていくかまで伝えるようにしてください。
そのためには企業が求めている人材像を把握する必要があります。
業界研究・企業研究を通してどのような強みをアピールするのか考えておきましょう。
より詳しい自己PRの書き方について知りたいという方は以下の記事を参考にしてください。
▶参考:企業から評価される自己PRの書き方とは?ポイントや注意点をわかりやすく解説

鉄道業界ランキング
ここでは鉄道業界のランキングを紹介します。まずは「売上」「経常利益」「利益率」のランキングを紹介していきます。
また「年収」「従業員数」「勤続年数」のランキングも以下で紹介しています。
鉄道業界の業績ランキング

参照元:業界動向サーチ/鉄道業界の売上高ランキング(2020年-2021年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。
売上については1位がJR東日本、2位が東急、3位がJR西日本、経常利益は1位が関西高速鉄道、2位が遠州鉄道、3位が南海電気鉄道です。
売上や利益、利益率をチェックした方が良い理由は、以下の2点です。
・利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しているから
売上は企業の財務力、ビジネスの規模を表しています。つまり売上が高い企業の方が行っているビジネスの規模が大きいということです。
またA社とB社が同じ利益の場合、売上が大きい企業の方が金融機関からの融資を受けやすいとされているため、売上を見ることで企業の資金調達力もチェックすることができます。
次に利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しています。そのビジネスによる付加価値がどれくらいあるかを測る指標です。
つまり利益がほとんど出ていなかったり、赤字だとビジネスに何らかの問題があるということになります。
ただし、このランキングだけでなく、成長率も大事であるため各企業の過去についても振り返っていきましょう。
鉄道業界の社内環境ランキング

参照元:業界動向サーチ/鉄道業界の平均年収ランキング(2020年-2021年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。
年収は1位が相鉄HD、2位が阪急阪神HD、3位が西武HD、勤続年数は1位が東武鉄道、2位が名古屋鉄道、3位が秩父鉄道となります。
勤続年数が長いということは定着率が高いということになります。一概には言えませんが、定着率が高い会社は良い会社である可能性が高いです。
また従業員数が多い会社は多様な人と関わり合うことができるというメリットがあります。
しかし多いと自分の意見が通りにくい場合もあるというデメリットもあるため、自分にとってどの環境が合っているのか考えてみましょう。
まとめ
本記事では鉄道業界について紹介してきました。
鉄道業界は新型コロナウイルスの影響によりインバウンド需要が消滅したり、少子高齢化による生産年齢人口の減少など、様々な課題を抱えています。
しかし課題を解決するために海外展開や鉄道以外の事業に注力するなど、鉄道各社は様々な施策を考えています。
選考を通過するためにも志望企業はどのような取り組みをしているのかしっかりと把握しておくようにしましょう。
さらに詳しく業界研究を行う場合の”やり方”は下記記事を参考にしてください!
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